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ふりがな文庫
“
白眼
(
にら
)” の例文
が、なんと言ってもそこは諦めの早い江戸っ児たちのことだから、そういつまでも空を
白眼
(
にら
)
んでべそをかいてばかりもいなかった。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
と
唾液
(
つば
)
を
嚥
(
の
)
み込み嚥み込み相手の顔を
白眼
(
にら
)
み付けたが、その瞬間に……ヤアーッ……と叫んで天井に飛び上りたくなった。
山羊髯編輯長
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
税関の役人は、貝殻のような眼をして私を
白眼
(
にら
)
んだ。そうすることが彼の仕事なのだ。私は、用意の粉末微笑を取り出して、彼の上に振りかけた。
踊る地平線:10 長靴の春
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
富岡老人はそのまま三人の者の足音の聞こえなくなるまで
対岸
(
むこう
)
を
白眼
(
にら
)
んでいたが、次第に眼を遠くの
禿山
(
はげやま
)
に転じた、
姫小松
(
ひめこまつ
)
の
生
(
は
)
えた丘は静に日光を浴びている
富岡先生
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
否、誰何されたかもしれないが、追及すべく十分怪しいと
白眼
(
にら
)
まれなかったのだ。この点が、そしてこの一点が、全リッパア事件の神秘の王冠といわれている。
女肉を料理する男
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
▼ もっと見る
天使が玉座についても可いところに、悪魔が潜んで、見る者を脅し附けながら
白眼
(
にら
)
んでいた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
何だか無性に人相のよくない人間のような気がしてならない。それが怪しげな眼つきをしてじろじろと
白眼
(
にら
)
みでもすると厭である。また船が出た後であっては間抜けている。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
或る人が「ナアニ青鞜社の人たちはいま危険思想だの何だのつてその筋から
白眼
(
にら
)
まれてゐるのだから却つてホワイトキヤツプの連中に手伝ひしてこの際撲滅しやうなんて云ひますかも知れませんね」
編輯室より:(一九一三年六月号)
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
見捨
(
みすて
)
て
出
(
いで
)
し女には持參金道具類とも返す事はならずなどと汝一人の
取計
(
とりはから
)
ひにて
引止置
(
ひきとめおき
)
渡さざるは皆横領せんの
巧
(
たくみ
)
ならん爰な大惡人めと
白眼
(
にら
)
み
詰
(
つめ
)
しが大岡殿へ向ひ某し儀當年より十八ヶ年以前劔術の師なり養父なりの後藤五左衞門と申す
者
(
もの
)
諸國修行
(
しよこくしゆぎやう
)
に出し所上州大間々にて病死仕り候
砌
(
みぎり
)
早速同地へ罷り
越
(
こし
)
師父の
追善
(
つゐぜん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
業
(
ごう
)
を煮やした小太郎は舌打ちして行ってしまった。ただこれだけの
事件
(
こと
)
ではあるが、いそうで開けないのを不審と
白眼
(
にら
)
めば臭くもある。
釘抜藤吉捕物覚書:04 槍祭夏の夜話
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
こうしてその船の
徳規
(
デサイプリン
)
や乗組員の財布の大きさを
白眼
(
にら
)
んでおいて、いわゆる「
岸に無障害
(
コウスト・イズ・クリア
)
」と見ると、そこではじめて
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
否……
彼
(
か
)
の裸体美人も黄金の神殿型の時計も、この頭蓋骨の凹んだ眼に
白眼
(
にら
)
まれて、初めて、これだけの深刻な気分を出し得たものと考うべきであろう。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
四面
楚歌
(
そか
)
のドイツのスパイだから、たちまち
闇黒
(
やみ
)
の中で処分されてしまうという段取りで、一度密偵団の
上長
(
じょうちょう
)
に
白眼
(
にら
)
まれたが最後、どこにいても危険は同じことだ。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
おや、
白眼
(
にら
)
んだね。おかしな顔だからおよしよ。忘れやしまいね、はばかりながらあたしゃ
上総
(
かずさ
)
のお鉄だ。仕事にぶきがあるもんかね。
早耳三次捕物聞書:02 うし紅珊瑚
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
番組を
白眼
(
にら
)
んで賭け馬の選択にかかろう——と言ったって、ナオミ・グラハム夫人は兄が
賭人
(
ブッキイ
)
をしているのでいろいろ
玄人
(
くろうと
)
の
予想
(
テップ
)
が貰えるけれど
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
彼は肩の上に喰い込んでいる菊の鉢を、そのまま、眠っている少女の
頭部
(
あたま
)
