“惑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
まど81.4%
まどい4.7%
まどひ2.9%
まどは1.7%
マド1.7%
1.2%
1.2%
まどわ1.2%
まよ1.2%
わく1.2%
うたが0.6%
まが0.6%
ワク0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
四十にしてまどわず。五十にして天命を知る。六十にして耳したがう。七十にして心の欲する所に従えどものりえずと。——為政篇——
論語物語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
ただ躊躇ちゅうちょする事刹那せつななるに、虚をうつ悪魔は、思うつぼにまよいと書き、まどいと書き、失われたる人の子、と書いて、すわと云うに引き上げる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
小六ころく簡單かんたん返事へんじをしてつた。宗助そうすけまた座敷ざしき御米およねかほ熟視じゆくしした。おこしてらなくつてはわるやうな、またおこしては身體からださはやうな、分別ふんべつかないまどひいだいて腕組うでぐみをした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
さはいへ、棧橋かけはしの名の甚だ高きにまどはされて、その實の甚だ名に添はざりしを覺えしは、われに取りて實に少なからざる遺憾なるをいかにかせん。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
彼サシテ分別フンベツマドサマモナク、ソレハ箇様カヤウニナスガヨロシクコレハ左様ニツカマツルガ然ルベシナド、立チ所ニ答ヘ、我等ガ両三日昼夜カカリテ分別ナリ難キ事モ
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんなに六ヶ敷いの? 頭と顔が?」と妻は、其処で私の気分をそれにぎ込まうと思つたらしく膝を乗り出して私の顔をのぞき込んだ。
鱗雲 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
私は母の生活を目許することが敵はぬながらに、母にかるゝ子の感情を持ち扱ふのみだつた。
剥製 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
何某なにがしの院に往き、滝の傍を歩いて往ったところで、髪は績麻うみそをつかねたような翁が来て、「あやし、この邪神あしきかみ、など人をまどわす」
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
……都の人間ひと達がどんなに汚れ切っているか。表面うわべばかり華かな文化に飾られ、優雅ゆうがな装いに塗りかくされてはいるけれど、人間達はみな我利私慾がりしよくまよっている。
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
庶人念ずれば、疾疫しつえき癘気れいき、家中に入らず。わくを断ち、しょうること、之に過ぎたるはなし。よろしく、天下諸国につげ、男女老少を論ずることなく、口にしずかに、般若波羅蜜多を念誦すべし
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
「だれかいるのか。」と彼は自らうたがって大声に尋ねた。
くびの逆毛を針のように立て、射られた一眼に矢を折り掛け、二振りの剣と見まがうような二本の牙を喰いそらして雷光の如く突いて来た。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一切衆生ハ無生ノ中ニオイテ、ミダリニ生滅ヲ見テワクス——語の余韻よいんがお胸の底に重たく沈む。