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音羽
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おとわ
ふりがな文庫
“
音羽
(
おとわ
)” の例文
音羽
(
おとわ
)
の山林の藪の中に、佐分利ヤス、マサと申す母子が、ノド笛をかみとられ、腹をさかれ肝臓を奪われてことぎれておりました。
明治開化 安吾捕物:04 その三 魔教の怪
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「京へは近うございますが、大阪へは廻り道で、山から山を
音羽
(
おとわ
)
や
笠取
(
かさとり
)
の里へとって、宇治の
富乃荘
(
とみのしょう
)
へも出られると申します」
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小日向
(
こびなた
)
から
音羽
(
おとわ
)
へ降りる
鼠坂
(
ねずみざか
)
と云う坂がある。鼠でなくては上がり降りが出来ないと云う意味で附けた名だそうだ。
鼠坂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この通を行尽すと
音羽
(
おとわ
)
へ曲ろうとする角に大塚火薬庫のある高い崖が聳え、その
頂
(
いただき
)
にちらばらと
喬木
(
きょうぼく
)
が立っている。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
とか『
音羽
(
おとわ
)
屋(その頃は三代目菊五郎だったが)の三浦之介とはお月様と
泥鼈
(
すっぽん
)
だ。第一顔の作り方一つ知らねえ』
ある恋の話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
▼ もっと見る
世を
佗
(
わ
)
びて、風雅でもなく洒落でもなく、
詮方
(
せんかた
)
なしの裏長屋、世も宇喜川のお春が住むは
音羽
(
おとわ
)
の里の片ほとり。
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
主婦は江戸で生まれてほとんど東京を知らず、ただ
音羽
(
おとわ
)
の親類とお寺へ年に一度行くくらいのものであった。
銀座アルプス
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
本郷の森川
宿
(
しゅく
)
や、小石川の
音羽
(
おとわ
)
や、そのほかにも大塚や巣鴨や雑司ヶ谷や、寂しい場所のあき屋敷をえらんで商人をつれ込み、相手を玄関口に待たせて置いて
半七捕物帳:41 一つ目小僧
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
昔は
此
(
この
)
京
(
きょう
)
にして此
妓
(
こ
)
ありと評判は
八坂
(
やさか
)
の塔より高く
其
(
その
)
名は
音羽
(
おとわ
)
の滝より響きし
室香
(
むろか
)
と
云
(
い
)
える
芸子
(
げいこ
)
ありしが、さる程に
地主権現
(
じしゅごんげん
)
の花の色
盛者
(
しょうじゃ
)
必衰の
理
(
ことわり
)
をのがれず
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
いま通り過ぎて来た
音羽
(
おとわ
)
の護国寺から
坤
(
ひつじさる
)
の方角に当たる
清土
(
きよづち
)
という場処で、そこへ行くと、今でも草むらの中に小さな
祠
(
ほこら
)
があって、はじめはここに
祀
(
まつ
)
ってあった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
音羽
(
おとわ
)
の九丁目から
山吹町
(
やまぶきちょう
)
の
街路
(
とおり
)
を歩いて来ると、
夕暮
(
くれ
)
を急ぐ多勢の人の足音、車の響きがかっとなった頭を、その上にも
逆
(
のぼ
)
せ上らすように
轟々
(
どろどろ
)
とどよみをあげている。
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
男の名は
角三
(
かくぞう
)
といい、年は二十五。住居は小石川
音羽
(
おとわ
)
の五丁目、
藪下
(
やぶした
)
と呼ばれるところにあった。
赤ひげ診療譚:07 おくめ殺し
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今の
音羽
(
おとわ
)
の
護国寺
(
ごこくじ
)
の境内にあったもので、一万八千坪の
中
(
うち
)
に有名な
薬師堂
(
やくしどう
)
、
神農堂
(
しんのうどう
)
をはじめ、将軍臨場の時のために、高田御殿という壮麗なる御殿まで出来ていました。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
小石川
(
こいしかわ
)
の
音羽
(
おとわ
)
に近く、
鼠坂
(
ねずみざか
)
という有名な坂があった。その坂は、音羽の方から、
小日向台町
(
こひなただいまち
)
の方へ向って、登り坂となっているのであるが、道幅が二メートルほどの至って狭い坂だった。
西湖の屍人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
山口屋の
音羽
(
おとわ
)
でございます、是は稻垣小三郎の許嫁で、石川藤左衞門の娘おみゑという天下に勝れた美人でございますが、小三郎へ操を立て、
他
(
た
)
のお客へは枕をかわせ肌を許しませんというが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
