表通おもてどほ)” の例文
……去年きよねんはるごろまでは、樹蔭こかげみちで、戸田街道とだかいだう表通おもてどほりへ土地とちひとたちも勝手かつて通行つうかうしたのだけれども、いまは橋際はしぎは木戸きど出來できて、くわん構内こうないつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小六ころく名義めいぎ保管ほくわんされべき財産ざいさんは、不幸ふかうにして、叔父をぢ手腕しゆわんで、すぐ神田かんだにぎやかな表通おもてどほりの家屋かをく變形へんけいした。さうして、まだ保險ほけんけないうちに、火事くわじけて仕舞しまつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
現在げんざい使つかひにとゝさんのこゝろうごかしによこる、なんといふてよこしたとへば、表通おもてどほりのにぎやかなところあそんでたらば何處どこのか伯父おぢさんと一しよて、菓子くわしつてやるから一しよにおいでといつて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
裏町うらまち表通おもてどほり、いましむる拍子木ひやうしぎおとも、いしむやうにきしんで、寂然しんとした、臺所だいどころで、がさりと陰氣いんきひゞく。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
やがて東華門とうくわもんいたると、こゝに、一大旅店いちだいりよてん築地つきぢホテルとかまへのがある。主人しゆじん此處こゝに、と少年せうねんみちびくまゝに、階子はしごのぼつて、手代てだい二階にかい一室いつしつ表通おもてどほりの見晴みはらしふのへとほる。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)