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端々
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はしばし
ふりがな文庫
“
端々
(
はしばし
)” の例文
……そればかりではありませんが、それから
他
(
よそ
)
ながら、あなたのお勤めぶりや、おはなしの
端々
(
はしばし
)
にも、心をひかれるようになったのでございました
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その住居の
端々
(
はしばし
)
にまで行きわたつてゐる潔癖さは、同時に大石正文夫妻の年来の好み、その生活の信条といつた風なものをも漠然と現はしてゐた。
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
センバという名称は西は大分県
海部
(
あまべ
)
郡、
肥前
(
ひぜん
)
の
千々岩
(
ちぢわ
)
、また熊本県
八代
(
やつしろ
)
郡などにも見いだされるが、主としては東北の
端々
(
はしばし
)
において行われている。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そう言われてみると言葉の
端々
(
はしばし
)
にも、男とは思われないようなものがあることを思い出して、長蛇のような亀甲橋を振返って、その後ろ姿を見送ります。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一柳斎から「世間
識
(
し
)
らず」扱いにされた言葉の
端々
(
はしばし
)
が気にかかって、何となく稽古を怠けていたのであった。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
これらの叙情詩は、最も直接な具体的な表出によって、自然人としては実に珍しいしめやかさ、潤える心、涙する愛情、愛らしい悲しみを言葉の
端々
(
はしばし
)
にまで響かしている。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
清さんが朝倉の帰に寄らざりしを思ひ合せて、
塞
(
ふさ
)
ぎながら湯に
往
(
ゆ
)
きたるに、聞けば胸のみ騒がるるお万があの
詞
(
ことば
)
の
端々
(
はしばし
)
、兼吉さんが
扱
(
しごき
)
ばかりで廊下に出たのを見たとは
真
(
まこと
)
か
そめちがへ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
私はまたいろいろの小さなびいどろ罎に薄荷や肉桂水を入れて吸つて
歩
(
ある
)
いた。また
濃
(
こ
)
い液は白紙に垂らし、柔かに揉んで
濕
(
しめ
)
した上その
端々
(
はしばし
)
を小さく引き裂いては唇にあてた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
表情や言葉の
端々
(
はしばし
)
にも見て取ることが出来た程で、私は、心の奥底には、まだ一片の疑いを残しながらも、ついつい彼の言葉を信じ、彼の意見に従うことにもなって行ったのである。
孤島の鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
友田は努めてなにげない様子を装おうとしているけれども、金五郎への敵意が、腹中にたぎっていることは、その鋭い鳶の眼の光、金属的な黄色い声の
端々
(
はしばし
)
に、断続的にあらわれる。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
夢路
(
ゆめじ
)
を歩む
心地
(
ここち
)
で古い記憶の
端々
(
はしばし
)
をたどりはじめた。なるほど、様子が変わった。
河霧
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
厭
(
いと
)
うこと
甚
(
はなはだ
)
しく主従の
礼儀
(
れいぎ
)
師弟の差別を厳格にして言葉づかいの
端々
(
はしばし
)
に至るまでやかましく云い方を規定したまたまそれに
悖
(
もと
)
ることがあれば平身低頭して
詑
(
あや
)
まっても容易に
赦
(
ゆる
)
さず
執拗
(
しつよう
)
にその無礼を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
汚
(
けが
)
れたる
脊髄
(
せきずい
)
の
端々
(
はしばし
)
をついばましめん。
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
それが公けの言葉になると、いつとなく田舎の
端々
(
はしばし
)
にまで広がって、結局は以前何と言っていたかを、簡単には思い出せないようになってしまった。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼を迎えた留守居衆から
端々
(
はしばし
)
の召使までが、その夜、身を粉にしても、主人の
剋
(
か
)
ち
獲
(
え
)
たその尊い「生」をなぐさめようと争い努めたのはむりもない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして、あらゆる人間の身振り、素振り、眼付き、手付き、口つき、言葉つきの
端々
(
はしばし
)
に到るまでも、精神科学応用の犯罪ではないかと疑い続けているのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
語句の
端々
(
はしばし
)
を穿鑿するのは作品としての取り扱いの準備であってそれ自身が目的なのではない。
日本精神史研究
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
抱
(
いだ
)
くように胸のあたりまで火の上にかざしつ、眼しばだたきてありしが、いざとばかり腰うちのばし、
二足三足
(
ふたあしみあし
)
ゆかんとして立ちかえれり、燃えのこりたる木の
端々
(
はしばし
)
を
掻集
(
かきあつ
)
めて火に加えつ
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
言葉の
端々
(
はしばし
)
にも、彼の判断力の異常なる鋭さがほの見えるのでした。
湖畔亭事件
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それでも彼は背中の皮を根気よく撫でゝやりながら、少し心を落ち着けて此の部屋の中を眺めてみると、あの几帳面で癇性な品子の遣り方が、ほんの些細な
端々
(
はしばし
)
にもよく現はれてゐるやうに感じた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
このケンズイという言葉を、知っている区域はかなり広いが、
端々
(
はしばし
)
ではその意味が少しちがってきたことは、これも秋田県などのコビリ飯と似ている。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「宮家の
御移徒
(
ごいし
)
ある折には、いささかのあやまちもなきように、軍の
端々
(
はしばし
)
にいたるまで充分に触れ伝えおけよ」
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それでも彼は背中の皮を根気よく撫でゝやりながら、少し心を落ち着けて此の部屋の中を眺めてみると、あの
几帳面
(
きちょうめん
)
で
癇性
(
かんしょう
)
な品子の遣り方が、ほんの些細な
端々
(
はしばし
)
にもよく現はれてゐるやうに感じた。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
国の
端々
(
はしばし
)
の海上知識は、多くは記憶しやすいコトワザの形になって、今もその土地には散乱しているのだが、それを
蒐集
(
しゅうしゅう
)
してみようとする人は
稀
(
まれ
)
にもなく
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それでも彼は背中の皮を根気よく撫でてやりながら、少し心を落ち着けてこの部屋の中を
眺
(
なが
)
めてみると、あの
几帳面
(
きちょうめん
)
で
癇性
(
かんしょう
)
な品子の
遣
(
や
)
り方が、ほんの
些細
(
ささい
)
な
端々
(
はしばし
)
にもよく現われているように感じた。
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
九州の
端々
(
はしばし
)
でも
上五島
(
かみごとう
)
でバッジョ、
薩摩
(
さつま
)
の
下甑島
(
しもこしきじま
)
ではバッコーというのが、ともにままごとを意味している。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
国の
端々
(
はしばし
)
に散らばって住む者は、新らしい統一に
触
(
ふ
)
れないから、思い切った忘れかたはしない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そうすると以前は各地に散在していたはずであるが、その生活ぶりは記録にはまだ見当らない。
僅
(
わず
)
かに民間説話や歌謡の
端々
(
はしばし
)
に、ズリが
田舎
(
いなか
)
をあるいていた痕跡を認むるのみである。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
そうすると分布はどこまで及んでいるとするか。名がまず消え失せて感覚はなお残り、
手振
(
てぶ
)
り歌言葉の
端々
(
はしばし
)
が、古い姿を
留
(
とど
)
めているという例が、是からも少しずつ集まってくるのではないか。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
端
常用漢字
中学
部首:⽴
14画
々
3画
“端”で始まる語句
端
端折
端書
端緒
端唄
端然
端近
端居
端倪
端艇