“放心”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぼんやり35.7%
うっかり21.4%
うつかり14.3%
ほうしん14.3%
なげやり7.1%
はうしん7.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その間、すこし離れたところに駕籠を守って辰が放心ぼんやり待っていたというから、こいつの眼玉は大きいだけでよくよく役に立たなかったものとみえる。
先生の放心うっかりつとに有名なもので、のみならず、たいへん不器用である。持って出た雨傘を持って帰ったことはなく、この年齢としになって、じぶんで鶏卵たまごを割ることができない。
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
卯平うへいくぼんだしかめるやうにした。勘次かんじ放心うつかりした自分じぶんふところものうばはれたほど驚愕きやうがく不快ふくわいとのもつ卯平うへいとおつたとをた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
赤土あかつちの乾きが眼にも止まらぬ無数の小さな球となって放心ほうしんしたような広い地盤じばん上の層をなしている。一隅いちぐうに夏草の葉が光ってたくましく生えている。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
沈着おちついた所もなく、放心なげやりに見渡せば、総てはなやかに、にぎやかで、心配もなく、気あつかいも無く、浮々うかうかとして面白そうに見えるものの、熟々つらつら視れば、それは皆衣物きもので、躶体はだかみにすれば、見るもけがらわしい私欲
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
〔譯〕心は現在げんざいせんことをえうす。事未だ來らずば、むかふ可らず。事已にかば、ふ可らず。わづかに追ひ纔かに邀へば、便すなはち是れ放心はうしんなり。