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大泣
二人は
大泣きに
泣きました。
家の
者どもゝ、
顏かたちが
美しいばかりでなく、
上品で
心だての
優しい
姫に、
今更、
永のお
別れをするのが
悲しくて、
湯水も
喉を
通りませんでした。
もう
此樣な
事は
御聞かせ
申ませぬほどに
心配をして
下さりますなとて
拭ふあとから
又涙、
母親は
聲たてゝ
何といふ
此娘は
不仕合と
又一しきり
大泣きの
雨、くもらぬ
月も
折から
淋しくて
離縁を
取つて
出たが
宜いか、
太郎は
原田のもの、
其方は
齋藤の
娘、一
度縁が
切れては二
度と
顏見にゆく
事もなるまじ、
同じく
不運に
泣くほどならば
原田の
妻で
大泣きに
泣け、なあ
關さうでは
無いか