めがけて投げ付けたい衝動を、ジット我慢しながらモウ一度、寝台の中を
白眼
(
にら
)
み付けた。
白菊
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
あそこに秘密の
腹帯
(
ベルト
)
をしているのだな、と夫人はこっちからさり気なく
白眼
(
にら
)
みをつけている。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
奎堂は無言で、長いこと凝然とその刀相を
白眼
(
にら
)
んだ後、ただならぬ面持ちで近くの燭台の下へ急ぎ、灯にかざして改めてとみこうみする。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それを牛が、すこし離れてじいっと
白眼
(
にら
)
んでる——何だ、同じ動物仲間のくせに人間に買収されて!——というように。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
松倉十内は恨めしそうな白い眼で赤猪口兵衛を
白眼
(
にら
)
み付けた。下役の良助がおる手前、非人風情の差出口に追い詰められた見っともなさにジリジリして来たらしい。
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「何だい、そんな顔してあたしを
白眼
(
にら
)
んでさ。どうしようっての。あたしを殺す気なの?」
舞馬
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
決め込んでたなあ、足袋の
鞐
(
こはぜ
)
と言い、それ、お前のぱっちの血形といい、佐平どん、あっしゃあ、お前の
業
(
わざ
)
と
白眼
(
にら
)
むがどうでえ?
釘抜藤吉捕物覚書:02 梅雨に咲く花
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それを牛が、すこし離れてじいっと
白眼
(
にら
)
んでる——何だ、同じ動物のくせに人間とぐるになって!——というように。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
けれどもその云い訳をする
隙
(
ひま
)
がもうないのだ。自分は誰に疑われてもちっとも怖いとは思わない。ただ狭山さんに
白眼
(
にら
)
まれたら手も足も出ないようにされてしまう。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
普段から
白眼
(
にら
)
んでいる市内外の
悪の巣窟
(
ロウクス・ネスト
)
へは
猶予
(
ゆうよ
)
なく警官隊が踏み込んだ。が、この、七月一日の夜中から翌二日、三日とかけて総動員で活躍したその筋の努力は、なんら
報
(
むく
)
いられなかった。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「勘次。お前は立番だ。俺と松さんとでちょっくらお神を
白眼
(
にら
)
んでくる。松さんがいりゃあ勘なんざかえって足手
纏
(
まと
)
い、そこに立ってろ。」
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ふだんから牛の眼はどこを見てるのか解らないもんだ。この必死の土壇場になっても、「赤い小山」は一たいどこを
白眼
(
にら
)
んでるのか見当がつかない。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
老船頭が櫓柄につかまって沖合の一点を
白眼
(
にら
)
みつつ、悠々と大浪を乗り切る、その押す手引く手や腰構えの姿態美は、ソックリそのまま名人の仕カタ開キであるまいか。
「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
癋見鈍太郎
(著)
きゃつがここへ出て来たところをみると、同類が
他地
(
ほか
)
でなにか
遣
(
や
)
っているに相違ないと
白眼
(
にら
)
んだのだ。思いあたるところがあるから、エリク・ヘンダスンは、その夜のうちにアフガニスタンへ飛ぶ。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
(泣く。涙の眼で奎堂を
白眼
(
にら
)
む)しかるにこれを指して、口にするだも恐しい、君のお命を縮めまいらす刀相などとは——。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それよりは耳でも掴んで引っ張って来て、七つの鞄を見せながら、
白眼
(
にら
)
みつけるほうが早い——ということになる。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
そうなんで……しかし死骸は勿論、髪の毛一本でも外へ持ち出したら
只
(
ただ
)
はおかないぞッ……てね。そう云って
船長
(
おやじ
)
に
白眼
(
にら
)
み付けられた時にゃ、あっしゃゾッとしましたぜ。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「お手の筋でさあ。だがね、東京の真ん中でせえこう物騒な世の中になっちゃあ、大きな声じゃ言われもしねえが、ねえ、ご隠居、現内閣ももうあんまり長えこたあるめえと、こうあっしゃ
白眼
(
にら
)
みますよ。いえ、まったく」
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
(突然起ち上って、
木華里
(
ムカリ
)
を
白眼
(
にら
)
みつける)こらっ! 妻の身を犠牲に、一命一族を助けようなどと思う
札木合
(
ジャムカ
