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無殘
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むざん
役人共は
突退々々富右衞門を引立つゝ問屋場へと連れ來り
宿駕籠に
乘て江戸馬喰町四丁目の
郡代屋敷へ引れしは
無殘なることどもなり
猛狒の
類は
此穴の
周圍に
牙を
鳴し、
爪を
磨いて
居るのだから、
一寸でも
鐵檻車の
外へ
出たら
最後、
直ちに
無殘の
死を
遂げてしまうのだ。
無殘にも
蛙の
夫婦を
殺して
行くものだから、
其數が
殆んど
勘定し
切れない
程多くなるのださうである。
無殘な
爆彈に
血染められたと
言ふその
最後が
傷ましくも
感じられはしないだらうか?
めぐしくも、
毀ちたるこそ
無殘なれ。
引拔無殘にも娘を
刺殺せども猶立石は前後も知らず
醉臥居たるを直助は
直樣上に
跨り
咽喉を
突貫し一ゑぐりに殺して
又箪笥の方へ
行んとせしに女房は
密と續いて來るを
ズボンは
滅茶苦茶に
引裂かれ、
片足の
靴は
無殘に
噛取られて、
命から/″\
車中に
轉び
込んだ。
氣絶する
程甲板の
上に
投倒されて、
折角高まつた
私の
鼻も
無殘に
拗折られてしまつた。
頼みける然ば
無殘なる
哉水呑村の九助は
豫て
覺悟とは言ながら我が罪ならぬ無實の
災難今更
怨んで
甲斐なしと雨なす涙に面を
浸し首うな
垂て面目なげに目を
閉口には
稱名唱へ
未來を