情深なさけぶか)” の例文
彼等の背後に控えて働くのは、通例情深なさけぶかい霊的存在で、印象的に、絶えず必要な指導を与える。
ころ近國きんごく知事ちじおもひものりました……めかけとこそへ、情深なさけぶかく、やさしいのを、いにしへ國主こくしゆ貴婦人きふじん簾中れんちうのやうにたゝへられたのがにしおふなか河内かはち山裾やますそなる虎杖いたどりさと
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かねや本当にの方は情深なさけぶかい方で、私も彼方あちらへ縁付かれるようなればいと思って居たが、是には種々いろ/\義理があって、の方が私に沢山心付を下すって、其の時金入をお忘れで
人間がそんなに情深なさけぶかい、思いやりのある動物であるとははなはだ受け取りにくい。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たづぬるに武州埼玉郡さいたまごほり幸手宿さつてじゆく豪富がうふの聞え高き穀物こくもつ問屋とんやにて穀屋こくや平兵衞と言者あり家内三十餘人のくらしなるが此平兵衞は正直しやうぢき律儀りちぎ生質うまれつきにて情深なさけぶかき者なれば人をあはれたすくることの多きゆゑ人みな其徳そのとく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
あゝ、涙、あゝ情深なさけぶかき心、あゝ、涙はふり落つるこの顏容かんばせかな。
頌歌 (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
といひかけてわらことばなにとしらねどおほどこしとはお情深なさけぶかことさぞかし可哀かあいさうのも御座ございませうとおもふことあればさつしもふか花子はなこ煙草たばこきらひときゝしがかたはら煙管きせるとりあげて一服いつぷくあわたゞしくおしやりつそれはもうさま/″\ツイ二日計前ふつかばかりまへのこと極貧ごくひん裏屋うらやもの難産なんざんくるしみましてあに手術しゆじゆつ母子ふたりとも安全あんぜんでは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
北国ほっこくにおいても、旅館の設備においては、第一と世に知られたこの武生のうちでも、その随一の旅館の娘で、二十六の年に、その頃の近国の知事のおもいものになりました……めかけとこそ言え、情深なさけぶかく、やさしいのを
雪霊記事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
情深なさけぶかき母親もついには呆れ返って
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ものの情深なさけぶかく優しき声して
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)