八歳やつ)” の例文
しみ/″\ぞんじてりますのは、まだ七歳なゝつ八歳やつ御親父樣ごしんぷさまも、御存命ごぞんめい時分じぶんでござりますから、彼是かれこれざつと二十ねん
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「まだお八歳やつにしかおなりなさいませぬが、ご当家において、ご養育あそばされている、吉里君よしさとぎみではないかと」
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私あれに控へてをりまして、様子は大方存じてをります。七歳ななつ八歳やつの子供ぢや御座いません、それ位の事は誰にだつてぢきに解りませうでは御座いませんか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
みねは三すけきしめて、さてもさても世間せけん無類むるい孝行かう/\おほがらとても八歳やつ八歳やつ天秤てんびんかたにしていたみはせぬか、あし草鞋わらじくひは出來できぬかや、堪忍かんにんしてくだされ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
八歳やつの時に別れたゆえ碌々顔形も分らないがな、其方そちの実の親の鹽原角右衞門であるぞ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
すると隣家となりに十二ばかりの女の子を上に八歳やつばかりと五歳いつつばかりの男の子が居た。
闥の響 (新字新仮名) / 北村四海(著)
然し今はただ一色ひといろよごれはてた、肩揚のある綿入を着て、グル/\巻にした髪には、よく七歳ななつ八歳やつの女の児の用ゐる赤い塗櫛をチヨイと揷して、二十はたちの上を一つ二つ、頸筋は垢で真黒だが
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
自身みずから八歳やついもと五歳いつつ(そのころは片言まじりの、今はあの通り大きくなりけるよ)桜模様の曙染あけぼのぞめ、二人そろうて美しと父上にほめられてうれしく、われは右妹は左母上を中に、馬車をきしらして
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
『アアいたいた八歳やつばかしの。』何心なく江藤は答える。
郊外 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
それと見るより八歳やつになる
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
と、云い聞かされて、七ツ八歳やつ頃からし始めたことであった。雨さえ降らなければ、日課のように
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大がらとても八歳やつは八歳、天秤肩にして痛みはせぬか、足に草鞋くひは出來ぬかや、堪忍して下され、今日よりは私も家に歸りて伯父樣の介抱活計くらしの助けもしまする
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
なつかしき母には八歳やつの年に別れ、肩をすぼめて継母のもと十年ととせを送り、ようやく良縁定まりて父の安堵あんどわれもうれしと思う間もなく、しゅうとの気には入らずとも良人のためには水火もいとわざる身の
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
大がらとても八歳やつは八歳、天秤てんびん肩にして痛みはせぬか、足に草鞋くひは出来ぬかや、堪忍かんにんして下され、今日けふよりは私もうちに帰りて伯父様の介抱活計くらしの助けもしまする
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
八歳やつになりました」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八百安が物は何時も帳面につけた樣なと笑はるれど、愛顧ひいきは有がたきもの、曲りなりにも親子三人の口をぬらして、三之助とて八歳やつになるを五厘學校に通はするほどの義務つとめもしけれど
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
八百安が物は何時いつも帳面につけた様なと笑はるれど、愛顧ひいきは有がたきもの、曲りなりにも親子三人の口をぬらして、三之助とて八歳やつになるを五厘ごりん学校に通はするほどの義務つとめもしけれど
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
八百安やをやすもの何時いつ帳面ちやうめんにつけたやうなとわらはるれど、愛顧ひいきありがたきもの、まがりなりにも親子おやこ三人のくちをぬらして、三すけとて八歳やつになるを五厘學校ごりんがくかうかよはするほどの義務つとめもしけれど
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)