“ぞっ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ゾッ
語句割合
慄然40.8%
悚然33.3%
9.5%
竦然6.1%
3.4%
戦慄2.0%
悚気2.0%
凄然0.7%
慄悚0.7%
慄気0.7%
戦悚0.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
やがては肉も骨も溶け去ってしまうだろうと——まったく聴いてさえも慄然ぞっとするような、ある悪疫のおそれを抱くようになってしまった。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それでも若旦那が血だらけになって楽屋へかつぎ込まれた時には、わたしも総身に冷水みずを浴びせられたように悚然ぞっとした。
半七捕物帳:03 勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
私はぞっと悪寒を感じるのだ、私に忍術の心得があったら、こんな場合、ドロンといって消滅してしまうところなのだが、松之助でないから駄目だ。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
多くの者がチチコフの立場にいたく同情して、そのような多人数の農奴を移住させる苦労に竦然ぞっとした。
腕車くるまこわれたのも、車夫に間違えられたのも、来ようはずのない、芳原近くへ来る約束になっていたのかも知れないと、くだらないことだが、ぞっとしたんだね。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
隣家となりといっても、実は壁一重ひとえの事だから、人の談話声はなしごえがよく聞えるので、私は黙って耳をすまして聴いてると、思わず戦慄ぞっとした、隣の主人が急病で死んだとの事だ、隣家となりの事でもあるから
闥の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
嘉吉とかを聞くにつけても、よく気が違わずに済んだ事、とお話中に悚気ぞっとしたよ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「このじいさんは、ひとさらいかもしれない。」と、その子供こどもおなじことをいいました。これをくと三にんあたまからみずをかけられたように凄然ぞっとしてしました。
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
慄悚ぞっとした、玉露を飲んで、中気ぐすりめさせられた。そのいやな心持。えいめたといううちにも、エイと掛声で、上框あがりがまちに腰を落して、直してあった下駄を突っかける時
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
汗が冷く、慄気ぞっと寒い。息が発奮はずんで、身内が震う処から、取ったのを放してくれない指の先へ、ぱっと火がついたように、ト胸へ来たのは、やあ!こうやって生血を吸い取る……
星女郎 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こみちかぶさった樹々の葉に、さらさらと渡って、すそから、袂から冷々ひやひやはだに染み入る夜の風は、以心伝心二人の囁を伝えて、お雪は思わず戦悚ぞっとした。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)