“法衣”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ころも84.1%
ほうえ5.7%
ほふえ2.8%
ごろも2.3%
はふえ1.7%
ほうい1.1%
ほふい1.1%
はふい0.6%
ケープ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
鼠の法衣ころもは裂けて汚れて、片足には草履をはいて片足は跣足はだしであった。千枝太郎はすぐに駈け寄って二人のあいだへ割ってはいった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ある春のゆうべ、Padre Organtino はたった一人、長いアビト(法衣ほうえ)のすそを引きながら、南蛮寺なんばんじの庭を歩いていた。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「あの方は年に馬に一の蕃椒を食べるのださうだ」と人の云つたことを、刀自は猶記憶してゐる。壽阿彌の著てゐたのは木綿の法衣ほふえであつたと刀自は云ふ。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
伸びた黒髪に、網代あじろの笠をかぶって、親鸞はよく町へ出て行く。着のみ着のままの法衣ごろも——見るからに配所の人らしくいぶせかった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どのお寺も黄色の旗と常緑樹ときはぎの門とで、外部を飾り、その内部の壮厳さうごんは有らゆる美をつくして、いろんな法衣はふえの坊さんと参拝者と香煙と灯明とうみやうとで満ちて居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
くろもり姿すがたが、だんだんゆきうえに、たかくのびてきました。なかにはぼうさんが、くろ法衣ほういをきてっているような、一ぽん木立こだちも、遠方えんぽうられました。
大きなかに (新字新仮名) / 小川未明(著)
こう言つた筋のことを、冷嚴和尚は法衣ほふいの袖を合せながら話すのです。
えゝ、政治家の心、軍人の心、名譽を熱中する人間の心、名聲を愛する人間、權力を切望する人間の心等が、僕の牧師補の白い法衣はふいの下に動悸どうきを打つてゐたのです。
司教はフランシスの傍に寄つて、その法衣ケープを彼にかけた。さうしてその白い襞の中に裸なる青年を包みながら、之を自分の心臟に押しつけた。
三太郎の日記 第二 (旧字旧仮名) / 阿部次郎(著)