漁師れふし)” の例文
五年前三浦三崎から來た時は、潮焦しほやけのした漁師れふしの伜でしたが、江戸の水で磨いて、何時の間にやらあんなに好い男になつたけれど
古志こし長岡魚沼ながをかうをぬまの川口あたりにて漁したる一番の初鮏はつさけ漁師れふし長岡ながをかへたてまつれば、れいとしてさけひきに(一頭を一尺といふ)米七俵のあたひたまふ。
それでも猶旦やつぱりだまされぬときちひさなあなから熱湯ねつたうをぽつちりとしりそゝげばたこかならあわてゝ漁師れふしまへをどす。あつい一てきによつて容易よういたこだまされるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「家へ帰つて来りや、矢張漁師れふしをせんならんちや、あつはつはゝゝゝ」
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
「さて二人目は、同じ三軒長屋の大川寄に住んでゐる、漁師れふしの申松爺さんだ、五十二で赤銅しやくどう色で、生れ乍らの獨り者で——」
さけこゝにいたりて激浪げきらうにのぼりかねて猶予たゆたふゆゑ、漁師れふしどもかり柴橋しばはしかけわたし、きしにちかきいはの上の雪をほりすてこゝに居てかの掻網かきあみをなす。
熟練じゆくれん漁師れふし大洋たいやうなみまかせてこべりからなはいだつぼしづめる。なはさぐつてしづめたあか土燒どやきつぼふたゝこべりきつけられるとき其處そこには凝然ぢつとしてたこあしいぼもつ内側うちがはひついてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
阿加川あかがはを所にてはあが川といふ)さて此打切を作るは幾ばくのつひえある事ゆゑ、漁師れふしどもかたらひあひてする事也。
元は三崎の漁師れふしで、少し位は文字も讀め、才智もたくましく、こんな道化た樣子をして居りますが、顏を洗つて、胡粉ごふんを落したところを見ると、なか/\好い男であります。
すで漁師れふし生命せいめいにぎられてたこちからきはめてつぼ内側うちがは緊着きんちやくすれば什麽どんなつよちからふくろのやうなあたまつてかうとも、へび身體からだの一あな揷入さうにうしたやうに拗切ちぎれるまでもはなれない。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
漁師れふしや村人に禮を言つて、再び御用船の厄介になり、江戸へ歸つたのは半歳前。