“怯”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
おび46.2%
ひる18.0%
11.3%
おく5.5%
おびや3.2%
おそ2.5%
2.4%
おど1.3%
きょう1.3%
わる0.7%
けふ0.7%
0.7%
おくれ0.7%
おじ0.7%
おびやか0.5%
おそれ0.3%
きょ0.3%
きよ0.3%
びく0.3%
びつく0.3%
わるび0.3%
ひるん0.2%
0.2%
おつ0.2%
おどろ0.2%
おびえ0.2%
おめ0.2%
きよう0.2%
けち0.2%
こわ0.2%
ひが0.2%
ひきょう0.2%
よわ0.2%
オク0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
橋場今戸の仮宅から元地へ帰ってまだ間もないくるわの人びとは、去年のおそろしい夢におそわれながらおびえた心持ちで一夜を明かした。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
再拝、慇懃いんぎん、態度は礼をきわめているが、玄徳のまなこには、相手へつめ寄るような情熱と、吐いてひるまない信念の語気とをもっていた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
少年はずこの店にはいり、空気銃を一つとり上げて全然無分別むふんべつまとねらう。射撃屋の店には誰もいない。少年の姿は膝の上まで。
浅草公園:或シナリオ (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
中にも苦味走つた顔の男は、巡査の人を見るやうな見方をしたと思つたので、八はしやくさはつたが、おくが出て下を向いてしまつた。
金貨 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
温泉をんせんかうとして、菊屋きくや廣袖どてら着換きかへるにけても、途中とちう胴震どうぶるひのまらなかつたまで、かれすくなからずおびやかされたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
黒吉は、何かわからぬゾッとしたおそれに、ぶるぶる顫えながら、思わず腕の痛みも忘れて、胸から腹、腹から腰と撫ぜて見た。
夢鬼 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
ですが、閻魔樣あちらさままへでは、けたものですから。——じつ此寺こゝ墓地ぼちに、洲崎すさき女郎やつまつてるんです。へ、へ、へ。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一体、外套氏が、この際、いまの鹿落の白い手を言出したのは、決して怪談がかりに娘をおどかすつもりのものではなかった。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
死は怖れないが、いたずらに死を急ぐ彼ではない。また、貴人の名分にとらわれて、敵の雑兵と戦うにきょうなる右大臣家でも決してない。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身体からだはかすかに顫へてゐたけれども、わるびれた所は少しもなかつた。その美しい眉宇は、きつと、緊きしまつて、許すまじき色が、アリ/\と動いた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
(四三)しんへいは、もと(四四)悍勇かんゆうにしてせいかろんじ、せいがうしてけふす。たたかもの(四五)其勢そのいきほひつてこれ利導りだうす。
そうして代りに洋食屋、馬肉屋、牛肉屋、小料理屋、ミルクホール、そうした店のげるさまなく軒を並べ看板をつらねるにいたった。
浅草風土記 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
闇打ちは卑怯ひきょうなことと、お胸の中で、何処かおくれがおありでありましたろうし、それに、日頃信心の、神仏の御加護があったためでもござりましたろう。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
一、二度来たことのある釣堀つりぼりや射的の前を通って、それからのろのろと池のはたの方へ出て見たが、人込みや楽隊の響きにおじけて、どこへ行って何を見ようという気もしなかった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
名を蔵人くらんど蔵人といって、酒屋の御用の胸板を仰反のけぞらせ、豆腐屋の遁腰にげごしおびやかしたのが、焼ける前から宵啼よいなきといういまわしいことをした。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
わがおそれは已みて、我聲は朗になりぬ。一座は喝采をおしまず、かの猶太おうなさへやさしげに頷きぬ。
この頃の子供はすべての野蛮人に共通しているように、げんきょにしてこうゆうなるものであった。いざ喧嘩だとなると身構えが違ってくる。さそりのように少年に飛びついた。
三浦右衛門の最後 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
〔譯〕刀槊たうさくきよ心をいだく者はくじけ、勇氣ゆうきたのむ者はやぶる。必や勇怯ゆうきよを一せいほろぼし、勝負しようぶを一どうわすれ、之をうごかすに天を以てして、廓然かくぜん太公たいこうに、之をしづむるに地を以てして、もの來つて順應じゆんおうせん。
我軍の攻撃にって防戦したのであろうが、味方は名に負う猪武者いのししむしゃ英吉利イギリス仕込しこみのパテントづきのピーボヂーにもマルチニーにもびくともせず、前へ前へと進むから
何時いつの間にか身體の通るだけ開くと、田舍の子供といふものは因循なもので、盜みでもする樣におつかびつくり、二寸三寸と物も言はず中に入つて行つて、交代かはりがはりに其姿見を覗く。
天鵞絨 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
彼女は、軽く会釈すると、静まり返つてゐる聴衆の間の通路を、わるびれもせず遥か前方の自分の席へ帰つて行つた。信一郎は可なり熱心な眼付で、彼女を見送つた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
自分で合点の行かぬほど気がひるんだ、何でも今が、恐ろしい秘密のあらわれ来る間際に違いない、人生に於ける暗と明との界であろう、先生の此の次の言葉が恐ろしい、恐ろしいけれど又待ち遠い
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
私は急に臆病になり、じけた性格になってしまった。
灰色の記憶 (新字新仮名) / 久坂葉子(著)
おつかなびつくり聴いて見ると
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
可成りおどろかされるじゃアありませんか。
若きをのこ七二けくおびえして、銭おほくつひやすことよといふに、殿とののぼらせ給ふ時、七三小豆嶋あづきじまより七四室津むろづのわたりし給ふに、七五なまからきめにあはせ給ふを、みともはべりしもののかたりしを思へば
さあそなたも此方へ、と云ひさして掌に持たれし花を早速さそくに釣花活に投げこまるゝにぞ、十兵衞なか/\おめず臆せず、手拭で足はたくほどの事も気のつかぬ男とて為すことなく
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
坦々たる古道の尽くるあたり、荊棘けいきよく路をふさぎたる原野にむかひて、これが開拓を勤むる勇猛の徒をけなす者はきようらずむば惰なり。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
マルタいぬは一名を獅子犬と呼ばれてゐるが名ばかり立派でからもう弱虫なけちな奴だ。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
救護隊の叫び廻る声を聞いて元三ウォンサミはもぞもぞ出て来た。土城にはもう誰もいない、何だかこわくなって爺は上の方へのそりのそり這い上ってみた。そしてその一角に固く口を結んで突立った。
土城廊 (新字新仮名) / 金史良(著)
なまじはじめの出が華やかだっただけに今ではすっかり心もちがひがんで腐りきってしまっていたのです。
初看板 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「お前さんひきょうだよ。何も虎や狼がくわえていくのじゃあるまいし。もしお前さんが、それをいわないようにしてもらいたいなら、一曲お歌いなさいよ。」
阿英 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
但し賢秀がよわくてもつよくても、親父の善悪はせがれの善悪には響くことでは無い、親父は忰の手細工では無い。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「勇将ハ死ヲオクレテイヤシクモ免レズ——という。今日こそは龐徳の死ぬ日と覚えた。ご辺も末代まで汚名をのこされるなよ」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
荒繩ノ鉢巻ナドムズト締メ、熊手、マサカリナド前後ヲカタメ、常ニ同行二十人バカリニテ押通ルヲ、「アレコソ、当時世ニ聞ユル茨組ゾ。辺リヘ寄ルナ、物言フナ」トテ人々ヂ怖レテ道ヲヒラキケル。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)