“慄”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ふる80.2%
ぞっ3.5%
おのの3.5%
2.5%
ぞつ1.5%
わなな1.2%
おび1.0%
わなゝ1.0%
0.7%
ぶる0.7%
よだ0.5%
をのゝ0.5%
をのの0.2%
ふるい0.2%
ふるへ0.2%
おそ0.2%
おそろ0.2%
おの0.2%
おのゝ0.2%
すく0.2%
ぞう0.2%
ぞく0.2%
ちぢ0.2%
ふるは0.2%
ふるわ0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
青年は何ともしれぬ恐怖に襲われ、ブルブルッと身をふるわせた。気がつくと、銜えていた紙巻煙草シガレットの火が、いつの間にか消えていた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
さすが豪胆のルパンも全身冷水を浴びた様にぞっとした。この物凄い、無気味な墓場の底から出て来る悲鳴は、果して何んだろうか?
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
王問うてその鐘に血を塗るため殺されにくを知り、これをゆるせ、われその罪なくしておののきながら死地に就くに忍びずと言う。
っとするね。十時間もたった屍体から、血が流れるなんて……。だが法水君、結局犯人の意志が、あれに示されているのではないだろうかね」
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
無事ぶじであつてなによりじや。そのくろおほきなやまとは、くじらぢやつた。おそろしいこと、おそろしいこと、いただけでもぞつとする」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
幽かな音をたてては食み盡くす蠶の眼のふちの無智な薄褐色かばいろわななきを凝と眺めながら子供ごころにも寂しい人生の何ものかに觸れえたやうな氣がした。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
「そう笑いなさるけどナ、組長さん」その噂を持ってきた職工は、おびえた眼を、わしの方に向けて云った。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ニコオロよ、いかにしておん身は歸りし、これも聖母の御惠みめぐみにこそといひつゝ、女は窓に走り寄りぬ。その聲は猶わなゝけり。われはどもりて、ゆるし給へ君と叫びぬ。
たとえ、ま昼に幽霊に出会いましたとても、私は、あの時ほどにるえわななきは致しませんでしょう。
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「おや李立、てめえ、急にヘンながたがたぶるいをしだしたじゃねえか。何かあったのかい」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
風が寒くて、皮下まで冷たいものを注射されるようだ、そのたびに身の毛がよだつ、再び小舎に戻る。
奥常念岳の絶巓に立つ記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
こゑふるへ、をのゝいて、わたしたち二十人にじふにんあまりをあわたゞしく呼寄よびよせて、あの、二重にぢう三重さんぢうに、しろはだ取圍とりかこませて、衣類きもの衣服きものはななかに、肉身にくしん屏風びやうぶさせて、ひとすくみにりました。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼はおそれて傍目わきめをもらざりけれど、必ずさあるべきを想ひてひとり心ををののかせしが、なほ唯継の如何いかなることを言出でんも知られずと思へば、とにもかくにもその場を繕ひぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
われふるいに襲はる。なみだいでつ。
いつは訴訟うつたへ出る條不屆ふとどき至極しごくなりとにらまれけるに兩人ハツと云てふるへ出せしがお深は猶強情がうじやう假令たとへ渠等かれら何と申上候共九助と節の不義致せし事は相違御座なくと何かまだ云んとするを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
九月に入ると、肥州ひしゅう温泉うんぜんだけが、数日にわたって鳴動した。頂上の噴火口に投げ込まれた切支丹宗徒きりしたんしゅうと怨念おんねんのなす業だという流言が、肥筑ひちくの人々をおそれしめた。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
此時はかならず暴風はやて力をそへて粉にくだきたる沙礫こじやりのごとき雪をとばせ、白日も暗夜あんやの如くそのおそろしき事筆帋ひつしつくしがたし。
さっきの夢にまだ心はおののき続けていたが、泣き声があまりひどいので怪しみながら寝台の上に坐った。
いのちの初夜 (新字新仮名) / 北条民雄(著)
わたしはおのゝく……
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
二郎は空怖しくなって、林の中にすくんでいると、その声は漸々と近づく。
稚子ヶ淵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
併し色が生白なまつちらけて眉毛がチヨロけて眼尻が垂れ、ちつと失礼の云分だがやまと文庫の挿絵の槃特はんどくに何処かてゐた。第一いやな眼付をして生緩なまぬるくちかれるとぞうつと身震が出る。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
早稲田大学に初めて野球部なるものゝ存在を見たのは、忘れもせぬ三十四年の十一月で、寒風肌を刺す戸山原頭とやまげんとうに、発会試合マツチを挙げた其日の寒さは、今思ひ出しても襟元がぞく々する位だ。
そこから見あげる位置にある恵庭えにわの嶺にはまだ雪のひだが畳まれていた。六月だというのに、はるばる吹きおろして来る風は野の草や木をちりちりとちぢませていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
からす』が翼をふるはした Never more は
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
その後から新製の装甲車が試射慾ししゃよくに触角をふるわせながら辷って来た。
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)