狹苦せまくる)” の例文
新字:狭苦
りたてのかべ狹苦せまくるしい小屋こや内側うちがはしめつぽくかつくらくした。かべつち段々だん/\かわくのが待遠まちどほ卯平うへい毎日まいにちゆかうへむしろすわつてたいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
踏切ふみきりのちかくには、いづれもすぼらしい藁屋根わらやね瓦屋根かはらやねがごみごみと狹苦せまくるしくてこんで、踏切ふみきばんるのであらう、ただりうのうすしろはたものうげに暮色ぼしよくゆすつてゐた。
蜜柑 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
宗助そうすけ玄關げんくわんから下駄げたげてて、すぐにはりた。えんさき便所べんじよまがつてしてゐるので、いとゞせま崖下がけしたが、うらける半間はんげんほどところ猶更なほさら狹苦せまくるしくなつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
狹苦せまくるしい掘立小屋ほつたてごやかれ當初はじめおもんだほどかれためさいはひところではなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
狹苦せまくるしいにしてもきちんとした傭人部屋やとひにんべや周圍しうゐつち箒目はうきめれてみづでもつてたり、其處そこらでつく朝顏あさがほなへもらつてどんな姿なりにもはちうゑたりしてると奉公ほうこうつらくもおもはないのであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)