“おそ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:オソ
語句割合
15.8%
13.1%
12.2%
11.0%
10.1%
8.6%
7.5%
6.5%
5.5%
1.9%
1.8%
1.4%
1.1%
0.8%
0.7%
0.2%
0.2%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
夜更0.1%
恐怖0.1%
0.1%
可怖0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
男曾0.1%
畏懼0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
遅刻0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
奴らは見張みはりをしていたのだ。生意気に「宮本だ」と、平常親よりおそれ、また敬っている自分へ、冷たく云い放ったときも、あの眼だ。
(新字新仮名) / 徳永直(著)
しるべの燈火ともしびかげゆれて、廊下らうかやみおそろしきをれし我家わがやなにともおもはず、侍女こしもと下婢はしたゆめ最中たゞなかおくさま書生しよせい部屋へやへとおはしぬ。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すると日頃丈夫な父親が急に不眠症を起して、突如いきなり宿へ転地して来た。もういやも応もなかった。仕舞ったと気がついたが、もうおそい。
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
子之助は父をおそれて、湊屋の下座敷から庭に飛び下り、海岸の浅瀬をわたって逃げようとしたが、使のものに見附けられてとらえられた。
細木香以 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
そのおそれは充分にあるが、もしもそんな事が起こっていたら、そのときこそ包の内容を調べて、自分のとるべき途を考えるとしよう。
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
わがとこは我を慰め、休息やすらいはわがうれいを和らげんと、我思いおる時に、汝は夢をもて我を驚かし、異象まぼろしをもて我をおそれしめたまう。……
しかし、嵐は海のうえにばかり吹いたのではなくて、ホテルのこの『社交室』も、今朝けさから一種の突風のようなものにおそわれていた。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
このものすごおそれが昼も夜も私を悩ました。昼はそのもの思いの呵責かしゃくがひどいものであったし——夜となればこのうえもなかった。
後から追いつかれると何だかずっと追いぬかれたような気がするものである。久野の艇は何だかいつもより船脚がおそいようであった。
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
まれつき、なんでもおときなのだ。だれからおそわらなくても、こうして、木琴もっきんらせば、いい音色ねいろるじゃないか。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ロレ (傍を向きて)それはおそうせねばならぬ仔細わけが、此方こちわかってをらなんだらなア!……あれ、御覽ごらうぜ、ひめ此庵こゝにわせられた。
それは最初こそ、彼には楽しい想像の接穂つぎほとしても親まれたが間もなくするうちに、それはおそろしい恐怖の予言のように思われはじめた。
あめんちあ (新字新仮名) / 富ノ沢麟太郎(著)
叔母のようすには心をぞっとさせるようなものがあるし、つれこまれたところが墓地だというだけでも、子供の頭にはおそわれるような恐怖が生じた。
日本婦道記:おもかげ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
下谷したや外祖父がいそふ毅堂きどう先生の詩に小病無名怯暮寒小病しょうびょうく 暮寒ぼかんおそる〕といはれしもかくの如き心地にや。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
前の世の罪ででもある事か、と自ら危ぶみ、おそれ、惑い、且つあやしんでいた葛木は、余りの呆気あっけなさにかえって驚いたのである。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ゆうよ。われ汝に告げん。君子がくを好むはおごるなきがためなり。小人楽を好むはおそるるなきがためなり。それだれの子ぞや。我を知らずして我に従う者は。」
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
おそくまで居残ってそこの台所で吸物の味加減をなおしたり酒のかんの手伝いをしたりした揚句、祝儀袋を貰って外へ出ると皎々たる月夜だった。
放浪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
一直線に単線電車をおそそ十五分ほど乗ると、大門へ着くのだが、少し威勢のよい足なみで突き進むとやがて田圃へ出てしまつて、検黴病院のいかめしい建物が、目に痛いほどの寂しさを与へる。
名古屋スケッチ (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
そこの学校を出て私が他処の学校へ通う様になってもM子の引けのおそい日にはわざわざまわって行って一緒に帰った。
M子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
こうを渡る時、蛟竜こうりょう船を追う、舟中しゅうちゅうの人皆おそる、天を仰いで、嘆じていわく、我めいを天にく、力を尽して、万民を労す、生は寄なり、死は帰なりと、りょうを見る事、蜿蜓えんていの如く、眼色がんしょく変ぜず
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
どれほどそれを書く手のまた、おそろしく慄えて止まなかったことだろう。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
