“溶”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
71.5%
とろ14.0%
とか10.5%
とい1.0%
とろか1.0%
とけ1.0%
こぼ0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
歌って歌って参るのじゃ、さてお天道さまが、おかくれなされる、からだはつかれてとろりとなる、油のごとく、けるごとくじゃ。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
夫人の温い薫るやうな呼吸が、信一郎のほてつた頬を、柔かに撫でるごとに、信一郎は身体中が、とろけてしまひさうな魅力を感じた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
彼は、その光りのなかを、割るやうに、彼女は、その光りのなかにとかされるやうに、二人は、赤いクッシヨンに並んで、腰をおろした。
幸福への道 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
水でといて今の牛乳へ入れてよく煉ると葛煉くずねりのようになります。コルンスタッチの方は葛よりも長く煮ないとかえりません。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
直行は又その辛し、恨し、悲しとやうの情に堪へざらんとする満枝が顔をば、ひそか金壺眼かなつぼまなこの一角をとろかしつつ眺入ながめいるにぞありける。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
やがうしろはやしこずゑからなゝめゆききおろしてた。卯平うへい少時しばらく躊躇ちうちよしてかきつかれたせた。しばらくしてかれゆきつめたく自分じぶんふところとけ不愉快ふゆくわいながれるのをつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と、少しく失望して来る私の心は、容易たやすく「えゝつ!」といつたやうな気分を誘ひ出して、折角気をつけて白いのに替へたテーブルクロスに、わざと汁でもこぼしてやりたいやうな気になる。
脱殻 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)
食後に半蔵らは茶屋の前にある翁塚おきなづかのあたりを歩き回った。踏みしめる草鞋わらじの先は雪けの道に燃えて、歩き回れば歩き回るほど新しいよろこびがわいた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)