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窓々
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まど/\
室内一面濛々とした
上へ、あくどい
黄味を
帶びたのが、
生暖い
瀬を
造つて、むく/\
泡を
吹くやうに、……
獅噛面で
切齒つた
窓々の、
隙間と
云ふ
隙間、
天井、
廂合から
流込む。
休業のはり
札して、ぴたりと
扉をとざした、
何とか
銀行の
窓々が、
觀念の
眼をふさいだやうに、
灰色にねむつてゐるのを、
近所の
女房らしいのが、
白いエプロンの
薄よごれた
服裝で
思見る、
磐梯山の
煙は、
雲を
染めて、
暗は
尚ほ
蓬々しけれど、
大なる
猪苗代の
湖に
映つて、
遠く
若松の
都が
窺はれて、
其の
底に、
東山温泉の
媚いた
窓々の
燈の
紅を
流すのが
遥々と
覗かれる。
鮮紅と、
朱鷺と、
桃色と、
薄紅梅と、
丹と、
朱と、くすんだ
樺と、
冴えた
黄と、
颯と
點滴る
濃い
紅と、
紫の
霧を
山氣に
漉して、
玲瓏として
映る、
窓々は
恰も
名にし
負ふ
田毎の
月のやうな
汽車の
中から