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怕
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おそ
ふりがな文庫
“
怕
(
おそ
)” の例文
非常に
怕
(
おそ
)
ろしい物を見たように、信乃はそれを机の上へ投げだした。それからまたすぐにそれを机の向うへ、元のように落とした。
めおと蝶
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それは最初こそ、彼には楽しい想像の
接穂
(
つぎほ
)
としても親まれたが間もなくするうちに、それは
怕
(
おそ
)
ろしい恐怖の予言のように思われはじめた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
其後
(
そのご
)
幾年
(
いくねん
)
か
経
(
た
)
って再び之を越えんとした時にも
矢張
(
やッぱり
)
怕
(
おそ
)
ろしかったが、其時は酒の力を
藉
(
か
)
りて、
半狂気
(
はんきちがい
)
になって、漸く此
怕
(
おそ
)
ろしい線を踏越した。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ロレ ロミオよ、
出
(
で
)
てござれ、
出
(
で
)
てござれよ、こりゃ
人目
(
ひとめ
)
を
怕
(
おそ
)
れ
憚
(
はゞか
)
る
男
(
をとこ
)
。あゝ、
卿
(
そなた
)
は
憂苦勞
(
うきくらう
)
に
見込
(
みこ
)
まれて、
不幸
(
ふしあはせ
)
と
縁組
(
えんぐみ
)
をお
爲
(
し
)
やったのぢゃわ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
唐義浄訳『
根本説一切有部毘奈耶破僧事
(
こんぽんせついっさいうぶびなやはそうじ
)
』巻十五に昔
波羅痆斯
(
はらなし
)
城の貧人山林に樵して一
大虫
(
とら
)
に逢い大樹に上ると樹上に熊がいたので
怕
(
おそ
)
れて
躊躇
(
ためら
)
う。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
▼ もっと見る
『医学のために教えた解剖学の類は、
怕
(
おそ
)
らく生物学には大して役にも立つまい。』と先生は、歎息しておっしゃった。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
道が段々山里の方へ入つて行くと、
四辺
(
あたり
)
が一層
闃寂
(
ひつそり
)
して来て、
石高
(
いしだか
)
な道を
挽
(
ひ
)
き悩んでゐる人間さへが
何
(
ど
)
んな心をもつてゐるか判らないやうに
怕
(
おそ
)
れられた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
軈
(
やが
)
て
愛
(
あい
)
ちやんは
猶
(
な
)
ほ
其兩手
(
そのりやうて
)
に
菌
(
きのこ
)
の
缺片
(
かけ
)
を
持
(
も
)
つてゐたのに
氣
(
き
)
がついて、
怕
(
おそ
)
る/\
再
(
ふたゝ
)
びそれを
食
(
た
)
べ
初
(
はじ
)
めました、
初
(
じ
)
めは一
方
(
ぱう
)
を、それから
他
(
ほか
)
の
方
(
はう
)
を
交
(
かは
)
る/″\
舐
(
な
)
めて
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
背負
(
せおひ
)
て立出是も西の方へ行しが
頓
(
やが
)
て伊勢屋の
家内
(
かない
)
騷
(
さわ
)
ぎ立し
故
(
ゆゑ
)
私し
此處
(
こゝ
)
に
居
(
を
)
らば盜賊の
連累
(
まきぞへ
)
に成んと是を
怕
(
おそ
)
れて迯出せし
機
(
をり
)
斯
(
かく
)
は
捕
(
とら
)
はれて候なりと申せしかば大岡殿是を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
おもき物いみも既に
満
(
み
)
てぬ。絶えて
兄長
(
このかみ
)
の
面
(
おもて
)
を見ず。なつかしさに、かつ此の月頃の
憂
(
う
)
さ
怕
(
おそ
)
ろしさを心のかぎりいひ
和
(
なぐさ
)
まん。
眠
(
ねぶり
)
さまし給へ。我も
外
(
と
)
の方に出でんといふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
天下の美人、
豈
(
あに
)
、一人に限りましょうや。それがしは、唯それがしの武名が、髪の毛ほどでも、天下に名分が立たないようなことがあってはならん——と、それのみを
怕
(
おそ
)
れとします。
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赭
(
あか
)
く
燒
(
や
)
けた
杉
(
すぎ
)
の
木
(
き
)
を
控
(
ひか
)
へてからりとした
庭
(
には
)
は、
赤土
(
あかつち
)
の
斷崖
(
だんがい
)
の
底
(
そこ
)
に
沈
(
しづ
)
んだやうに
見
(
み
)
える。
蒼
(
あを
)
い
空
(
そら
)
を
限
(
かぎ
)
つて
立
(
た
)
つた
喬木
(
けうぼく
)
の
梢
(
こずゑ
)
が
更
(
さら
)
に
高
(
たか
)
く
感
(
かん
)
ぜられた。
勘次
(
かんじ
)
は
怕
(
おそ
)
ろしい
異常
(
いじやう
)
な
感
(
かん
)
じに
壓
(
あつ
)
せられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
怕
(
おそ
)
る日西山に
薄
(
せま
)
って愁阻を生じ易きことを
愛卿伝
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
敬二は
怕
(
おそ
)
れ
慄
(
ふる
)
えてばかりいなかった。
○○獣
