はづか)” の例文
あゝウゴリーン・デ・ファントリーンよ、汝の名は安し、そは父祖に劣りてこれをはづかしむる者いづるの憂ひなければなり 一二一—一二三
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
はづかしめを受けるやうなことがあれば、輕くて追放、重ければ腹切りもので、それに備へて、世間の人の想像もつかぬ、嚴重な注意を拂つたものです。
口説くどきけれ共勿々なか/\承引せず却て平左衞門をはづかしめ惡口あくこうしける故平左衞門は其身の惡き事も思はずかれが惡口を大いに憤ほり心中にさては此女は藤五郎と言男のある故に我を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あゝ忠義の爲めとは言ひながら、君を恨ませ、はづかしめて、たり顏なる我はそも何の因果ぞや。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
ちやうど郷家のふるい財寶はあの花火の揚る、堀端のなつかしい柳のかげで無慘にも白日競賣のはづかしめを受けたといふ母上の身も世もあられないやうな悲しい手紙に接した時であつた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
珍らしく人の好い車掌のそんな行為までを、その時私は人前ではづかしめられたやうに感じて、赤くなつてゐた。乗換切符をくれろといふことも出来なくなつて、私は急いでそこを立ち去つた。
イボタの虫 (新字旧仮名) / 中戸川吉二(著)
さすれば無用むようつひえせつせむ、なんぢ一人いちにん奉公ほうこうにて萬人ばんにんのためになりたるは、おほ得難えがた忠義ちうぎぞかし、つみなんぢはづかしめつ、さぞ心外しんぐわいおもひつらむが、見棄みすてずば堪忍かんにんして、また此後このごたのむぞよ
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
那樣事そんなことい、たとへば御覽ごらんなさい、貴方あなた中風ちゆうぶにでもかゝつたとか、あるひかり愚者ぐしや自分じぶん位置ゐち利用りようして貴方あなた公然こうぜんはづかしめていて、れがのちなんむくいしにんでしまつたのをつたならば
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そして、もし私たちが苦しみやはづかしめを受けて死なうとしたり、四方八方から輕蔑けいべつされたり憎まれたりすれば、天使は、私たちの苦しみを御覽になつて、私たちの罪のないことを認めて下さるのよ。
汝等を生まむとして開きたる母のたいはづかしむるなかれ。
(旧字旧仮名) / アダ・ネグリ(著)
あづかり歸りしが或日兩親の居ぬひまかんがへ右の文をわたしければお高は容體かたちを改め其方そなたは主人の娘にこひ執持とりもち爲事なすこと不埓ふらち千萬なりかさねて斯樣なる事をなさばためになるまいぞと嚴敷きびしくはづかしめて文を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)