“とろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:トロ
語句割合
25.4%
20.3%
19.6%
吐露15.9%
4.3%
2.9%
溶解2.2%
2.2%
杜路0.7%
0.7%
0.7%
恍惚0.7%
溶融0.7%
0.7%
0.7%
融解0.7%
0.7%
馬鹿0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
太陽はもうすっかり傾いていて、かっかと熱しきった大地には、えもいわれぬとろかすような暮色が、ようやく垂れこめようとしていた。
其中そのうちにお腹もくちくなり、親の肌で身体もあたたまって、とろけそうない心持になり、不覚つい昏々うとうととなると、くくんだ乳首が抜けそうになる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
と見るまに、二のせきれいのうち、一羽がとろの水に落ちて、うつくしい波紋はもんをクルクルとえがきながら早瀬はやせのほうへおぼれていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「忠義を旗に書いて待っているだけでは駄目です。もっと憂国の至情を吐露とろなさい。鉄血、人を動かすものをぶっつけなさい」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして流暢な軟かみのある語韻の九州には珍しいほど京都風なのに阿蘭陀訛のとろけ込んだ夕暮のささやきばかりがなつかしい。
水郷柳河 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
私の留守中にあの仲働が叔父様を(併せて貴方を)とろかし丸部家を横領するは目に見えたる所なれど如何とも致し方無く候、今既に貴方も叔父様も心の鎔けたる者に御座候
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
帯の結目むすびめたもとはし何処どこへちょっとさわっても、なさけの露は男の骨を溶解とろかさずと言うことなし、と申す風情ふぜい
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
雷鳥らいちょうは影も見せない、風死して動くものもない、身も魂もこの空気の中にとろけてしまいそうだ、併しいつまで経っても、融けもしなければ揺ぎもしないものは、穂高と槍である
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
南蛮の沙摩柯しゃまかが、蛮土の猛兵数万をしたがえて参加するし、洞渓とうけいの大将杜路とろ劉寧りゅうねいのふたりも手勢を挙げて加わったので、全軍の戦気すでに呉を呑み、水路の軍船は巫口ふこう(四川省・巫山)へ
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
遠く南蛮から援軍に参加していた例の蛮将沙摩柯しゃまかにいたるまで、呉の周泰軍に捕捉されて、遂にその首をあげられ、さらに、蜀将の杜路とろ劉寧りゅうねいの輩は、手勢を引いて、呉の本営へ降人となって
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
窮鼠却て猫をむの譬えで振向いて頭の髪をとろうとした
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
その嬉しさのうちには、やはり胸を騒がせるようなおののきが幾度か往来ゆききをします。その戦きはお君にとって怖ろしいものでなく、心魂しんこんとろかすほどに甘いものでありました。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
肝まで溶融とろけて、蕩々とろとろ膏切あぶらぎった身体な、——気の消えそうな薫のい、湿った暖い霞に、虚空はるかに揺上げられて、天の果に、蛇の目玉の黒金剛石くろダイヤのような真黒まっくろな星が見えた、と思うと、自然ひとりで
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鰻を生けた魚籠うけのにほひもとろむ。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
あわれ、わたしの心をとろかせよう
初夏(一九二二年) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
四邊あたり空氣くうき融解とろくるばかりに、なつかしうかなでゝくだされ。
とろくれば灰とわかれてきはやかにかたまり残る白銀の玉
曙覧の歌 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
行き詰まって金の鯱の鱗を剥がす策略をめぐらしているのか、それとも一区で五銭払うのは馬鹿とろくさいと考えているのか、僕には一寸判断がつき兼ねた。ところへ停留場で又一人の商人体しょうにんていが乗り込んだ。
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)