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くずゆ
ふりがな文庫
“
葛湯
(
くずゆ
)” の例文
コレラは
門並
(
かどなみ
)
といってよいほど荒したので、
葛湯
(
くずゆ
)
だの
蕎麦
(
そば
)
がきだの、すいとんだの、煮そうめんだの、熱いものばかり食べさせられた。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それからまた碁が始まり、与一郎を寝かせてから、寒さ凌ぎに
葛湯
(
くずゆ
)
を作っていったときも、二人はさも楽しそうに石の音をさせていた。
日本婦道記:風鈴
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
飲食も、コーヒー、シトロン、紅茶などの近代的芳香の飲料と、
阿倍川
(
あべかわ
)
もち、力もち、
葛湯
(
くずゆ
)
、麦粉などの中世的粗野なる甘味が供給される。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
葛湯
(
くずゆ
)
を練るとき、最初のうちは、さらさらして、
箸
(
はし
)
に
手応
(
てごたえ
)
がないものだ。そこを
辛抱
(
しんぼう
)
すると、ようやく
粘着
(
ねばり
)
が出て、
攪
(
か
)
き
淆
(
ま
)
ぜる手が少し重くなる。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(立上り)
葛湯
(
くずゆ
)
でもこしらえて来ましょう。本当に、何か召し上らないと。(言いながら上手の障子をあけて)おお、きょうは珍らしくいいお天気。
冬の花火
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
多分塩を多く使い、また目の粗い布の袋で
漉
(
こ
)
すのであろう。都会では近い頃まで絹漉し豆腐の名があった。今の
葛湯
(
くずゆ
)
に近い豆腐は新らしい現象である。
食料名彙
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
食事は朝、
麺包
(
パン
)
、スープ等。
午
(
ひる
)
、
粥
(
かゆ
)
、さしみ、鶏卵等。晩、飯二碗、さしみ、スープ等。間食、
葛湯
(
くずゆ
)
、菓子麺包等。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
第十一 コルンスタッチの粥 は
玉蜀黍
(
とうもろこし
)
の粉から製するのでちょうど我邦の
葛湯
(
くずゆ
)
か
葛煉
(
くずねり
)
の通りなものです。これは先ず一合の牛乳を
沸立
(
にた
)
たせておきます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
中途
葛湯
(
くずゆ
)
で一度
失敗
(
しくじ
)
ったことのあるのに懲りている笹村は、医師の言う通りにばかりもしていられなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
そのうち母の平常の癖で
葛湯
(
くずゆ
)
の御馳走が出た。母自身は胸が
支
(
つか
)
へてゐるからと言つて、藥用に用ゐ馴れて居る葡萄酒をとり寄せて、吾々にも一杯づつでもと勸むる。
姉妹
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
家の中には
燈火
(
あかり
)
がかんかんとついて、真暗なところを長い間歩いていたぼくにはたいへんうれしかった。寒いだろうといった。
葛湯
(
くずゆ
)
をつくったり、
丹前
(
たんぜん
)
を着せたりしてくれた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
すると新五郎は寝ずにお園の看病をいたします。薬を取りに行ったついでに氷砂糖を買って来たり、
葛湯
(
くずゆ
)
をしてくれたり、
蜜柑
(
みかん
)
を買って来る、
九年母
(
くねんぼ
)
を買って来たりしてやります。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
朝、昼、晩と
水蜜桃
(
すいみつとう
)
の汁をしぼって百グラム
乃至
(
ないし
)
百二十グラムくらい吸いのみでのむ。——
葛湯
(
くずゆ
)
の百五十グラムは味がなかった。——水蜜は本場のを
貰
(
もら
)
ったのが冷蔵庫で種まで冷えている。
胆石
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
河野の食事は
平生
(
いつも
)
葛湯
(
くずゆ
)
でそれをコップに一杯ずつ
喫
(
の
)
んでいた。
神仙河野久
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「おやじさん、酒も飯もいらん。
葛湯
(
くずゆ
)
でもくれないか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし我々の
葛湯
(
くずゆ
)
のこしらえかたのように、簡単にできるものなら何でもこうしてかいて食ったもので、カクというのは
攪拌
(
かくはん
)
することであったらしい。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
二日間は
白湯
(
さゆ
)
だけ、三日めから
葛湯
(
くずゆ
)
になりおも湯になったが、五日めに半粥が出されたとき、栄二はまた
嘔吐
(
おうと
)
した。
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それは先ず塩とお砂糖で濃い
葛湯
(
くずゆ
)
を拵らえてそれへ摺った山葵と蜜柑の実ばかりとを入れて
掻
(
か
)
き
交
(
ま
)
ぜたのです。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
森成さんがもう
葛湯
(
くずゆ
)
も
厭
(
あ
)
きたろうと云って、わざわざ東京から米を取り寄せて
重湯
(
おもゆ
)
を作ってくれた時は、重湯を生れて始めて
啜
(
すす
)
る余には大いな期待があった。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
やはり、食べるのに、なんの手数もいらないからである。飲みものを好む。牛乳。スウプ。
葛湯
(
くずゆ
)
。うまいも、まずいもない。ただ、摂取するのに面倒がないからである。
懶惰の歌留多
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
母のところへ
葛湯
(
くずゆ
)
がきた。母は葛湯ときいて
母の死
(新字新仮名)
/
中勘助
(著)
代助には、平岡の
凡
(
すべ
)
てが、あたかも肺の強くない人の、重苦しい
葛湯
(
くずゆ
)
の中を片息で泳いでいる様に取れた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼の床に入る時には家内のものはもう皆な寐ていた。熱い
葛湯
(
くずゆ
)
でも飲んで、発汗したい希望をもっていた健三は、やむをえずそのまま冷たい夜具の
裏
(
うち
)
に
潜
(
もぐ
)
り込んだ。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
余は五十グラムの
葛湯
(
くずゆ
)
を
恭
(
うやう
)
やしく飲んだ。そうして左右の腕に
朝夕
(
あさゆう
)
二回ずつの注射を受けた。腕は両方とも針の
痕
(
あと
)
で
埋
(
う
)
まっていた。医師は余に今日はどっちの腕にするかと聞いた。
思い出す事など
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
泥炭
(
ピート
)
を
溶
(
と
)
いて濃く、身の
周囲
(
まわり
)
に流したように、黒い色に染められた重たい霧が、目と口と鼻とに
逼
(
せま
)
って来た。
外套
(
がいとう
)
は
抑
(
おさ
)
えられたかと思うほど
湿
(
しめ
)
っている。軽い
葛湯
(
くずゆ
)
を呼吸するばかりに
気息
(
いき
)
が詰まる。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
“葛湯”の解説
葛湯(くずゆ)とは、葛粉(または片栗粉)から作ったとろみのある飲み物である。通常、葛粉を水で溶いて砂糖を加え、鍋等で緩やかに加熱しながら透明になるまで練って作る。とろみがあるために(対流が起こりにくく、また液体が蒸発しにくくなるため)冷めにくく、体が温まり、消化にも良いため、昔から離乳食・流動食・介護食・病み上がりの食べ物として食べられてきた。
(出典:Wikipedia)
葛
常用漢字
中学
部首:⾋
12画
湯
常用漢字
小3
部首:⽔
12画
“葛”で始まる語句
葛籠
葛
葛藤
葛西
葛城
葛飾
葛餅
葛布
葛根湯
葛野