“やぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ヤブ
語句割合
52.4%
25.7%
5.0%
4.3%
3.2%
1.4%
1.3%
1.0%
1.0%
0.7%
0.7%
0.3%
0.3%
野夫0.3%
養父0.3%
0.1%
叢林0.1%
叢生0.1%
0.1%
0.1%
敗績0.1%
斜視0.1%
林藪0.1%
0.1%
破損0.1%
破毀0.1%
竹林0.1%
花藪0.1%
0.1%
藪叢0.1%
𡉏0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
もし駕籠かごかきの悪者に出逢ったら、庚申塚こうしんづかやぶかげに思うさま弄ばれた揚句、生命いのちあらばまた遠国えんごくへ売り飛ばされるにきまっている。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
のたまわくだ。なにしてやがるかと思って、やぶけた窓の障子からのぞくとね、ポンポチ米を徳久利とっくりきながら勉強してやがるんだ。
佐久間玄蕃さくまげんば中入なかいり懈怠けたいのためか、柴田勝家しばたかついへしづたけ合戰かつせんやぶれて、城中じやうちう一息ひといき湯漬ゆづけ所望しよまうして、悄然せうぜんきたさうへとちてく。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また上下の文ありて「入りては則ち髪を乱し形をやぶり、出でては則ち窈窕ようちょうして態をす……これ心を専らにし色を正すことあたわずとう」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
もっともシューベルトの初期のものは、悲しんでやぶらざる程度のものであるから、ドゥハンの調子が必ずしも悪いとは言えない。
依つてそのオホハツセの天皇の御陵をやぶろうとお思いになつて人を遣わしました時に、兄君のオケの命の申されますには
ムルタとデルミッドは立ち上がり言葉もなく谷間を歩いて行った、二人のかすかな足音が羊歯しだをうごかした、やぶのしげみを出ると、松の中の路になった。
(新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
医師いしゃのお父さんが、診察をしたばかりで、やぶだからどうにも出来ない。あくる朝なくなりました。
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かれ身を固めず、ジュダのためせし槍をひつさげてひとりかしこをいで、これにて突きてフィレンツェの腹をやぶらむ 七三—七五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
子曰く、やぶれたる縕袍おんぼうて、狐貉こかくたるひとと立ちて恥じざるものは、それ由か。(子罕、二七)
孔子 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
退陣の時にでも積まれたかと見える死骸のつかが出来ていて、それにはわずかに草や土やまたはやぶれて血だらけになッている陣幕などが掛かッている。
武蔵野 (新字新仮名) / 山田美妙(著)
ところどころに白楊どろあし、などのやぶが茂っております。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
一門のたより、天下の望みをつなぐ御身なれば、さすがの横紙よこがみやぶりける入道にふだうも心を痛め、此日あさまだき西八條より遙々はる/″\の見舞に、内府ないふも暫く寢處しんじよを出でて對面あり、半晌計はんときばかて還り去りしが
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
そうして「気象の精粋」の意味とともに、「世態人情に通暁すること」「異性的特殊社会のことに明るいこと」「垢抜あかぬけしていること」を意味してきている。野暮は「野夫やぶ」の音転であるという。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
ここから八里くらいも歩いたことでしょう、私を乗せた汽車は午後九時五分、養父やぶ駅を離れて行きます。
単独行 (新字新仮名) / 加藤文太郎(著)
「お旗下はたもとの葛西さんか、知ってるとも、私なんかは、あすこのかまうちやぶん中へ入って、きじや、うさぎをとったもんだ」
赤い花 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
乃公おれがあのやぶきじうさぎをとったと云ったね、その時分じゃ、ある時、林の中へ往ってみると、昨日きのうまでなかった処に、土を掘りかえして、物を埋めたような処ができて
赤い花 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ちょうどこの駒形堂から大河を距てて本所ほんじょ側に多田の薬師やくしというのがありましたが、この叢林やぶがこんもり深く、昼も暗いほど、時鳥など沢山巣をかけていたもので、五月さつきの空の雨上がりの夜などには
家持は、門と門との間に、細かいさくをしめぐらし、目隠しに枳殻からたちばな叢生やぶを作った家の外構えの一個処に、まだ石城しきが可なり広く、人丈にあまる程に築いてあるそばに、近寄って行った。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
唐五行志に、乾符六年越州山陰家に豕あり、室内に入って器用をやぶり、椀缶わんふふくんで水次に置くと至極の怪奇らしく書き居るが、豕がつねに人の所為を見てその真似をしたのであろう。
五九字を学びゐんを探る人のまどひをとるはしとなりて、弓矢とるますらも富貴は国のもとゐなるをわすれ、六〇あやしき計策たばかりをのみ調練たねらひて、ものをやぶり人をそこなひ、おのが徳をうしなひて子孫を絶つは
己酉つちのととり(二十八日)……さらに日本やまと乱伍らんご中軍ちゅうぐんの卒を率いて進みて大唐の軍をつ。大唐、便すなわち左右より船をはさみてめぐり戦う。須臾とき官軍みいくさ敗績やぶれぬ。水におもむきて溺死しぬる者おおし。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「子供ははァ背におぶっとる事ですよ。背からおろしといたばかしで、むすめもなくなっただァ」と云いかけて、斜視やぶの眼から涙をこぼして、さめ/″\泣き入るが癖である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「日の光林藪やぶしわかねばいそのかみりにし里も花は咲きけり」
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
諸仏菩薩もお許しあれ、生雲塔の頂上てっぺんより直ちに飛んで身を捨てん、投ぐる五尺の皮嚢かわぶくろやぶれて醜かるべきも、きたなきものを盛ってはおらず、あわれ男児おとこ醇粋いっぽんぎ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
盲目の眼を前方に向け、歯のない口をポッカリと開け、破損やぶれたしょうのような嗄れた声で
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
如何どうしても菅原様へくことが出来ないならば、私は一旦いつたん菅原様へ献げた此のきよ生命いのちの愛情を、少しも破毀やぶらるゝことなしにいだいたまゝ、深山幽谷へ行つてしま心算つもりだつて——
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
八坂入彦皇子やさかのいりびこのみこむすめ弟媛おとひめは無類飛び切りの佳人なり、その再従兄に当らせたもう景行帝その由きこし召して、遠くその家にみゆきせしに、恥じて竹林やぶに隠れたので、帝くくりの宮にいまし鯉多く放ち遊びたもう。
おゝ高雅なるこれらの花藪やぶと火山塊との配列よ
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
やぶれて 両肘りょうちゅうあらはる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いつもかれが好みてい来るところにいで落ち葉を敷きつ、ちがや、野ばら、小笹おざさたぐい入り乱れし藪叢やぶを背にしてうずくまり、前には流れの音もなく走るをながめたり。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
年二十。こう既ニ亡シ。マサニ遺命ヲ奉ジテ遊学セントスルヤ、コレヲ戒メテ曰クワガ門なかゴロ𡉏やぶル。なんじまさニ勉学シテ再興スベシ。然ラザレバワレ汝ヲ子視セジト。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)