ぱつ)” の例文
旧字:
「あのとき、鉄砲てっぽうでズドンと一ぱつてば、それまでだったのだ。せめても、こっちがいのちたすけてやったのをありがたくおもったがいいのだ。」
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あツと驚いて再び蓋をすると、其中そのなか物馴ものなれた一人が「えてものだ、鉄砲を撃て。」と云ふ。一同すぐに鉄砲をつて、何処どこあてともしに二三ぱつ
雨夜の怪談 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
だけれど、イヤならむりとはいわないよ、ほかに、のぞみ手はたくさんあるし、それに、この鉄砲てっぽうで、ドンと一ぱつやればそれでいい仕事なんだから……
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……ぱつしゆそこみなぎると、ぎんおほふて、三きやくなゝつにわかれて、あをく、たちまち、薄紫うすむらさきに、あゐげてかるあふつた。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ピストルの音は一ぱつだけではなかった。つづけざまに、五発の銃声じゅうせい夕空ゆうぞらにこだまして、まち静寂せいじゃくをやぶった。
どうせ、いざとなれば、銃丸じゅうがんぱつでしとめられるのだが、私はそのりっぱな皮をきずつけたくなかったので、他のなわを取って、まず木のえだをロボへ投げると、かれはそれを歯で受けとめた。
あれほどの大鷲おおわしが、一ぱつたまでおちてくるはずはない。さすれば、女はたにへふりおとされ、二ツの生命いのちきずつけることになる。これも、御岳みたけ三日みっか神文しんもんやくまもればこそ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どんなんでいるとりも、はしっているうさぎも、またくまや、おおかみのような猛獣もうじゅうも、たいていまとをつけたものは、そらさず一ぱつめるというほど上手じょうずでありました。
おおかみと人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さいごには突撃とつげきするのであるが、そのときまで、のこりのたまをもっとも有効ゆうこう使つかわなければならなかった。秀作しゅうさくさんは、むねをはり、いきをれて、一ぱつ必殺ひっさつ信念しんねんをこらしました。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
親方おやかたがいったのはこいつだな、これをちとめてこいといういいつけか。なアんだ、こんなものなら朝飯あさめしまえにただ一ぱつだ。それで、おいらの出世しゅっせとなりゃ、ありがた山のほととぎすさ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)