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野道
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のみち
勇吉は、
暗い
野道を
提燈の
火を
頼りに、
町へ
向かって、
小さな
足で、
急ぎますと、
冷たい
雪が
顔にかかり、またえりもとへ
入り
込みました。
世にたのまれぬを
男心といふ、それよ
秋の
空の
夕日にはかに
掻きくもりて、
傘なき
野道に
横しぶきの
難義さ、
出あひし
物はみな
其樣に
申せども
是れみな
時のはづみぞかし
持て
野道山路は云も更なり
都合に
因ては
朝は
星を
戴き
暮には月を
踏で
旅行なす事
往々あるにより先生を
頼み劔術を
學びなば道中
爲にも心強く
且賊難を
防ぐ一端共成事なれば此趣きを
さびしい
野道を
通り
越して、やがて
山道にかかりますと、
背中におぶさりながらおかあさんは、
道ばたの木の
枝をぽきんぽきん
折っては、
道に
捨てました。お
百姓はふしぎに
思って
「ああ、もう、
日暮れ
方になった。また、あしたにしよう。」といって、
彼らは、
仕事をきりあげて、
連れだって、
野道を
話しながら、てんでに
家をさして
帰ってゆくのでありました。