“むか”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ムカ
語句割合
29.8%
27.6%
21.8%
6.8%
3.8%
3.0%
1.2%
0.7%
0.7%
0.4%
0.4%
0.4%
無可0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
无何0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
歡迎0.1%
無家0.1%
無瑕0.1%
目迎0.1%
0.1%
0.1%
見向0.1%
0.1%
0.1%
適当0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
一つの堂を中にし、庭を隔ててむかいの楼上の燈を見るに、折から霧濃く立迷いたれば、海に泊まれる船の燈をくがより遥に望むが如し。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
この夏もおたがひたび先や何かで久しくかほを合せなかつた二人、さて新秋になると、むかうはあた海で勉強べんけうして大につよくなつたと自しんを持ち
卯平うへい久振ひさしぶり故郷こきやうとしむかへた。彼等かれらいへ門松かどまつたゞみじかまつえだたけえだとをちひさなくひしばけて垣根かきね入口いりくちてたのみである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
むかしより長い戦争には戦場で討死する人よりも病気で死ぬ人が多いとしてあります。病気で死ぬのは犬死いぬじにで何の役に立ちません。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
我と此男とは暫しむかひ坐して語を交ふることなく、男は手を額に加へて物案ずるさまなりしが、忽ち頭を擧げて我面をまもりたり。
〔譯〕心は現在げんざいせんことをえうす。事未だ來らずば、むかふ可らず。事已にかば、ふ可らず。わづかに追ひ纔かに邀へば、便すなはち是れ放心はうしんなり。
唯だ至粋をむかへて之を或境地にむるは人間の業にして、時代なる者は常に其の択取たくしゆしたる至粋を歴史の明鏡に写し出すなり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
と勢い烈しくむかいましたから、丹三たんざはこれにおくしてあとしさると、おえいは嫁入姿の儘で駆出し、可愛い丹三さんに怪我をさせてはならないと思い
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
キリスト教では眼でとれたばかりが既に姦婬同然といい、儒書にも宋の華父督が孔父の妻を途に見、目むかえてこれを送り曰く、美にしてえんなりと、竹添たけぞえ先生のせん
昨夜ゆうべはからどうもすっぱりむかれた」と自慢にているとは馬鹿気た事でございます。
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
為政以徳まつりごとをなすにとくをもってすれば譬如北辰たとえばほくしんの居其所そのところにいて而衆星共之しゅうせいのこれにむかうがごとし」というのは、ひとり君道をしかりとなすのみではない。人は皆奈何いかにしたら衆星がおのれむかうだろうかと工夫しなくてはならない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
きたむかへるわが畏怖おそれの原の上に
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
無可むか先生は、そのためか、いつもそっちの折角明るい軒へ、一れんをかけているので、いとど狭い室内は、よけいに薄暗い。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
折々は黄金丸が枕辺にて、有漏覚うろおぼえの舞の手振てぶり、または綱渡り籠抜かごぬけなんど。むかとったる杵柄きねづかの、覚束おぼつかなくもかなでけるに、黄金丸も興に入りて、病苦もために忘れけり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
孔子が四度目に衛を訪れた時、若い衛侯や正卿孔叔圉こうしゅくぎょ等からわれるままに、子路を推してこの国に仕えさせた。孔子が十余年ぶりで故国にむかえられた時も、子路は別れて衛に留まったのである。
弟子 (新字新仮名) / 中島敦(著)
(下に図するこれなり)きざみたる人のかしらを左りにむかせ、そのしもに五字をほりつけしは、是より左り蛾眉山下橋がびさんかのはしなりと人にをしゆる標準みちしるべなりとかたられき。是にて義理ぎり渙然くわんぜんたり。
そして宮本武蔵、无何むかと俳号氏名が併記してあるが、さてどういうものであろうか。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
无何むかというその俳号と共に、彼の句が載せられていることだった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
向日葵ひまわり毎幹まいかん頂上ちょうじょうただ一花いっかあり、黄弁大心おうべんたいしんの形ばんごとく、太陽にしたがいて回転す、し日が東にのぼればすなわち花は東にむかう、日が天になかすればすなわち花ただちに上にむか
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
日が西にしずめばすなわち花は西にむか
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
「でも、赤橋殿の妹君いもぎみむかえ、いまは御一族でございますのに」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「俺がおとよさんだったら、四十越してむかさるなんぞ厭だなあ、今の者は年とっても一人でおられないかしらて……」
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「いいえ、私はただ通りかかったばかりなんです。でもまあ遁げてくれて可かったけれど、むかって来たらどうしようかと思ったよ。……可哀相に、綺麗な植木の花が。」
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼女はウエィルス生れの大きな婦人で、これまでは彼女の例のいびきがうるさいものとしか思ひやうがなかつたのだけれど、今夜の私は、最初の太い響きを滿足をもつて歡迎むかへた。
幾度いくたびと無くおそるべき危険の境を冒して、無産無官又無家むか何等なんらたのむべきをもたぬ孤独の身を振い、ついに天下を一統し、四海に君臨し、心を尽して世を治め、おもつくして民をすく
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
各生涯を通じて完全無瑕むかと保険付きでない。
帳場に横向きになって、拇指おやゆびの腹で、ぱらぱらと帳面を繰っていた、ふとった、が効性かいしょうらしい、円髷まるまげの女房が、莞爾にっこり目迎むかえたは馴染なじみらしい。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「君子の道は闇然あんぜんたり、か。」魚容は苦笑して、つまらぬ洒落しゃれを言い、「しかし、いんむかいて怪を行う、という言葉も古書にある。よろしく窓を開くべしだ。漢陽の春の景色を満喫しよう。」
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)
松塘が長句に曰く「去年正月尋君時。手挈杉田梅一枝。今年春又君問我。衝門先覚香風吹。担来繁蕊如人白。一堂照映坐為窄。」〔去年正月君ヲ尋ネシ時/手ニひっさグ杉田ノ梅一枝/今年春又君我ヲ問フ/門ニむかヒテ先ヅ覚ユ香風ノ吹クヲ/かつギ来ル繁蕊人ノ白キガ如シ/一堂照映シテおのずかせまシト為ス〕云々。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
……振向くお孝に見向むかって
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いとも三三一げんなる法師にて、およ三三二疫病えやみ妖災もののけいなむしなどをもよく祈るよしにて、此のさとの人はたふとみあへり。此の法師三三三むかへてんとて、あわただしく三三四呼びつげるに、ややして来りぬ。
その弟忍熊の王、そのしわざかしこまずして、軍を興し、待ち向ふる時に、喪船にむかひてむなふねを攻めたまはむとす。ここにその喪船より軍を下して戰ひき。
「どうも僕なんかには、東京は適当むかねえようだね。うるさくって、うるさくって。あれじゃ、気が荒くなるのも無理はねえですよ。ちょっと電車へ乗るんだって、まるで喧嘩腰だもの。——さあ、どうです一本……」
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
いはく、『西河せいがまもりて、しんへいあへひがしむかはず、かんてう(九二)賓從ひんじうするは、いづれぞ』と。