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掛行燈
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かけあんどん
ふりがな文庫
“
掛行燈
(
かけあんどん
)” の例文
新字:
掛行灯
「……あの、こちらは、宿屋ではないんでしょうか。路地の入口に、はたごと書いた
掛行燈
(
かけあんどん
)
が見えたので、はいって来たんですけれど」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
屋台の正面を横に見せた、両方の柱を白木綿で巻立てたは寂しいが、左右へ渡して
紅金巾
(
べにがなきん
)
をひらりと釣った、下に横長な
掛行燈
(
かけあんどん
)
。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼等の貧乏時代は、茶屋の
掛行燈
(
かけあんどん
)
など引受け、がむしやらに
雑用
(
ぞうよう
)
稼ぎをして、見られたざまではなかつたのを、この頃はすつかり高くとまり、方外の画料を
貪
(
むさぼ
)
る。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
向側に
粋
(
いき
)
なうなぎやがあったが、そうなっては
掛行燈
(
かけあんどん
)
の
風致
(
ふうち
)
もなにもなくなってしまった。この池に悲しい
禿
(
かむろ
)
が沈んだのだということが子供心を湿らせたに過ぎない。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
毎年の
習
(
ならい
)
で、ことしも
稲荷
(
いなり
)
様の境内から町内の
掛行燈
(
かけあんどん
)
の絵は、みんな
街子
(
まちこ
)
の父親が
描
(
か
)
いたのです。
最初の悲哀
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
▼ もっと見る
やむを得ず七兵衛は、用もありもしない
下
(
しも
)
の
町
(
ちょう
)
へ出て、ぶらりぶらりと
軒並
(
のきなみ
)
の
掛行燈
(
かけあんどん
)
などを見て行く、一廻りして中堂寺町へ出て、後ろを見ると小間物屋の姿は見えない。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
裏道傳
(
うらみちづた
)
ひ
二町
(
にちやう
)
三町
(
さんちやう
)
町名
(
ちやうめい
)
は
何
(
なに
)
と
知
(
し
)
れねど
少
(
すこ
)
し
引
(
ひ
)
き
入
(
い
)
りし
二階建
(
にかいだて
)
に
掛行燈
(
かけあんどん
)
の
光
(
ひか
)
り
朧々
(
ろう/\
)
として
主
(
ぬし
)
はありやなしや
入口
(
いりぐち
)
に
並
(
なら
)
べし
下駄
(
げた
)
二三足
(
にさんぞく
)
料理番
(
れうりばん
)
が
欠伸
(
あくび
)
催
(
もよ
)
すべき
見世
(
みせ
)
がゝりの
割烹店
(
かつぽうてん
)
あり
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
数分の後、私は姉の
背後
(
うしろ
)
に身を隠すやうに寄り添ひながら伯父の家へ入つた。
先斗町
(
ぽんとちやう
)
並びの広い玄関口の一方の柱には、斜に描いた瓢箪の下に旅館浪華亭と書いた
瀟洒
(
せうしや
)
な
掛行燈
(
かけあんどん
)
が懸けてあつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
やがて二階屋が建続き、町幅が糸のよう、月の光を
廂
(
ひさし
)
で
覆
(
おお
)
うて、両側の暗い軒に、
掛行燈
(
かけあんどん
)
が
疎
(
まばら
)
に白く、枯柳に星が乱れて、壁の
蒼
(
あお
)
いのが処々。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
忍川
(
しのぶがわ
)
という角の茶屋——外から見ると静かそうな二階があるので、三枚橋を渡ってそこへ入ろうとすると、辻に一本の枯柳があって、柳と細竹に
風防
(
かぜよ
)
けを廻し、
掛行燈
(
かけあんどん
)
に
算木
(
さんぎ
)
を書いた大道易者。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
同じやうな格子造りの二階家が南側に並んで、娼婦の名前を沢山書き
列
(
つら
)
ねた
掛行燈
(
かけあんどん
)
が戸毎に掛つてゐたが、既にその行燈に明るく灯が入つて、涼みがてらの嫖客の姿もぽつ/\見られる頃合だつた。
乳の匂ひ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
且
(
か
)
つは
暗
(
くら
)
い。……
前途
(
むかう
)
下
(
さが
)
りに、
見込
(
みこ
)
んで、
其
(
そ
)
の
勾配
(
こうばい
)
の
最
(
もつと
)
も
著
(
いちじる
)
しい
其處
(
そこ
)
から、
母屋
(
おもや
)
の
正面
(
しやうめん
)
の
低
(
ひく
)
い
縁側
(
えんがは
)
に
成
(
な
)
る
壁
(
かべ
)
に、
薄明
(
うすあか
)
りの
掛行燈
(
かけあんどん
)
が
有
(
あ
)
るばかり。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
路一筋白くして、
掛行燈
(
かけあんどん
)
の更けたかなたこなた、杖を
支
(
つ
)
いた按摩も交って、ちらちらと人立ちする。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、
颯
(
さつ
)
と、
翠
(
みどり
)
に、
藍
(
あゐ
)
を
襲
(
かさ
)
ね、
群青
(
ぐんじやう
)
を
籠
(
こ
)
めて、
紫
(
むらさき
)
に
成
(
な
)
つて、つい、
其
(
そ
)
の
掛行燈
(
かけあんどん
)
の
前
(
まへ
)
を
拔
(
ぬ
)
けた。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
掛
常用漢字
中学
部首:⼿
11画
行
常用漢字
小2
部首:⾏
6画
燈
部首:⽕
16画
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掛行灯