“慌”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あわ56.9%
あわただ30.0%
あわたゞ4.3%
あわた3.7%
あは1.7%
あわて1.3%
あはたゞ0.9%
あはた0.2%
あわつ0.2%
いそが0.2%
せは0.2%
ぜわ0.2%
にはか0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
二少女は慌(あわ)てて道を避けようとした。その時、列の中の一人の兵士が、かちゃりと剣を鳴らして二人にわざとらしい挙手の礼をした。
春:――二つの連作―― (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そこへ二人の若者が、棒で一つの行李(こうり)を担って、慌(あわただ)しく空地へかけ込みながら「火を消して、火を消して」とただならぬ声で叫んだ。
地異印象記 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
こう書いてある手紙の端を持ったまゝ、瑠璃光は自分の身を疑うが如く、たゞ上(うわ)の空で、ところ/″\の文言を慌(あわたゞ)しく読み散らした。
二人の稚児 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
勘次等(かんじら)三人(にん)が出(で)て垣根(かきね)の外(そと)へ行(い)つたと思(おも)ふ頃(ころ)、椀(わん)を拭(ふ)いて居(ゐ)た一人(ひとり)が慌(あわた)だしく立(た)つて外(そと)へ出(で)た。暫(しばら)くして歸(かへ)つて來(く)るといきなり
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
と我鳴(がな)らしつけが、お妾(めかけ)は慌(あは)てもせず、珠(たま)の簪(かんざし)を抜(ぬ)くと、舷(ふなばた)から水中(すゐちう)へ投込(なげこ)んで、颯(さつ)と髪(かみ)の毛(け)を捌(さば)いたと思(おも)へ。……胴(どう)の間(ま)へ突伏(つゝぷ)して動(うご)かぬだ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
「成程、あの時吉太は毛が変るといったが、真実(ほんとう)であった。」と思い出して、吉太が慌(あわて)て絵具皿を奪ったことなど考えた。
不思議な鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
その最初の一瞥の慌(あはたゞ)しさ! そしてどんなに見詰めることか! 何といふ驚愕! どんなに、不意に、烈しく、彼は、一瞬間前には
婦人(をんな)は慌(あはた)だしく遮(さへぎ)つて声(こゑ)を懸(か)けた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
頼める夫(つま)のさしも思はで頼無(たのみな)き言(ことば)に、お峯は力落してかつは尠(すくな)からず心慌(あわつ)るなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この間うちは何処を歩いてゐたのか、仕事の支度のために出かけたといふにしては余り長過ぎた! などといふ訊問が皆の口から始まらうとしたのを打ち払つて私は、慌(いそが)しくせきたてた。
熱い風 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
彼方此方に灯りが点いて、人々が行き来する影が慌(せは)し気に障子に映り出した。
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
山崎は、アカシヤの葉がのび、白い藤のような花がなまめかしく匂う通りを、気慌(ぜわ)しげに往き来した。彼は、不機嫌だった。不機嫌なのは、一緒に出かける筈の陳がまだ帰ってこないからだ。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
王の御手が私の肩に触れたのを感ずると私は慌(にはか)に厳然と直立して、未だ王が何事も云ひ始めぬのに
青白き公園 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)