“莞爾”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
にっこり30.0%
かんじ27.3%
につこり11.0%
にっこ7.3%
にこ4.3%
につこ4.0%
にこ/\3.5%
にこり3.3%
くわんじ2.8%
にこにこ2.0%
にこやか1.8%
にツこり0.5%
にこや0.5%
にッこり0.5%
こに/\0.3%
にこつ0.3%
にこつき0.3%
にこつく0.3%
にこよか0.3%
にっ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
御新造さまと呼ばれて莞爾にっこりあいよと笑った事、それやこれや小歌の我れに対する誠が一通りでないようで、かつまたあのやさしい小歌に
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
と、辞気甚だ謙で、贈るところは頗る大きく、かつ、子息鍋丸にまで、柴田伝来の“莞爾かんじ”の銘のある名刀を与えたりなどしている。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兎角とかく一押いちおし、と何處どこまでもついてくと、えんなのが莞爾につこりして、馭者ぎよしやにはらさず、眞白まつしろあを袖口そでくち、ひらりとまねいて莞爾につこりした。
麦搗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その第三頁目には王冠をいただいた白髪小僧の姿と美事な女王の衣裳を着けた美留女姫が莞爾にっこと笑いながら並んでいる姿がいてあった。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
よその子供等が裾にからまって来ると、彼女は優しい身振りでそれをけたり、抱きとめたりした。そしてその母親たちには莞爾にこやかな笑顔をむけた。
フェリシテ (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
いつはりではけれどくすとはなにを、デハわたしからまをしませう深山みやまがくれのはなのおこゝろひさして莞爾につことすれば、アレわらふてははぬぞよ
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
少し此方に来たところで、向うからかねて仲好くしてゐるこの町の照子といふ娘が、莞爾にこ/\しながら歩いて来るのにぱつたり出会した。
百合子 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
父様も建てるか坊も建てたぞ、これ見て呉れ、とも勇ましく障子を明けて褒められたさが一杯に罪無く莞爾にこりと笑ひながら、指さし示す塔の模形まねかた
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
欺かんとは不屆至極ふとゞきしごくなりと叱付しかりつければ天一坊は莞爾くわんじと打笑ひ越前は逆上ぎやくじやうせしと見えたり此頃まで三百俵の知行なりしが三千石の高祿かうろくになり當時町奉行を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
お葉は白い紙に紅い花を軽く包んで渡すと、重太郎は菓子を貰った小児こどものように、莞爾にこにこしながら懐中ふところに収めた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「これはこれはオースチンご老師ようこそおいでくだされました」その若い武士はこう云うと莞爾にこやかに笑って頭を下げ
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
するとうれしさうに莞爾にツこりして其時そのときだけは初々うゐ/\しう年紀としも七ツ八ツわかやぐばかり、処女きむすめはぢふくんでしたいた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
今まで何だか変なつらだと思った人の顔が、「お早う」を言ってからは、急に何となく打解けて、莞爾にこやかなようにちがって来る、即ちその人の顔に飾が附いたようになる。
教育の目的 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
お勢もさすがに莞爾にッこりして、「それでも睡いんだものを」と睡そうに分疏いいわけをいう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
今芸術座の理事をしてゐる中村吉蔵きちざう氏は、ひとが大阪一流の芸妓げいこはと訊くと、急に莞爾こに/\して
叔父は、内赤に塗つた大きい提子ひさげに移した酒を、更に徳利に移しながら、莞爾にこついた眼眸めつきじつと徳利の口をみつめてゐた。
刑余の叔父 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
誇る時に不思議や馬の太腹我腰のあたりにとりの啼聲す顧みればとりはなく若き男葉付の竹を杖にして莞爾にこつき居たり
木曽道中記 (旧字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
どれどれ今日きょうは三四日ぶりで家へ帰って、叔父さん叔父さんてあいつめが莞爾にこつく顔を見よう、さあ、もう一服やったら出掛けようぜ
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
蘆垣あしがきなか似児草にこぐさ莞爾にこよかわれましてひとらゆな 〔巻十一・二七六二〕 作者不詳
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
孫恪はおそれて遁げ出そうとしたが、それも怖ろしいのでわなわなと慄えていた。袁氏は莞爾にっと笑って孫恪の顔を見て
碧玉の環飾 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)