“杖”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
つえ61.4%
つゑ10.7%
ステッキ7.7%
じょう4.4%
4.1%
づえ3.6%
ステツキ2.5%
0.8%
シュトック0.6%
しもと0.6%
ケン0.6%
むち0.6%
ぢやう0.3%
ケーン0.3%
0.3%
つゑつ0.3%
づゑ0.3%
キュウ0.3%
シュリンゲ0.3%
ツヱ0.3%
バートン0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おかの麦畑の間にあるみちから、中脊ちゅうぜい肥満ふとった傲慢ごうまんな顔をした長者が、赤樫あかがしつえ引摺ひきずるようにしてあるいて来るところでありました。
宇賀長者物語 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
按摩あんまつゑちからに、かはべりの水除みづよづゝみると、つゑさき両手りやうてをかけて、ズイとこしばし、みゝそばだてゝかんがえて様子やうす、——とふ。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
構わず談じようじゃあねえか、十五番地の差配おおやさんだと、昔気質かたぎだからいんだけれども、町内の御差配ごさいはいはいけねえや。羽織袴でステッキ
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
けれども、今度もまた、自分に敗れたなら、あの権之助は、今日まで誇っていたじょうの自信を失って、ほんとに志を断つであろう。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鎌をいてその上に腕をくみ合せ、何処を見るともなくきょとんとした眼つきをして、はてしもなく種々いろいろなことを思いだしていた。
麦畑 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
ところがこの禿の奴、一本のニス塗りのステッキを持っていて——それこそ阿Qに言わせると葬式の泣きづえだ——大跨おおまたに歩いて来た。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
牧師は慌ててステツキ引込ひつこめた。ステツキといふのは、さる富豪ものもち寡婦ごけさんが贈つて来たもので、匂ひの高い木に金金具きんかなぐが贅沢に打ちつけてあつた。
あの方が壯盛ワカザカりに、捧術ホコユケコノんで、今にも事あれかしと謂つた顏で、立派なヨロヒをつけて、のつし/\と長い物をいて歩かれたお姿が、あれを見てゐて、ちらつくやうだなど
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
カチカチに凍りついた雪を踏みしめて、サック、サック、一足ごとにシュトックをついて、星明りに蒼く光る雪の斜面にかかった時、かつて覚えない緊張した気持ちになった。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
倶不戴天ぐふたいてんの親のあだ、たまさか見付けて討たんとせしに、その仇は取り逃がし、あまつさへその身は僅少わずかの罪に縛められて邪見のしもとうくる悲しさ。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
「それではお前に尋ねるが、リンネルの背広に鳥打帽ハンチングを冠むり、支那竹のケンを携えた三十七八の紳士が今日、お前の所へ来られた筈だが?」
闘牛 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
村役人はかねてから王の才能を尊敬して、篤行の士と言うことを知っていたので、西隣の父親のいうことはいごとだといって、むちで打たそうとした。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
ぢやうの手は眼にもとまらず引くと見せ打つと返すと十方じつぱう無礙むげなり
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「そ、それを御承知のくせに」とクリヴォフ夫人はたまらなくなったように立ち上り、ケーンを荒々しく振って叫んだ。「だからこそ私達は、その伴侶を焼き捨てて欲しいと御願いするのです」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
此国を巡狩して山路に矛をてしに、其矛忽ち光を放ち、又其光飛んで止まった所に至ると老翁が現れて、吾是猿田彦命也、嚮導きょうどうを為さんと欲するが故に此に来ったということになっている。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
およそ傲逸彼の如きは、乱世にありて一仏徒として終ること能はざるところなり、然るに彼をして遂に剣鎗につゑつかずして、経典にらしめたるもの、そもいかなる鬼物の神力ならむ。
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
秤に分銅を縛つてあつたといふから、こいつは恐ろしい得物だ、手もなく寶山はうざん流のづゑ
風「チョオクの多少はわざの巧拙には関せんよ。遊佐が無闇むやみキュウ取易とりかへるのだつて、決してとも好くはない」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
シュリンゲの紐が巻きついてて、振りちぎったものだから……いいやそんなに痛かない」
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
挽歌に巌門イハトイハねを言ひ、水鳥・大君のおもふ鳥を出し、ツヱいてのさまよひを述べ、紐を云々する事の多いのは、皆、鎮魂式の祭儀から出て居る。
僕の籐のステッキがまづ魔法のバートンといふところ。これで觸つたら、小鳥だらうが、花だらうが、木の枝だらうが、みんなお喋舌りをしはじめさうである。僕はそつとステッキを小脇にかくす。
絵はがき (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)