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おもてどほ
……
去年の
春ごろまでは、
樹蔭の
徑で、
戸田街道の
表通りへ
土地の
人たちも
勝手に
通行したのだけれども、いまは
橋際に
木戸が
出來て、
館の
構内に
成つた。
小六の
名義で
保管されべき
財産は、
不幸にして、
叔父の
手腕で、すぐ
神田の
賑やかな
表通りの
家屋に
變形した。さうして、まだ
保險を
付けないうちに、
火事で
燒けて
仕舞つた。
現在の
子を
使ひに
父さんの
心を
動かしに
遣し
居る、
何といふて
遣したと
言へば、
表通りの
賑やかな
處に
遊んで
居たらば
何處のか
伯父さんと一
處に
來て、
菓子を
買つてやるから一
處にお
出といつて
裏町、
表通り、
火を
警むる
拍子木の
音も、
石を
噛むやうに
軋んで、
寂然とした、
臺所で、がさりと
陰氣に
響く。
やがて
東華門に
至ると、こゝに、
一大旅店、
築地ホテルと
言ふ
構へのがある。
主人は
此處に、と
少年の
導くまゝに、
階子を
上つて、
其の
手代は
二階の
一室、
表通りの
見晴と
云ふのへ
通る。