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杖
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ステツキ
ふりがな文庫
“
杖
(
ステツキ
)” の例文
牧師は慌てて
杖
(
ステツキ
)
を
引込
(
ひつこ
)
めた。
杖
(
ステツキ
)
といふのは、さる
富豪
(
ものもち
)
の
寡婦
(
ごけ
)
さんが贈つて来たもので、匂ひの高い木に
金金具
(
きんかなぐ
)
が贅沢に打ちつけてあつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
『今日は奈何して、
那麽
(
ああ
)
冷淡だつたらう?』と、智恵子の事を考へ乍ら、信吾は強く
杖
(
ステツキ
)
を揮つて、
路傍
(
みちばた
)
の草を
自暴
(
やけ
)
に
薙倒
(
なぎたふ
)
した。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
手
(
て
)
を
挙
(
あ
)
げ、
帽
(
ばう
)
を
振
(
ふ
)
り、
杖
(
ステツキ
)
を
廻
(
ま
)
はしなどして、わあわつと
声
(
こゑ
)
を
上
(
あ
)
げたが、
其
(
そ
)
の
内
(
うち
)
に、
一人
(
ひとり
)
、
草
(
くさ
)
に
落
(
おち
)
た
女
(
をんな
)
の
片腕
(
かたうで
)
を
見
(
み
)
たものがある。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「基督も『
窄
(
せま
)
き門より
入
(
い
)
れよ』と仰有つたぢやないか、お前達がこんな
杖
(
ステツキ
)
なぞ持つてたら窄い門を入るのに邪魔にならあ。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
上
(
あ
)
げてやらうと、
杖
(
ステツキ
)
で、……かう
引
(
ひ
)
くと、
蝉
(
せみ
)
の
腹
(
はら
)
に五つばかり、
小
(
ちひ
)
さな
海月
(
くらげ
)
の
脚
(
あし
)
の
様
(
やう
)
なのが、ふら/\とついて
泳
(
およ
)
いで
寄
(
よ
)
る、
食
(
く
)
つてゐやがる——
蝦
(
ゑび
)
である。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
信吾は五六歩歩いて、
思切悪気
(
おもひきりわるげ
)
に立留つた。そして
矢張
(
やつぱり
)
振返つた。目は、淡く
月光
(
つきかげ
)
を浴びた智恵子の横顔を見てゐる。コツ/\と
杖
(
ステツキ
)
の
尖
(
さき
)
で下駄の鼻を叩いた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「御心配さつしやりますな。その窄い門とやらに入ります前に、
俺
(
わし
)
ら
杖
(
ステツキ
)
を売る事を知つとりますな。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
杖
(
ステツキ
)
を
取
(
と
)
るや
否
(
いな
)
や、
畜生
(
ちくしやう
)
と
言
(
い
)
つて、
窓
(
まど
)
を
飛下
(
とびおり
)
ると、
何
(
ど
)
うだらう、たゝきもひしぎもしないうちに、
其
(
そ
)
の
蛇
(
へび
)
が、ぱツと
寸々
(
ずた/\
)
に
斷
(
き
)
れて
十
(
とを
)
あまりに
裂
(
さ
)
けて、
蜿々
(
うね/\
)
と
散
(
ち
)
つて
蠢
(
うごめ
)
いた。
間引菜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
『ハハヽヽ。』と笑つて信吾は
杖
(
ステツキ
)
の
尖
(
さき
)
でコツ/\石を叩き乍ら歩いたが
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と怒鳴りつけて、厭といふ程
尻
(
しり
)
つ
辺
(
ぺた
)
を
杖
(
ステツキ
)
でどやしつけたものださうだが、新太郎少将はそんな
杖
(
ステツキ
)
を持たなかつたから城下の人達は
尻
(
しり
)
つ
辺
(
ぺた
)
を叩かれる心配だけは無かつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
と
呼
(
よ
)
んで、ト
引返
(
ひきかへ
)
した、
鳥打
(
とりうち
)
を
被
(
かぶ
)
つた
男
(
をとこ
)
は、
高足駄
(
たかあしだ
)
で、
杖
(
ステツキ
)
を
支
(
つ
)
いた
妙
(
めう
)
な
誂
(
あつら
)
へ。
路
(
みち
)
は
恁
(
か
)
う
乾
(
かわ
)
いたのに、
其
(
そ
)
の
爪皮
(
つまかは
)
の
泥
(
どろ
)
でも
知
(
し
)
れる、
雨
(
あめ
)
あがりの
朝早
(
あさはや
)
く
泥濘
(
ぬかるみ
)
の
中
(
なか
)
を
出
(
で
)
て
來
(
き
)
たらしい。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
備前の新太郎少将が、ある時お
微行
(
しのび
)
で岡山の町を通つた事があつた。
普魯西
(
プロシヤ
)
のフレデリツク大王は忍び歩きの時でも、いつも
握
(
にぎ
)
り
太
(
ふと
)
の
杖
(
ステツキ
)
を
揮
(
ふ
)
り廻して
途々
(
みち/\
)
懶
(
なま
)
け
者
(
もの
)
を見ると
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さま/″\の
女
(
をんな
)
を
引込
(
ひつこ
)
むのを
術
(
て
)
としたが、
當春
(
たうしゆん
)
、
天氣
(
てんき
)
麗
(
うらゝ
)
かに、
桃
(
もゝ
)
の
花
(
はな
)
のとろりと
咲亂
(
さきみだ
)
れた、
暖
(
あたゝか
)
い
柳
(
やなぎ
)
の
中
(
なか
)
を、
川上
(
かはかみ
)
へ
細
(
ほそ
)
い
杖
(
ステツキ
)
で
散策
(
さんさく
)
した
時
(
とき
)
、
上流
(
じやうりう
)
の
方
(
かた
)
より
柳
(
やなぎ
)
の
如
(
ごと
)
く、
流
(
ながれ
)
に
靡
(
なび
)
いて
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
生意氣
(
なまいき
)
に
杖
(
ステツキ
)
を
持
(
も
)
つて
立
(
た
)
つて
居
(
ゐ
)
るのが、
目
(
め
)
くるめくばかりに
思
(
おも
)
はれました。
雪霊記事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
動悸
(
どうき
)
が
分
(
わか
)
りませう、
手
(
て
)
の
震
(
ふる
)
へるのを
御覽
(
ごらん
)
なさい、
杖
(
ステツキ
)
にも
恥
(
はづ
)
かしい。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と
横
(
よこ
)
に
杖
(
ステツキ
)
で
指
(
さ
)
した、
男
(
をとこ
)
は
又
(
また
)
やゝ
坂
(
さか
)
を
下
(
した
)
へ
離
(
はな
)
れたのである。
艶書
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
……
細
(
ほそ
)
い
杖
(
ステツキ
)
を
持
(
も
)
たないのが
物足
(
ものた
)
りないくらゐなもので。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“杖”の解説
杖(つえ)は、体を支え、歩行の助けとするために用いられる細長くまっすぐな、手で持つのに適した道具。長くて自分の腰の高さ程度のもので、木製、竹製である場合が多い。稀に象牙や金属で作られることもある。杖は権威の象徴とされたほか、蛇や獣を追い払う道具さらに武器としても使われた。また、白杖は視覚障害者の安全の確保のためにも用いられる。
(出典:Wikipedia)
杖
漢検準1級
部首:⽊
7画
“杖”を含む語句
洋杖
頬杖
撞木杖
竹杖
錫杖
虎杖
金剛杖
松葉杖
粥杖
息杖
側杖
仕込杖
弓杖
頤杖
杖柱
禅杖
遊杖
卯杖
刀杖
桛杖
...