)
ではないぞ。
若き日の成吉思汗:――市川猿之助氏のために――
(新字新仮名)
/
林不忘
、
牧逸馬
(著)
鄭吉炳 あいつ、俺たちに
白眼
(
にら
)
まれてることを知らないわけじゃあるまい。承知の上で押し掛けて来たとすると、スパイめ、何か魂胆があるかもしれないぞ。
安重根:――十四の場面――
(新字新仮名)
/
谷譲次
、
林不忘
(著)
……そいつを見ると芬子さんイヨイヨ気の毒になって、天を
白眼
(
にら
)
んで安禄山の
奸
(
かん
)
を
悪
(
にく
)
んだね。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
無形一刀、天下無二の使い手神保造酒先生は、紫いろの線香のけむりがユラユラと
絡
(
から
)
む首を
白眼
(
にら
)
んでウウム! と
唸
(
うな
)
った。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
総がかりで星を
白眼
(
にら
)
み、暴風雨のなかで
左舷
(
ポウト
)
・
右舷
(
スタボウド
)
と叫び交し、釜を
焚
(
た
)
き、機関を廻して来たのではないと
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
……
然
(
しか
)
るにだ……ここで吾輩の脳髄探偵小説は、こうした世界的の大勢を横眼に
白眼
(
にら
)
んだ一人の青年名探偵、兼、古今未曾有式超特急の脳髄学大博士を飛び出させているのだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
頼母は、呪いに縛られたよう……いっぱいにひらいた眼に障子の忌中札を
白眼
(
にら
)
んで、まだ身うごきも出来ずにいる。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
室内に山積し散乱している物品を
白眼
(
にら
)
んで、過不足なくその全部を入れるに足る容積のトランクなり鞄なりを予め想定するには、実に専門的な眼力を必要とするのだが
踊る地平線:12 海のモザイク
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
あの蟹口運転手のメチャメチャになった妖怪じみた死骸を見た瞬間に……壊れた額から
飛出
(
とびだ
)
した二つの
眼球
(
めだま
)
が私を
白眼
(
にら
)
んでいるのに気付いた時に私はモウ一度気が遠くなりかけました。
衝突心理
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかも、事毎に藤吉と張り合って、初手から藤吉が
死亡
(
ない
)
ものと
白眼
(
にら
)
んでいる女隠居の行衛を、駒蔵はあくまでも生きていると定めてかかっているらしかった。
釘抜藤吉捕物覚書:03 三つの足跡
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その途中モンテ・カアロにとまって、カフェ・ドュ・パリの前で私の妻のレンズをじろりと
白眼
(
にら
)
んでそれでも彼女がすなっぷするまで周囲の人々との会話を中止していられた。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
中野学士は思わず半歩ほど後へ
退
(
さが
)
った。キッと身構えをしてその男を
白眼
(
にら
)
んだ。折柄、遥か向うで開いた汽鑵場のボイラーの焚口が、向い合った二人の姿を切抜いたように照し出した。
オンチ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
かれらは、武林と狂太郎の
白眼
(
にら
)
みあいと、そして、新六が刀のあるほうへ行ったので、ぱっと逃げ散った。
口笛を吹く武士
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ブリトン語で呪文を唱えながら
白眼
(
にら
)
みつける、という始末ですから、とうとう村中の男が、誰も、私には、冗談は愚か、視線の一つも投げてくれないということになってしまいました。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
そんな事が……とお
白眼
(
にら
)
みなさるな。現にこの眼で見て来た事です。但し日本の事では御座らぬ。
唐
(
から
)
や
天竺
(
てんじく
)
、
西洋
(
あちら
)
の事だよ。耳も無ければ眼玉も持たない。物も云わない木魚の話じゃ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
もっとも、壁辰のほうは、ふだんから
白眼
(
にら
)
み一方で、あんまり
愛嬌
(
あいきょう
)
のある笑いなんか持ち合わせていない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
物々しい
甲冑
(
かっちゅう
)
を着たクリスチャン五世の騎馬像——一ばんには単に
馬
(
ヘステン
)
と呼ばれている——が滑稽なほどの武威をもってこの1928の向側のビルディングの窓を
白眼
(
にら
)
んで、まわりに雑然と
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
“白眼”の意味
《名詞》
眼球の白い部分。
気に入らない人を見る冷たい目付き。
(出典:Wiktionary)
白
常用漢字
小1
部首:⽩
5画
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
“白眼”で始まる語句
白眼付
白眼勝
白眼看
白眼視
白眼看他世上人