おその住む水も田に引く早苗かな
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
廓をひかえて夜更おそくまで客があり、看板を入れる頃はもう東の空が紫色むらさきいろに変っていた。くたくたになって二階の四畳半で一刻いっときうとうとしたかと思うと、もう目覚ましがジジーと鳴った。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
その夜更おそく、帰って来た。耳をましていると
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
ことこの印度洋インドやうでは是等これら苦難くなんほかに、今一個いまひとつもつと恐怖おそき『海賊船かいぞくせん襲撃しゆうげき』といふわざわいがある。
現世このよ存在得ありうべからざる海魔かいまとか船幽靈ふなゆうれいとかよりは百倍ひやくばい千倍せんばい恐怖おそるべきあるもの仕業しわざで、なに企圖くわだつるところがあつて、弦月丸げんげつまる彼處かしこ海上かいじやう誘引おびせやうとしたのではあるまいか
橋の下のちょうどまん中の辺にいれば、付近を通行する人に見つかるおそれのないことを私は昼間によくたしかめておいたのである。
動物園の一夜 (新字新仮名) / 平林初之輔(著)
これを見ても、私はそう云っていてはきりがなくなる、と云われた貴方の言葉を思い出し可怖おそるべしおそるべしと毛穴から油あせを感じた。
華大媽は「あの墓もあの人の息子だろう」と気の毒に思っていると、老女はあたりを見廻し、たちまち手脚を顫わし、よろよろと幾歩か退しりぞいて眼を睜っておそれた。
(新字新仮名) / 魯迅(著)
「もし子供が出来たら……」私はその結果をおそれながら、しかしまた、もう母になったような気がして、そのまだ見ぬ子供を心の中で抱擁ほうようしているのだった。
従容しょうようとしてせまらず、晏如あんじょとしておそれず、偉なるかな、偉なる哉。皇太孫允炆いんぶん、宜しく大位に登るべし、と云えるは、一げんや鉄の鋳られたるがごとし。衆論の糸のもつるゝを防ぐ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
九月に入ると、肥州ひしゅう温泉うんぜんだけが、数日にわたって鳴動した。頂上の噴火口に投げ込まれた切支丹宗徒きりしたんしゅうと怨念おんねんのなす業だという流言が、肥筑ひちくの人々をおそれしめた。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
現ぜるをみなよ、胸乳おそふる手の
このの戸おそふる。新嘗忌ニフナミに、わがを遣りて、いわふ此戸を
最古日本の女性生活の根柢 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
私は自分の裡に辛うじても保つ、微かな燈火が、自らの煽りに燃え尽きて仕舞う事をおそれる。
無題 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
麻の皮をはいだのを木曾きそ、畑から切って来たのを生曾なまそ、日にしたのを、花ばかりなのを男曾おそ、実のなるのを女曾めそ、男曾の中でも長くて大きいのを重曾おもそなぞと言います。
力餅 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そうして、その一度一度ごとに、私の心は沈淪ほろび患難なやみわたされるかのように、畏懼おそれ、ふるえるのでした。
瓶詰地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
おほきみの御稜威みいつかがやくもと狂業たはわざするなおそ漢人からひと (平賀元義)
愛国歌小観 (旧字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
第二せつの妙は初齣をゆること一等なりき。これヂドとエネエアスとの對歌ヅエツトオなり。ヂドは無情なる夫のせめては啓行いでたちの日をおそうせんことを願へり。君が爲めにはわれリユビアの種族をはづかしめき。
だからおそわる方になってもこの習わり方がかえって近道なので、急がば廻れで、遠国から出て来て、三年の修業というようにあらかた日限を切って自分の仕事を物にしよう
召使いの僕婢おとこおんなことおそきはいつか退けられて、世辞よきが用いられるようになれば、幼き駒子も必ずしも姉を忌むにはあらざれど、姉をそしるが継母の気に入るを覚えてより
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
牝虎偈を以て答えていわく〈汝もし師子王を見聞せば、胆おそれ驚怖し馳奔走し、屎尿を遺失して虎籍し去らん、いかんぞ我が夫たるを得るに堪えんや〉、爾時そのときかの中に一師子あり諸獣の王なり
(——清水茂は異常な恐怖におそわれているらしく顔色を蒼白に変えながら語った)……はて、これはおかしなことがあるものだ。
象牙の牌 (新字新仮名) / 渡辺温(著)
尋ねてみたい気になつたも、一ツは家へ帰るがいや。汝はなにかを知つてもをれば、少しも隠さぬ、察してくれ。遅刻おそいついでに、今夜はここで、一寝入して行かふ。思ひ出してもうるさい
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
良心にわれて恐惶きょうこうせる盗人は、発覚を予防すべき用意にいとまあらざりき。渠が塀ぎわに徘徊はいかいせしとき、手水口ちょうずぐちひらきて、家内の一個ひとりは早くすでに白糸の姿を認めしに、渠はおそくも知らざりけり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「それたっ」と、武士ぶしたちが得物えものをとつてむかはうとすると、だれもかれもものおそはれたようにたゝかもなくなり、ちからず、たゞ、ぼんやりとしてをぱち/\させてゐるばかりであります。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
一番先に夢にでもおそはれたといふやうにしてKが身を起した。つゞいて女がほつかり驚いたやうに大きく眼を見開いた。静かな夕暮の空気の中に二人の溜息が際立つてきかれた。
浴室 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)