トップ
>
煖
>
あたた
ふりがな文庫
“
煖
(
あたた
)” の例文
寒中は夜間外出をするなとか、冷水浴もいいがストーブを
焚
(
た
)
いて
室
(
へや
)
を
煖
(
あたた
)
かにしてやらないと
風邪
(
かぜ
)
を引くとかいろいろの注意があるのさ。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
な
)
にしろ
附近
(
ふきん
)
に
医師
(
いし
)
らしいものは
居
(
い
)
ない
所
(
ところ
)
なので、
漁師達
(
りょうしたち
)
が
寄
(
よ
)
ってたかって、
水
(
みず
)
を
吐
(
は
)
かせたり、
焚火
(
たきび
)
で
煖
(
あたた
)
めたり、いろいろ
手
(
て
)
を
尽
(
つく
)
しましたが
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
また曲った道をいくつも曲って、とうとう内へ帰りついて蒲団の上へ這い上った。
燈炉
(
とうろ
)
を燃やして室は
煖
(
あたた
)
めてある。
湯婆
(
たんぽ
)
も今取りかえたばかりだ。
熊手と提灯
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
人工の火によるより、それができるあいだは、太陽によって
煖
(
あたた
)
まる方がずっと愉快でもあり健康的でもあった。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
彼は
炉
(
ろ
)
の前に坐りて
居眠
(
いねむ
)
りてやおらん、乞食せし時に比べて我家のうちの楽しさ
煖
(
あたた
)
かさに心
溶
(
と
)
け、思うこともなく
燈火
(
ともしび
)
うち見やりてやおらん、わが帰るを待たで
夕餉
(
ゆうげ
)
おえしか
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
焚火
(
たきび
)
に
煖
(
あたた
)
まっていたペテロのそばへ、この家の下女の一人が来て、焚火のあかりに照らし出された彼の顔をしげしげと見つめていましたが、「汝もかのナザレ人イエスと
偕
(
とも
)
にいた」
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
猴は人が焚火した跡へ集り来って身を
煖
(
あたた
)
むれど、火が消えればそのまま去り、
直
(
すぐ
)
側
(
そば
)
にある木を添える事を知らぬとあったを今に信ずる人も多いが、それは世間知らずの蒙昧な猴どもで
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
幸い旧語学校の同窓の川島
浪速
(
なにわ
)
がその頃警務学堂監督として北京に在任して声望隆々日の出の勢いであったので、久しぶりで訪問して旧情を
煖
(
あたた
)
めかたがた志望を打明けて相談したところが
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
その
疵
(
きず
)
のある
象牙
(
ぞうげ
)
の足の下に身を倒して甘い
焔
(
ほのお
)
を胸の
中
(
うち
)
に受けようと思いながら、その胸は
煖
(
あたた
)
まる
代
(
かわり
)
に冷え切って、
悔
(
くやみ
)
や
悶
(
もだえ
)
や恥のために、身も世もあられぬ
思
(
おもい
)
をしたものが
幾人
(
いくたり
)
あった事やら。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
開
(
あ
)
け放ち
微温湯
(
ぬるまゆ
)
に一二分間ずつ何回にも
漬
(
つ
)
かるようにした長湯をすると
直
(
じ
)
きに
動悸
(
どうき
)
がして湯気に上りそうになるので出来るだけ短時間に
煖
(
あたた
)
まり大急ぎで体を洗わねばならぬかくのごときことを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
秋九月中旬というころ、一日自分がさる
樺
(
かば
)
の林の中に座していたことがあッた。今朝から小雨が降りそそぎ、その晴れ間にはおりおり生ま
煖
(
あたた
)
かな日かげも射して、まことに気まぐれな空ら合い。
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
「今の音を。室を
煖
(
あたた
)
める蒸気じゃあないか。」
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「寒いから部屋を
煖
(
あたた
)
めます」と云ったなり、上から煖炉の中を
見下
(
みおろ
)
した。火は薄い
水飴
(
みずあめ
)
の色に燃える。
藍
(
あい
)
と
紫
(
むらさき
)
が折々は思い出したように交って煙突の
裏
(
うち
)
へ
上
(
のぼ
)
って行く。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
身うち
煖
(
あたた
)
かくなりまさりゆき、ひじたる衣の
裾
(
すそ
)
も
袖
(
そで
)
も乾きぬ。ああこの火、
誰
(
た
)
が燃やしつる火ぞ、
誰
(
た
)
がためにとて、
誰
(
たれ
)
が燃やしつるぞ。今や翁の心は感謝の情にみたされつ、老の
眼
(
まなこ
)
は涙ぐみたり。
たき火
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
ストーブを
真赤
(
まっか
)
に燃やして部屋を異常に
煖
(
あたた
)
めてあった。
鍵
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
文明の詩は
金剛石
(
ダイヤモンド
)
より成る。
紫
(
むらさき
)
より成る。
薔薇
(
ばら
)
の
香
(
か
)
と、
葡萄
(
ぶどう
)
の酒と、
琥珀
(
こはく
)
の
盃
(
さかずき
)
より成る。冬は
斑入
(
ふいり
)
の大理石を四角に組んで、
漆
(
うるし
)
に似たる石炭に
絹足袋
(
きぬたび
)
の底を
煖
(
あたた
)
めるところにある。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
煖
漢検1級
部首:⽕
13画
“煖”を含む語句
煖炉
煖爐
煖房
煖炉棚
瓦斯煖炉
壁煖炉
煖酒
飽煖
煖飽
煖陶
煖爐用煙突
煖爐用煉瓦
煖爐棚
煖爐圍
煖炉敷
煖炉前飾
煖房装置
煖房器
煖坑
温煖