梟雄きょうゆう)” の例文
ましてや彼はこの時代における、梟雄きょうゆうであって権臣であって、大目附であろうと若年寄であろうと、はばかったほどの勢力家であった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
例えば原敬のごときに対しては奸獰かんねい邪智の梟雄きょうゆうとして心から憎悪を抱いていた。原敬の眼中にはただ自党の利益のみがあって国家がない。
蝸牛の角 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
とき耶、燕王の胸中颶母ばいぼまさに動いて、黒雲こくうん飛ばんと欲し、張玉ちょうぎょく朱能しゅのうの猛将梟雄きょうゆう、眼底紫電ひらめいて、雷火発せんとす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
梟雄きょうゆう張作霖が亡んで学良と変っても、何ら満洲の対日関係は好転せず、かえって反対の傾向をたどり、学良政権を再び武力によって倒壊しなければ
私が張作霖を殺した (新字新仮名) / 河本大作(著)
「つまり、誰か、このわしを蹴落けおとそうという不逞ふていの部下が居て、わしに相談もしないで敵を攻めているのではなかろうか。そいつは、恐るべき梟雄きょうゆうである!」
二、〇〇〇年戦争 (新字新仮名) / 海野十三(著)
はなかけ卜斎ぼくさいの名にそむかず、容貌ようぼうこそ、いたってみにくいが、さすが北越ほくえつ梟雄きょうゆう鬼柴田おにしばたの腹心であり、かつ攻城学こうじょうがく泰斗たいとという貫禄かんろくが、どこかに光っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
嗚呼ああ、後年の梟雄きょうゆう武蔵守輝勝、かの肖像畫に見るところの英姿颯爽さっそうたる「武州公」が、今や桔梗の方の厠の真下にある坑道のやみ土龍もぐらの如くうずくまっている様子は
古来英雄と称するものは大抵たいてい奸雄かんゆう梟雄きょうゆう、悪雄の類である、ぼくはこれらの英雄を憎む、それと同時に鎌足かまたりのごとき、楠公なんこうのごとき、孔子こうしのごとき、キリストのごとき
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
のみならず卿がシェクスピアを軽蔑していたわけは、シェクスピアがヴェニスの不良ユダヤ人シャイロックになればまた唾棄だきすべき梟雄きょうゆうジョン・ケイドにもなりえたという点であろう
如何なる星の下に (新字新仮名) / 高見順(著)
フランス革命の梟雄きょうゆうマラーを一刀で刺殺して、「予は万人を救わんがために一人を殺せり」と、法廷で揚言した二十六歳の処女シャロット・コルデーは、処刑にのぞんで書をその父によせ
死刑の前 (新字新仮名) / 幸徳秋水(著)
これだけでも一部の小説とするに足る。また例えば素藤もとふじの如き、妙椿みょうちんが現れて幻術で助けるようになってはツマラないが、浮浪の盗賊からとにかく一城の主となった経路には梟雄きょうゆうの智略がある。
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
弾正太夫とはいかなる者か? それは一個の豪傑であって、昔の身分は美濃みの梟雄きょうゆう、斎藤道三の執事職の脇屋刑部わきやぎょうぶと云った武士。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「蒯越。足下も玄徳の毒にあてられるな。あれが真の君子なら世の中に悪党はない。彼は腹ぐろい梟雄きょうゆうだ」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
要するに一代の梟雄きょうゆうたる彼も、一時に寄せて来た今日の不幸に、精神乱れ思慮衰え、一個の小人となったのであった。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
英雄にも、真の英雄と梟雄きょうゆうとがある。梟雄に学才などあれば、かえって、自身を破滅し、主家を毒そう。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
新将軍秀忠をめぐって、この新しい城府に移住していた天下の梟雄きょうゆうや豪傑的な大名のあいだに伍しても、父の細川三斎のこけんを落すようなことは決してなかった。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、その将監の懐中刀ふところがたなとして、縦横に策略を振るった者は梟雄きょうゆう北条美作であった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
そして、かつて軍神いくさがみ信玄しんげんが、甲山こうざんの兵をあげて、梟雄きょうゆう家康いえやすへ、乾坤けんこんてき血戦けっせんをいどんだ三方みかたはら
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天草時行陰性の梟雄きょうゆう、いつも薄暗い露路に巣くい、金儲けばかり考えている玉だ。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いつどんな梟雄きょうゆうが立って、どんな野心を奮い起さない限りもないのだ。乱波者らっぱもの(おんみつ)はどこの城下へも入りこんで、枕を高くして寝ている国をさがしているのだ。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まさに神采しんさい奕々えきえきとして、梟雄きょうゆう弾正太夫をさえ、叱咜しったし去らん勢いである。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
越前えちぜんきたしょう鬼柴田おにしばたといえば、弱肉強食の乱世らんせいのなかでも、とくに恐ろしがられている梟雄きょうゆうだのに、こんな美しい、情けの持主もちぬしであろうとは、きょうまでゆめにも知らなかった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その白色の雪の彼方あなた突兀とっこつそびえる大山は、御嶽冠者の右腕として、石川五右衛門に上越す梟雄きょうゆう、武者所鬼王丸おにおうまるが、とりでを築いて立てこもるところの、名さえ物々しい大鼠山おおねずみやま! 今は霧巻きもや立ち迷い
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それはあながち一箇の風雲児や一箇の梟雄きょうゆうのみが作り出すものでもないようである。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
梟雄きょうゆうながらも一世の人傑、太郎丸翻然と悟ったらしい。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いかなる現下の梟雄きょうゆうでも、手におえない豪傑ごうけつたちでも、かれと談笑のうちに、ふと、眼をカチ合わせるときは、十人が十人とも、その視線を、横にそらすか、伏せるかして、よく秀吉の正視にえて
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いいべくんば一代の梟雄きょうゆう
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一世の梟雄きょうゆう島津太郎丸
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)