『そんな話なんだがね、
音羽
(
おとわ
)
の護国寺前から江戸川を渡って真直に矢来の交番下まで来る電車が更に榎町から弁天町を抜けて、ここからずっと四谷の塩町とかへ
連絡
(
れんらく
)
する予定になっているそうだ。』
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
近き頃
音羽
(
おとわ
)
青柳
(
あおやぎ
)
の横町を
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「親分の身やお蝶のことで、何か耳に入れたらおれの宿まで知らして来てくんねえか。宿は例の
音羽
(
おとわ
)
の
筑波屋
(
つくばや
)
だ。頼むぜ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小石川区内では○植物園門前の小石川○
柳町
(
やなぎちょう
)
指
(
さす
)
ヶ
谷町
(
やちょう
)
辺の溝○
竹島町
(
たけしまちょう
)
の人参川○
音羽
(
おとわ
)
久世山
(
くぜやま
)
崖下の細流○音羽町西側
雑司
(
ぞうし
)
ヶ
谷
(
や
)
より
関口台町
(
せきぐちだいまち
)
下を流れし
弦巻川
(
つるまきがわ
)
。
葛飾土産
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その一人は知行所の村から奉公に出て來るのが例で、ほかの一人は江戸の
請宿
(
うけやど
)
から隨意に雇つてゐることが判つた。請宿は
音羽
(
おとわ
)
の堺屋といふのが代々の出入りであつた。
半七捕物帳:01 お文の魂
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「私の眼の下の此の皺は、あなたが拵えたのだ。私は此の皺だけは恨みがある。……これは、あの
音羽
(
おとわ
)
にいた時分に、あんまり貧乏の苦労をさせられたお蔭で出来たんだ。」
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
もう一度引返して、寅五郎をうんと怨んでいるという
音羽
(
おとわ
)
の荒物屋利八のその晩の様子と、それから、犬の死んだ前の日、変な野郎が来なかったか、それを訊いて来るんだ。いいか
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
枳園は
音羽
(
おとわ
)
洞雲寺
(
どううんじ
)
の
先塋
(
せんえい
)
に葬られたが、この寺は大正二年八月に
巣鴨村
(
すがもむら
)
池袋
(
いけぶくろ
)
丸山
(
まるやま
)
千六百五番地に
徙
(
うつ
)
された。池袋停車場の西十町ばかりで、府立師範学校の西北、
祥雲寺
(
しょううんじ
)
の隣である。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
あらゆる困難を
凌
(
しの
)
いで、見つけてくれた、
繁昌
(
はんじょう
)
な
音羽
(
おとわ
)
護国寺門前通りのにぎわいから、あまり離れていぬ癖に、ここは、又、常緑の森と、
枯茅
(
かれかや
)
の草場にかこまれた、目白台のかたほとりの隠れ家に
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その一人は知行所の村から奉公に出て来るのが例で、ほかの一人は江戸の
請宿
(
うけやど
)
から随意に雇っていることが判った。請宿は
音羽
(
おとわ
)
の堺屋というのが代々の出入りであった。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
東山は白い靄に包まれて
清水
(
きよみず
)
の塔が
音羽
(
おとわ
)
山の中腹に夢のようにぼんやりと浮んで見える。
黒髪
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
震災のころまでは芝居や
寄席
(
よせ
)
の楽屋に行くと一人や二人、こういう江戸下町の年寄に逢うことができた——たとえば
音羽
(
おとわ
)
屋の
男衆
(
おとこしゅ
)
の
留爺
(
とめじい
)
やだの、高嶋屋の使っていた市蔵などいう年寄達であるが
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
きょうが
音羽
(
おとわ
)
の護国寺では、
蟹清水
(
かにしみず
)
の開帳日。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
単に小石川の
音羽
(
おとわ
)
に住むお勝という者だと話しただけであるが、それがどうも疑わしいので、勝次郎は念のために音羽へ探しに行ってみたが、音羽もなかなか広いので
半七捕物帳:43 柳原堤の女
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
駒井町をゆき抜ければ、
音羽
(
おとわ
)
の大通りへ出る。その七丁目と八丁目の裏手には江戸城の
御賄
(
おまかない
)
組の組屋敷がある。かれらは身分こそ低いが、みな相当に内福であったらしい。
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“音羽”の解説
音羽(おとわ)は、東京都文京区の町名。現行行政地名は音羽一丁目および音羽二丁目。郵便番号は112-0013。
(出典:Wikipedia)
音
常用漢字
小1
部首:⾳
9画
羽
常用漢字
小2
部首:⽻
6画
“音羽”で始まる語句
音羽屋
音羽町
音羽大助
音羽屋格子
音羽護国寺
音羽山清水寺