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今は我
怕
(
おそ
)
れず、逃ぐる
術
(
すべ
)
なく恐ろしき
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「あゝ、
怕
(
おそ
)
ろしい夢を見た……」
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
われと悲しき
歓楽
(
くわんらく
)
に
怕
(
おそ
)
れて
顫
(
ふる
)
ふ。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
怕
(
おそ
)
るゝか死を。——
喉
(
のど
)
塞
(
ふた
)
ぎ
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
私は性慾に駆られて此線の手前迄来て、これさえ越えれば望む所の性慾の満足を得られると思いながら、此線が
怕
(
おそ
)
ろしくて越えられなかったのだ。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
こっちも飽きが出て何しに躍り来たか見定めなんだが、上述の蝮を殺した実験もあり、また昔無人島などで鳥獣を殺すとその
侶
(
とも
)
の鳥獣が
怕
(
おそ
)
れ
竄
(
かく
)
れず
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
お銀は床のなかで、その女が亭主に虐待されていたという話をして、自分の身のうえのことのように
怯
(
お
)
じ
怕
(
おそ
)
れた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
と、彼は誰へ言うともなく呟いてから、彼自身を顧みて、この言葉が自分の気持の上だけのものであることを恥て
怕
(
おそ
)
れながらも、優しく続けるのであった。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
『
證據
(
しやうこ
)
やある』と
王樣
(
わうさま
)
が
申
(
まを
)
されました、『
怕
(
おそ
)
れることはない、
早
(
はや
)
く
云
(
い
)
へ、さもなければ
即座
(
そくざ
)
に
死刑
(
しけい
)
だ』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
大きなる家の
九
賑
(
にぎ
)
ははしげなるに立ちよりて
一宿
(
ひとよ
)
をもとめ給ふに、
田畑
(
たばた
)
よりかへる男
等
(
ら
)
、
黄昏
(
たそがれ
)
にこの僧の立てるを見て、大きに
怕
(
おそ
)
れたるさまして、山の鬼こそ来りたれ
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
いつぞや
韓遂
(
かんすい
)
にいわれたことばを思い出して、馬超も、心に
怕
(
おそ
)
れを生じたか
三国志:08 望蜀の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
我は
怕
(
おそ
)
れず、このよきときに
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
怕
(
おそ
)
るゝか死を。——
喉
(
のど
)
塞
(
ふた
)
ぎ
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
茫然としていると、雨に打れて見る間に濡しょぼたれ、
怕
(
おそ
)
ろしく寒くなる。
身慄
(
みぶる
)
い一つして、クンクンと親を呼んで見るが、何処からも出て来ない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
邦、因って血を
嘔
(
は
)
いて死に、同日富人も稗を夢み病死した(『還冤記』)。桃はもと鬼が
甚
(
いた
)
く
怕
(
おそ
)
るるところだが、この張稗の鬼は桃を怖れず、桃枝もて人を殺す。
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
来た当座、針を動かしている彼は時々巡査の影を見て
怕
(
おそ
)
れおののいていた。そしてどんな事があっても、一切
日
(
ひ
)
の
面
(
おもて
)
へ出ることなしに、家にばかり
閉籠
(
とじこも
)
っていた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
怕
(
おそ
)
れはひと通りでなく、新たに計をたてて、まず残兵を集めて二手に分け、瓦口関の前に伏せ、本陣はなおも退却と見せかければ、張飛必ず追いくるに違いなし、そのとき一せいに打って出で
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は自分自身が
怕
(
おそ
)
ろしいと思った。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
されば最初猴を
怕
(
おそ
)
るる余りこれに食を供してなるべく田畑を荒さぬよう祈ったのを、後には田畑を守り作物を豊穣にする神としたので、前に載せた越前の刀根てふ処で
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
別室に閉じ
籠
(
こ
)
められた病人を看護している母親に、おどおどした
低声
(
こごえ
)
で時々話をするきりであった。兄を
怕
(
おそ
)
れたり、嫂に気をかねたりする様子が、ありありその動作に現われていた。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「孔明孔明というが、ほどの知れたものよ」と
怕
(
おそ
)
れるふうもなかった。
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
怕
漢検1級
部首:⼼
8画
“怕”を含む語句
可怕
怕々
忙怕
怕事
怕恐
怕敷
怕者
死不怕閻羅王
生不怕京兆尹
面怕