“蓊欝”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
こんもり58.3%
おううつ16.7%
をううつ16.7%
おうゝつ8.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
津田は返事をする前に、まず小林の様子をうかがった。彼らの右手には高い土手があって、その土手の上には蓊欝こんもりした竹藪たけやぶが一面にかぶさっていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そこらは、もう高台寺こうだいじの境内に近いところで、蓊欝おううつとした松の木山がすぐ眉に迫り、節のすなおな、真青な竹林が家のうしろに続いていたりした。
黒髪 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
わが筆も亦た何物ぞ。言ふなかれ、蓊欝をううつたる森林、幾百年に亘りて巨鷲を宿らすと。言ふ勿れ、豊公の武威、幾百世を蓋ふと。あゝ何物かつひに尽きざらむ。何物か終に滅せざらむ。
富嶽の詩神を思ふ (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
路は薄暮に近き山間を縫ひて、杉樹さんじゆ蓊欝おうゝつと繁茂せるところ、髣髴はうふつとして一大奇景の眼下によこたはれるを見る。されど崖高く、四邊深黒にして容易に之を辨ずる能はず。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)