“手向”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たむ66.3%
たむけ22.7%
たむく2.5%
てむ2.5%
てむか2.5%
てむけ1.2%
おたむけ0.6%
たうげ0.6%
てむかい0.6%
タム0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
このいたいけな少年の手を合され質朴な老爺や婦人たちの一本な涙の回向えこう手向たむけられて、これに感動せぬ墓があったであろうか。
逗子物語 (新字新仮名) / 橘外男(著)
そは戦敗の黒幕におおわれ、手向たむけの花束にかざられたストラスブルグの石像あるがために、一層いっそう偉大に、一層幽婉ゆうえんになったではないか。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
遠くも無い寺まいりして御先祖様の墓にしきみ一束手向たむくやすさより孫娘に友禅ゆうぜんかっきせる苦しい方がかえっ仕易しやすいから不思議だ、損徳を算盤そろばんではじき出したら
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おとうとがやさしくて、けっしてあにたいして手向てむかいなどをしたことがありません。いつもあににいじめられて、しくしくいていました。
白すみれとしいの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大きなピストルをさしつけておどかされたので、たれ手向てむかひができず、声を立てる者さへありませんでした。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
「好きで手向てむけえをするんじゃねえ、てめえたちが手向えをするように仕かけるから手向えするんだ、素直すなおおいらとムクを通してくれ、道をあけて通してくれりゃ文句はねえんだ、やい通しやがれ」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
小「はい、それは回向の曲、手向たむけの曲と云うのが有りますから、笛で手向おたむけは出来まする」
この地方では、たいてい六七年目に手向たうげ(羽黒)から巫女みこが来て着せるのだという。
銓は初め忍んで黙っているが、のちには「おっさん、いやだ」といって、手を挙げて打つ真似まねをする。宗右衛門はいかって「親に手向てむかいをするか」といいつつ、銓をこぶしで乱打する。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
父君に我は愛子マナゴぞ。母刀自トジに我は寵子メヅコぞ。参上マヰノボる八十氏人の 手向タムけするカシコサカに、ヌサマツり、我はぞ退マカる。遠き土佐路を
相聞の発達 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)