田毎たごと)” の例文
たとへばつき本尊ほんぞんかすんでしまつて、田毎たごと宿やどかげばかり、たてあめなかへふつとうつる、よひ土器色かはらけいろつきいくつにもつてたらしい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、田毎たごと大尉は、くわえていた紙巻煙草をぽんと灰皿の中になげこむと、当惑とうわく顔で名刺の表をみつめた。前には当番兵が、渋面じゅうめんをつくって、起立している。
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
第三十六 田毎たごと飯 は鶏の肉を細かく叩いて葱の刻んだのと一緒に味淋や醤油で美味く煮てどんぶりの中の熱い御飯へかけて生玉子の黄身を一つせて蓋をして蒸らしたものです。
食道楽:秋の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
帰るかり田毎たごとの月の曇る夜に
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
元日に田毎たごと思ひし古人はも
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
姨捨山、田毎たごとの月ともあろうものが、こんなみちで澄ましているって法はありません。きっと方角を
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と、田毎たごと大尉がいぶかるのを、壮漢はうやうやしく右手で挙手の敬礼をして
空中漂流一週間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
田毎飯たごとめし 秋付録 米料理百種「日本料理の部」の「第三十六 田毎たごと飯」
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
帰るかり田毎たごとの月の曇る夜に
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
紅玉こうぎよく入亂いりみだれて、小草をぐさつた眞珠しんじゆかずは、次等々々しだい/\照増てりまさる、つき田毎たごとかげであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しの線に乗り替えて、姨捨おばすて田毎たごとを窓からのぞいて、泊りはそこで松本が予定であった。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
汽車きしや千葉ちばまはりに譽田ほんだ……をぎ、大網おほあみ本納ほんなふちかづいたときは、まへ苗代田なはしろだを、二羽には銀翼ぎんよくつて、田毎たごと三日月みかづきのやうにぶと、山際やまぎはには、つら/\と立並たちならんで、しろのやうに
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鮮紅からくれなゐと、朱鷺ときと、桃色もゝいろと、薄紅梅うすこうばいと、と、しゆと、くすんだかばと、えたと、さつ點滴したゝべにと、むらさききり山氣さんきして、玲瓏れいろうとしてうつる、窓々まど/\あたかにし田毎たごとつきのやうな汽車きしやなかから
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)