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せすじ
ふりがな文庫
“
背筋
(
せすじ
)” の例文
背筋
(
せすじ
)
の通った黄な
片
(
ひら
)
が中へ中へと抱き合って、真中に大切なものを守護するごとく、こんもりと丸くなったのもある。松の鉢も見える。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
戸をあけると、大河は
坐禅
(
ざぜん
)
でも組んでいたかのように、
背筋
(
せすじ
)
をのばしてあぐらをかいていた。かれの前の机の上には、何一つのっていなかった。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
背筋
(
せすじ
)
へ水を
注
(
そそ
)
がれる思いで、言葉を交わしていた伝七は、ふと気付いたことがあるままに、早々にして席を立った。
乳を刺す:黒門町伝七捕物帳
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
砂塵
(
しゃじん
)
のようになった破片がおさまると、さっきまで見えていた大時計台が、どこへけし飛んだか姿を消していて、屋敷跡へ目を向けた者の
背筋
(
せすじ
)
を冷くした。
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
彼は猫の
背筋
(
せすじ
)
をなで、数々の愛称で呼び、威勢のいい舌の運動を観察し、ついでほろりとする。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
▼ もっと見る
スイッチを入れてみると、忽ち狂おしげな軍歌や興奮の声が轟々と室内を
掻
(
か
)
き乱した。彼は
惘然
(
もうぜん
)
として、息を潜め、それから氷のようなものが
背筋
(
せすじ
)
を貫いて走るのを感じた。
冬日記
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
すると、
冷水
(
れいすい
)
を
浴
(
あ
)
びるように、
悪寒
(
おかん
)
が
背筋
(
せすじ
)
を
流
(
なが
)
れて、
手足
(
てあし
)
までぶるぶるとふるえました。
波荒くとも
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
悪寒
(
おかん
)
が、ぞっと、
背筋
(
せすじ
)
をはしると、あたしはがくがく寒がった。雨のなかを通りぬけて来た時からの異状が、その時になって現われたのだが、すぐ
後
(
うしろ
)
にいた
岡田八千代
(
おかだやちよ
)
さんがびっくりして
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
芝草
(
しばくさ
)
は
頬
(
ほゝ
)
を、
背筋
(
せすじ
)
を、
針
(
はり
)
のやうに
刺
(
さ
)
す
一九三二・二・二六:―白テロに斃た××聯隊の革命的兵士に―
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
ただ肩から
背筋
(
せすじ
)
へ掛けて、全体に重苦しいような感じが新らしく加わった。御米は何でも精をつけなくては毒だという考から、一人で起きて遅い
午飯
(
ひるはん
)
を軽く食べた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
お
花
(
はな
)
の
手
(
て
)
から
羽織
(
はおり
)
を
引
(
ひ
)
ッたくった
伝吉
(
でんきち
)
は、
背筋
(
せすじ
)
が二
寸
(
すん
)
も
曲
(
ま
)
がったなりに
引
(
ひ
)
ッかけると、もう一
度
(
ど
)
お
花
(
はな
)
の
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
りもぎって、
喧嘩犬
(
けんかいぬ
)
のように、
夢中
(
むちゅう
)
で
見世
(
みせ
)
を
飛
(
と
)
び
出
(
だ
)
した。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
まだ光枝が名乗りもしないのに、紳士の方では、彼女のことを
先刻
(
せんこく
)
知っているといったような態度を示しているのだ。どことなく
薄気味
(
うすきみ
)
わるさが、彼女の
背筋
(
せすじ
)
に
匐
(
は
)
いあがってくる。
什器破壊業事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ゆうべ
吉原
(
よしわら
)
で
振
(
ふ
)
り
抜
(
ぬ
)
かれた
捨鉢
(
すてばち
)
なのが、
帰
(
かえ
)
りの
駄賃
(
だちん
)
に、
朱羅宇
(
しゅらう
)
の
煙管
(
きせる
)
を
背筋
(
せすじ
)
に
忍
(
しの
)
ばせて、
可愛
(
かわい
)
いおせんにやろうなんぞと、
飛
(
と
)
んだ
親切
(
しんせつ
)
なお
笑
(
わら
)
い
草
(
ぐさ
)
も、
数
(
かず
)
ある
客
(
きゃく
)
の
中
(
なか
)
にも
珍
(
めずら
)
しくなかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
天井を見ると左右は低く中央が高く馬の
鬣
(
たてがみ
)
のごとき
形
(
かた
)
ちをしてその一番高い
背筋
(
せすじ
)
を通して
硝子
(
ガラス
)
張りの明り取りが着いている。このアチックに
洩
(
も
)
れて来る光線は皆頭の上から
真直
(
まっすぐ
)
に
這入
(
はい
)
る。
カーライル博物館
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さすがの私も、その話ごえを耳にしたときには、
背筋
(
せすじ
)
がすーっと、寒くなった。
地球要塞
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
木賊葺
(
とくさぶき
)
の厚板が左右から内輪にうねって、
大
(
だい
)
なる両の翼を、
険
(
けわ
)
しき一本の
背筋
(
せすじ
)
にあつめたる上に、今一つ小さき
家根
(
やね
)
が小さき翼を
伸
(
の
)
して乗っかっている。
風抜
(
かざぬ
)
きか明り取りかと思われる。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
背
常用漢字
小6
部首:⾁
9画
筋
常用漢字
小6
部首:⽵
12画
“背”で始まる語句
背後
背
背負
背中
背丈
背戸
背嚢
背向
背景
背馳