“此娘(このこ)” の例文
夜もすがら枕近くにありて悄然(しよんぼり)とせし老人二人の面(おも)やう、何處やら寢顏に似た處のあるやうなるは、此娘(このこ)の若しも父母にては無きか
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
随分不器量な娘(こ)だつたが、ミハイロは女に掛けては贅沢でないから、此娘(このこ)が道具を持つて側(そば)へ来た時から全然(すつかり)気に入つて了(しま)つて、頭巾の蔭から瞥(ぢろり)と面(かほ)を見られた時には、何だか恍然(ぼつ)となつた……はて
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
お禮(れい)を申(まをし)て頂(いたゞ)いてお出(い)でと蒔散(まきち)らせば、これを此娘(このこ)の十八番(ばん)に馴(な)れたる事(こと)とて左(さ)のみは遠慮(ゑんりよ)もいふては居(ゐ)ず、旦那(だんな)よろしいのでございますかと駄目(だめ)を押(お)して
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さわいでさわいで騷(さわ)ぎぬかうと思(おも)ひますとて手(て)を扣(たゝ)いて朋輩(ほうばい)を呼(よ)べば力(りき)ちやん大分(だいぶ)おしめやかだねと三十女(おんな)の厚化粧(あつげしよう)が來(く)るに、おい此娘(このこ)の可愛(かあい)い人(ひと)は何(なん)といふ名(な)だと突然(だしぬけ)に問(と)はれて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
もう此樣(こん)な事(こと)は御聞(おき)かせ申(まをし)ませぬほどに心配(しんぱい)をして下(くだ)さりますなとて拭(ぬぐ)ふあとから又(また)涙(なみだ)、母親(はゝおや)は聲(こゑ)たてゝ何(なん)といふ此娘(このこ)は不仕合(ふしやわせ)と又(また)一しきり大泣(おほな)きの雨(あめ)、くもらぬ月(つき)も折(をり)から淋(さび)しくて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
帳塲格子(ちやうばかうし)のうちに此娘(このこ)を据(す)へて愛敬(あいけう)を賣(う)らすれば、秤(はか)りの目(め)は兎(と)に角(かく)勘定(かんぢやう)しらずの若(わか)い者(もの)など、何(なに)がなしに寄(よ)つて大方(おほかた)毎夜(まいよ)十二時(じ)を聞(き)くまで店(みせ)に客(きやく)のかげ絶(た)えたる事(こと)なし、いそがしきは大和尚(だいおしやう)
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)