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濃紫
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こむらさき
ふりがな文庫
“
濃紫
(
こむらさき
)” の例文
波のようにゆるく起伏する大雪原を
縁
(
ふち
)
取りした、明るい白樺の疎林や、
蒼黝
(
あおぐろ
)
い針葉樹の列が、銀色の雪の上にクッキリと
濃紫
(
こむらさき
)
の影をおとし
キャラコさん:02 雪の山小屋
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
不思議なほど
濃紫
(
こむらさき
)
に
晴上
(
はれあが
)
った大和の空、晩春四月の
薄紅
(
うすべに
)
の華やかな絵の
如
(
よう
)
な太陽は、
宛
(
さなが
)
ら陽気にふるえる様に暖かく
黄味
(
きみ
)
な
光線
(
ひかり
)
を
注落
(
そそぎお
)
とす。
菜の花物語
(新字新仮名)
/
児玉花外
(著)
こっちの部屋から流れこんで行く
燈光
(
ひかり
)
で、その部屋は
茫
(
ぼっ
)
と明るかったが、その底に
濃紫
(
こむらさき
)
の
斑點
(
しみ
)
かのように、お八重は突っ伏して泣いていた。
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
香以の通った妓楼は初め吉原江戸町一丁目玉屋山三郎方で、後
角町
(
すみまち
)
稲本楼である。玉屋には
濃紫
(
こむらさき
)
、稲本には二世小稲がいた。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
艶然
(
ぱつ
)
とした中形單衣、夜目にも透いて見える襟脚の
確乎
(
くつきり
)
白きに、烏羽玉色の黒髮を潰し島田に結んだ
初初
(
うひうひ
)
しさ、
濃紫
(
こむらさき
)
の帶を太鼓に結んだ端が二寸許り
二十三夜
(旧字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
▼ もっと見る
こちらの童女は
濃紫
(
こむらさき
)
に撫子重ねの
汗袗
(
かざみ
)
などでおおような好みである。双方とも相手に譲るものでないというふうに気どっているのがおもしろく見えた。
源氏物語:25 蛍
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
なるほど、
手
(
て
)
で
草
(
くさ
)
をわけてみると、
濃紫
(
こむらさき
)
の
小
(
ちい
)
さい
美
(
うつく
)
しい
実
(
み
)
が、
重
(
かさ
)
なり
合
(
あ
)
うようにしてなっていました。
少年と秋の日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
海は、はろばろと
涯
(
はて
)
しもなく、
濃紫
(
こむらさき
)
色にひろがっていて、何処からか、海鳥の
啼音
(
なきね
)
がきこえてくる。
怪奇人造島
(新字新仮名)
/
寺島柾史
(著)
その間から
濃紫
(
こむらさき
)
の
龍膽
(
りんだう
)
の花が一もと二もと咲いてゐるなどもよくこの頃の心持を語つてゐる。
樹木とその葉:02 草鞋の話旅の話
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
しかし、それよりもつと、このアイヌの少年の目をひきつけたのは、青いコクワと、
濃紫
(
こむらさき
)
の
山葡萄
(
やまぶどう
)
の実が、玉をつらねたやうに、ふさ/\と
生
(
な
)
つて、おいで/\をしてゐることでした。
熊捕り競争
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
此処に
予
(
あらかじ
)
め遊蝶花、長命菊、
金盞花
(
きんせんくわ
)
、縁日名代の豪のもの、白、紅、絞、
濃紫
(
こむらさき
)
、今を盛に咲競ふ、中にも白き
花紫雲英
(
はなげんげ
)
、一株方五尺に
蔓
(
はびこ
)
り、葉の大なること
掌
(
たなそこ
)
の如く、茎の長きこと五寸
草あやめ
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
濃紫
(
こむらさき
)
の乘馬服を着、
黒天鵞絨
(
くろびろうど
)
のアマゾン風の帽子を、頬に觸れ肩に
漂
(
たゞよ
)
ふ房々とした捲毛の上に、形よく載せた彼女の姿よりも、もつと美しく
雅
(
みや
)
びなものを、殆んど想像することが出來ない。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
夫人特有の真白い
素足
(
すあし
)
が、夫人の
濃紫
(
こむらさき
)
の
裾
(
すそ
)
から
悠々
(
ゆうゆう
)
と現われました。
女性の不平とよろこび
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
黒いばかり
濃紫
(
こむらさき
)
の百合である。北の政所は
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
晴れた
Seine
(
セエヌ
)
の
濃紫
(
こむらさき
)
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
影涼し皆
濃紫
(
こむらさき
)
さむらさき
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
濃紫
(
こむらさき
)
ゆかりの
譜
(
ふ
)
をば
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
鳶尾草
(
いちはつぐさ
)
の
濃紫
(
こむらさき
)
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
階の
両側
(
ふたがわ
)
のところどころには、
黄羅紗
(
きラシャ
)
にみどりと白との
縁取
(
ふちど
)
りたる「リフレエ」を着て、
濃紫
(
こむらさき
)
の
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
いたる男、
項
(
うなじ
)
を
屈
(
かが
)
めて
瞬
(
またたき
)
もせず立ちたり。
文づかひ
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
真紅
黄金
(
こがね
)
色、
濃紫
(
こむらさき
)
落ちる太陽に照らされて、五彩に輝く雲の峰が、海のあなたにむら立ち昇り、その余光が林の木々天幕の布を血のような気味の悪い色に染め付けている。
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして、
女
(
おんな
)
の
身
(
み
)
を
投
(
な
)
げて
死
(
し
)
んだという
井戸
(
いど
)
のそばへいって、
深
(
ふか
)
く、
深
(
ふか
)
く、わびられますと、その
井戸
(
いど
)
のそばには、
濃紫
(
こむらさき
)
のふじの
花
(
はな
)
が、いまを
盛
(
さか
)
りに
咲
(
さ
)
き
乱
(
みだ
)
れていたのであります。
お姫さまと乞食の女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
芳草
(
ほうそう
)
や黒き烏も
濃紫
(
こむらさき
)
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
髪は総髪の
大髻
(
おおたぶさ
)
で、
髻
(
もとどり
)
の紐は
濃紫
(
こむらさき
)
であった。
剣侠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
濃
常用漢字
中学
部首:⽔
16画
紫
常用漢字
中学
部首:⽷
12画
“濃紫”で始まる語句
濃紫色