御頼おたのみ)” の例文
あの老人程かじの取りにくい人はないから貴所が其所そこを巧にやってくれるなら此方こっちは又井下伯に頼んで十分の手順をする、何卒か宜しく御頼おたのみします。
富岡先生 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
御礼御序おついで御頼おたのみ申候。なおあなたよりも御祝之品に預り痛み入候。いづれこれより御礼可申上もうしあぐべく候。扇子だけありあわせていし候。御入手可被下くださるべく候。御出張之先之事、御案も候半。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
ハヽヽヽイヤうも驚きました、成程、さすが明智の松島大佐も、恋故なれば心もやみと云ふ次第わけわすかな、松島さん、シツカリ御頼おたのみ申しますよ、相手がかく露西亜ロシヤですゼ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
鬼と見て我を御頼おたのみか、金輪こんりん奈落ならく其様そのような義は御免こうむると、心清き男の強く云うをお辰聞ながら、櫛を手にして見れば、ても美しくほりほったり、あつさわずか一分いちぶに足らず、幅はようやく二分ばか
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それほどのかんがえがちゃんとあるあなたに、あんなつまらない仕事を御頼おたのみ申したのはわたしが悪かった。人物を見損みそくなったのも同然なんだから。が、市蔵があなたを紹介する時に、そう云いましたよ。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
資本もとでにして一かせぎ仕つりたくと思ひ一まづ小倉に行て貴殿きでんにも御相談致し其上いづれとも決し申さんと遙々はる/″\小倉こくらおもむきしに貴殿は江戸へ御引移りの由うけたまはり然らば直樣江戸へ下り御目にかゝり萬事の御相談相手あひて御頼おたのみ申さんものと遠路ゑんろの處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「せっかくの御頼おたのみだから、出来れば、そうしたいのですが……」
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
立直たてなほやうに相だんして見給みたまへと深切しんせつ言葉ことばに庄三郎大に喜び何から何迄なにまで段々だん/\御世話おせわかたじけなく是にすぎたる事はなし然れども我々われ/\かたまゐ養子やうしあるべき能々よく/\御聞糺おんきゝたゞしくださるゝやうひとへ御頼おたのみ申なりと云けるにぞしからば先方へ申きくべきあひだ御家内うちかたへも此段このだん能々よく/\御相談ごさうだん成るべし我等方は明日みやうにちしかいたしたる返事へんじ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「先生、御頼おたのみ洋灯ランプの台を買って来ました」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
先達せんだつ御頼おたのみかねですがね」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)