“市”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
いち58.8%
まち32.0%
し5.0%
シティ0.8%
う0.5%
いっ0.3%
シチー0.3%
セール0.3%
あつま0.3%
たかまち0.3%
イチ0.3%
ゴーロド0.3%
シチイ0.3%
シティー0.3%
フジナ0.3%
マチ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
今その上さんが熊手持って忙しそうに帰って行くのは内に居る子供が酉(とり)の市(いち)のお土産でも待って居るのかとも見えるがそうではない。
熊手と提灯 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
翌(あく)る日はまる一日じゅう、諸方(しょほう)の訪問に費(ついや)された。新来の旅人は先(ま)ずこの市(まち)のお歴々がたを訪問した。初めに県知事に敬意を表した。
これは此(この)市(し)で一番人の目に立つ雄大な二階立(にかいだち)の白堊館(はくあかん)、我が懐かしき母校である。盛岡中学校である。巨人? 然(さう)だ、慥かに巨人だ。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
そこでグリイン検察官は、手続きを無視し、反対を斥けて、その嫌疑者の安全を確保すべく、新築して間もない厳丈な市(シティ)刑務所へこれを留置した。
双面獣 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
椿岳の洒々落々たる画名を市(う)るの鄙心(ひしん)がなかったのはこれを以ても知るべきである。
なんで市(いっ)さんに間違があるもんですか、市さんは年こそ若いが、あなたよりよっぽど分別のある人ですものと、独(ひと)りで受合っていた。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
麻酔薬(まやく)、毒薬、絹紐(きぬひも)、ハンカチ。数を尽くした瓦落多(がらくた)道具が。あるが中にも文明国では。一と呼ばれるホントウ国だよ。そこの首都(みやこ)のタマゲタ市(シチー)で。わしが見て来た新式手段が。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「二人を誘って銀座へクリスマス市(セール)を見にお出掛けになるとか、元旦を利用して二人をお招きになるとか、頭の働く人なら、策が幾らもあるんですから」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
常に賓客(ひんきやく)をよろこび、ほとんど門に市(あつま)る。暇(いとま)あるごとに書を読みかならずしも解するを求めず。よろこべど歓(よろこ)びを歓びとせず憂(うれ)へども憂ひを憂へとせず……
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
百姓もやれば杣夫(そま)もやり、猟師もやれば川狩もやるが、どこかに大きな祭礼があって、市(たかまち)が立って盛んだと聞くと、早速香具師に早変りして、出かけて行って儲けて来、家へ帰れば以前通り
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「静かだのう。義平太も、一ぷくせぬか。唐詩選であったか、たれやらの詩に——林泉(リンセン)市(イチ)ニ近ウシテ幽ハ更ニ幽ナリ——という句があった」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
昔々モスクワ大公が金糸の刺繍でガワガワな袍の裾を引きずりながら、髯の長い人民(ナロード)を指揮してこしらえた中世紀的様式の城壁ある市(ゴーロド)だ。
三月八日は女の日だ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
とくに清教徒的なロンドンの市(シチイ)が、宮廷に敵意ある気勢を見せながら、再起せぬエセックスに見当はずれな肩入れを示した。彼は新教会派(プロテスタンチスム)の支柱である。
それでも、市(シティー)大会社の腰高椅子や卸問屋の地下室から来たらしい若者達はコンクリートではない水をバチャバチャかきわけ、空気と日光を感じて日曜を笑っている。
ロンドン一九二九年 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
土地は全體極めて卑(ひく)しとおぼしく、岸の水より高きこと僅に數寸なるが如し。偶〻數戸の小屋の群を成せるあれば、指ざして市(フジナ)と云ふ。こゝかしこには一叢(ひとむら)の木立あり。其他は渾(すべ)て是れ平地なりき。
此点に於て削り掛け・ほいたけ棒・粟穂・稲穂・にはとこ・幸木(サイハヒギ)なども皆同種のもので、延いては酉の市(マチ)の熊手も、御服の餅花から菖蒲(アヤメ)団子と反対に向いて、大きくなつたものと思はれる。
髯籠の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)