“かれ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カレ
語句割合
60.8%
23.4%
彼女7.9%
1.7%
1.7%
0.7%
0.7%
0.5%
0.3%
渠女0.2%
子供0.2%
0.2%
0.2%
彼奴0.2%
彼子0.2%
彼氏0.2%
彼者0.2%
悴槁0.2%
0.2%
葛例0.2%
藤吉0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
温泉をんせんかうとして、菊屋きくや廣袖どてら着換きかへるにけても、途中とちう胴震どうぶるひのまらなかつたまで、かれすくなからずおびやかされたのである。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
韻文にはかぬから小説を書いて見ようと思ふと云ふのがかれの癖で、或時其書かうとして居る小説の結構を竹山に話した事があつた。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
驚いてその仔細をただしたが、彼女かれは何にも答えなかった。赤児は恐らく重蔵のたねであろうと思われるが、男の生死しょうしは一切不明であった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
われいまだかれを見しことなければ、もし過失あやまちての犬をきずつけ、後のわざわいをまねかんも本意ほいなしと、案じわづらひてゐけるほどに。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
……たった一人で寝起きをしている村外れの茶屋のかまどの前で、痩せかれた小さな身体からだ虚空こくうを掴んで悶絶していた。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
かれ、太素は杳冥えうめいたれども、本つ教に因りてくにはらみ島を産みたまひし時をり、元始は綿邈めんばくたれども、先の聖にりて神を生み人を立てたまひし世をあきらかにす。
一妓ひとりのぎ社のうしろに入りて立かへり石の水盤てうづばちかれたる水をわづかすくひあらひしはたれりしならん。
「願いさげだな」男は眼の隅で、文次をぬすみ見ながら、云った、「おめえの酒は女っくせえ、しゃれて云えば女の涙で塩っかれえからな、——伴れがあるようだが友達か」
あすなろう (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
かれをやすくすかしよせて、これをもてかしら打被うちかずけ、力を出して押しふせ給え、手弱たよわくあらばおそらくは逃去らん」と云った。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
で、聞く一言一言が、渠女かれの身に取ると、胸に釘を打たるる思ひ。その場へ昏倒するのではないかと思はれた事も幾度かであつた。
もつれ糸 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
渠女かれは始終、涙と太息ためいきとで聞いてしまつて、さて心の糸のもつれもつれて、なつかしさと切なさとに胸裡は張り裂けんばかり、銀が今の身の上最愛いとしと思ひつめては、ほとんど前後不覚。
もつれ糸 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
さて子供かれは聴く気づかはしげな薔薇色のしめやかな蜜の匂ひの
子供かれは感じる処女をとめらの黒い睫毛まつげがにほやかな雰気けはひの中で
けれども校長かうちやうかれたいする樣子やうす郡長樣ぐんちやうさんたいするほど丁寧ていねいなことなので、すで浮世うきよ虚榮心きよえいしんこゝろ幾分いくぶんめられてぼくにはまつたあやしくうつつたのです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
震災直後の東京ではライスカレー一皿で要求に応じた女が居たとたれかれも云う。
東京人の堕落時代 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
彼奴かれは私に見られたことなど少しも気づいていないのですから、きっと街道筋へ出るに相違ありません。そこへ気がつくと、私はやにわに、湖畔亭の前を通っている村道に駈つけました。
湖畔亭事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ふむ、大村耕作といつたな、なるほど忘れてゐた、さうだ、それだ。では彼子かれは国にゐた時分、七八歳だつたから、僕の顔を
誰が罪 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
トムを知る者も知らないものも先輩の彼氏かれへ対して汁椀しるわんを上げて敬意を表した。それからぞろぞろと監房へ分れて帰ると、二時間の作業である。一時間の修身である。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
幸ひきやつを殺し彼者かれが勝し五百兩の金を奪ひ取んと心がけさきへ廻つてわしの宮の杉林すぎばやしに身をかくし金兵衞の來るを今やおそしと待懸たり金兵衞はかゝるべしとはゆめにも知ず慈恩寺村じおんじむらにて打勝し五百兩を懷中くわいちう小歌こうた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
羊の色は白く、雑色ありといえども白が多し、秋陰の殺気に近きが故に死を聞く時はすなわちおそれず。およそ草木牛噉ぎゅうたんを経るの余は必ず茂る、羊噉を経るの余は必ず悴槁かれる。
第二番に何屋のかれ綺羅きらを尽くした伊達だて姿が、眼の前を次から次に横切っても、人々は唯、無言のまま押合うばかり。眼の前の美くしさを見向きもせず。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『倭名鈔』の郷名に葛例かれまたは嘉礼があるというが、この類例は今日は多くは佳例川・嘉例川などと川の字を伴ないて存しかえって涸渓の説に背いている。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
偶然を、藤吉親分は、巡り合わせと呼んでいたが、そのめぐりあわせだけでは説き得ない、割りきれないものが、藤吉かれの心に残ったに相違なかった。
かれから間もなく父は死んで了ふ、婿といふのが思ツたより意久地がなくツて、到底一家を支へて行く力がなかツたばかりか、病身で稼が思ふやうでないで、家が始終しよつちゆゴタ/\する。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)