輪郭りんくわく)” の例文
先驅さきがけひかり各自てんでかほ微明ほのあかるくして地平線上ちへいせんじやう輪郭りんくわくの一たんあらはさうとする時間じかんあやまらずに彼等かれらそろつて念佛ねんぶつとなへるはずなので
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
肉は薄い方だ、と謂ツてとがツた顏といふでは無い。輪郭りんくわくを取つたら三かくに近い方で、わりひたひひろく、加之拔上ぬけあがツて、小鼻まわりに些と目に付く位に雀斑そばかすがある。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
自分は偶然輪郭りんくわくの極めて明晰めいせきな古代の裸体像を思出した。クラシツク芸術の美麗を思出した。ベルサイユ庭苑ていゑんの一斉に刈込まれた樹木の列を思ひ出した。わが作品もかくごとくあれ。
黄昏の地中海 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
すこ高過たかすぎるくらゐに鼻筋はなすぢがツンとして、彫刻てうこくか、ねりものか、まゆ口許くちもと、はつきりした輪郭りんくわくひ、第一だいいち櫻色さくらいろの、あの、色艶いろつやが、——それが——いまの、あの電車でんしや婦人ふじん瓜二うりふたつとつてもい。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
殆んど直覺的に、私はその骨つぽい輪郭りんくわくを識別した。二分の後に、全生徒が、先生たちも一緒に、起立きりつした時には、私はもう誰のお出を皆がお迎へしたかを確かめるために見上げる必要はなかつた。
道々源吉は、八五郎のために事件の輪郭りんくわくを説明してくれました。
しな自分じぶん股引もゝひき足袋たびとをおつぎにげさせてかへつたときつきひそかとなりもり輪郭りんくわくをはつきりとさせてそのもり隙間すきまことあかるくひかつてた。世間せけんがしみ/″\とえてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
念佛ねんぶつをはるまでには段々だん/\とほちか木立こだち輪郭りんくわくがくつきりとしてあを蜜柑みかんかはあたつた部分ぶぶんからすこしづゝいろどられてくやうにひがしそらうす黄色きいろそまつて段々だん/\にそれがつて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)