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おむろ
ふりがな文庫
“
御室
(
おむろ
)” の例文
「
嵯峨
(
さが
)
や
御室
(
おむろ
)
」で
馴染
(
なじみ
)
の「わたしゃ都の島原できさらぎという
傾城
(
けいせい
)
でござんすわいな」の名文句から思い出の
優婉
(
ゆうえん
)
な想像が全く破れる。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
一体なにを彫るのかと云って雛形の手本をみせると、清吉は「嵯峨や
御室
(
おむろ
)
」の光国と滝夜叉を彫ってくれと云う注文を出しました。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
宗近君は
籐
(
と
)
の
椅子
(
いす
)
に
横平
(
おうへい
)
な腰を据えてさっきから隣りの
琴
(
こと
)
を聴いている。
御室
(
おむろ
)
の
御所
(
ごしょ
)
の
春寒
(
はるさむ
)
に、
銘
(
めい
)
をたまわる
琵琶
(
びわ
)
の風流は知るはずがない。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
行手には
唐人
(
とうじん
)
の
冠
(
かむり
)
を見る様に一寸青黒い
頭
(
あたま
)
の上の頭をかぶった
愛宕山
(
あたごやま
)
が、此辺一帯の帝王
貌
(
がお
)
して見下ろして居る。
御室
(
おむろ
)
でしばらく車を下りる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
あれは
横笛
(
よこぶえ
)
とて近き頃
御室
(
おむろ
)
の
郷
(
さと
)
より
曹司
(
そうし
)
しに見えし者なれば、知る人なきも
理
(
ことわり
)
にこそ、
御身
(
おんみ
)
は名を聞いて何にし給ふ
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
▼ もっと見る
皇后宮亮
(
こうごうぐうのすけ
)
経正は、幼い頃、
仁和寺
(
にんなじ
)
の
御室
(
おむろ
)
の許で、稚児姿で仕えたことがあった。慌しい都落ちにも経正は五、六騎の供を連れ仁和寺へお別れにやってきた。
現代語訳 平家物語:07 第七巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
ここは京都の郊外の、
上嵯峨
(
かみさが
)
へ通う野路である。
御室
(
おむろ
)
の
仁和寺
(
にんなじ
)
は北に見え、
妙心寺
(
みょうしんじ
)
は東に見えている。野路を西へ辿ったならば、
太秦
(
うずまさ
)
の村へ行けるであろう。
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
嵯峨
(
さが
)
、
嵐山
(
あらしやま
)
、平安神宮は
駄目
(
だめ
)
だとしても、せめて
御室
(
おむろ
)
の花にでも間に合ってくれないか知らん。………そう云えば去年、悦子が
猩紅熱
(
しょうこうねつ
)
に
罹
(
かか
)
ったのも今月であった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それはちょうど木の大きさの似ている京都
御室
(
おむろ
)
のサクラの下でその花を賞し楽しむと同趣である。
植物一日一題
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
しかれども
春雨
(
はるさめ
)
に
傘
(
かさ
)
、暮春に女、
卯花
(
うのはな
)
に尼、
五月雨
(
さみだれ
)
に馬、
紅葉
(
もみじ
)
に滝、暮秋に牛、雪に
燈火
(
ともしび
)
、
凩
(
こがらし
)
に
鴉
(
からす
)
、名所には京、
嵯峨
(
さが
)
、
御室
(
おむろ
)
、大原、
比叡
(
ひえい
)
、
三井寺
(
みいでら
)
、瀬田、須磨、奈良、宇津
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
仁和寺
(
にんなじ
)
の十四
宇
(
う
)
の
大廈
(
たいか
)
と、四十九院の
堂塔伽藍
(
どうとうがらん
)
が
御室
(
おむろ
)
から
衣笠山
(
きぬがさやま
)
の峰や谷へかけて
瑤珞
(
ようらく
)
や
青丹
(
あおに
)
の建築美をつらね、時の文化の力は
市塵
(
しじん
)
を離れてまたひとつの
聚楽
(
じゅらく
)
をふやしてゆくのだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
⦅
御室
(
おむろ
)
の方の火口へでもお入りなさい
『春と修羅』
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
俳優はみんな十五、六の子供で、
嵯峨
(
さが
)
や
御室
(
おむろ
)
の花盛り……の光国と
瀧夜叉
(
たきやしゃ
)
と御注進の三人が引抜いてどんつくの踊りになるのであった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
こうして若宮は髪を落し、法師の姿となって
仁和寺
(
にんなじ
)
御室
(
おむろ
)
の弟子になった。後に
東寺
(
とうじ
)
の一の長者安井宮の大僧正道尊といわれた人は、実にこの若宮であった。
現代語訳 平家物語:04 第四巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
『
然
(
さ
)
らばいかなる
身分
(
みぶん
)
の者ぞ、
衞府附
(
ゑふづき
)
の
侍
(
さむらひ
)
にてもあるか』。『
否
(
いや
)
、さるものには候はず、御所の曹司に横笛と申すもの、聞けば
御室
(
おむろ
)
わたりの郷家の娘なりとの事』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
皆で
御室
(
おむろ
)
へでも行って見たい気がしたのであったが、さすがにそう迄は云い出し得なかった。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「弘法大師の
十住心
(
じゅうじゅうしん
)
は華厳宗によって作ったものである。このことを
御室
(
おむろ
)
に申した処それは面白い議論である。早くもう少し研究して見るがよいと仰せられたから今考えている処だが」
法然行伝
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
旦
(
あした
)
に稽古の窓に
凭
(
よ
)
れば、垣を
掠
(
かす
)
めて靡く霧は不斷の烟、
夕
(
ゆふべ
)
に
鑽仰
(
さんがう
)
の
嶺
(
みね
)
を
攀
(
よ
)
づれば、壁を漏れて照る月は
常住
(
じやうぢゆう
)
の
燭
(
ともしび
)
、晝は
御室
(
おむろ
)
、
太秦
(
うづまさ
)
、梅津の邊を
巡錫
(
じゆんしやく
)
して、夜に入れば
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
かざり車や、
御車
(
みぐるま
)
や、
御室
(
おむろ
)
あたりの夕暮に、花の
顔
(
かんばせ
)
みるたのしみも……
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
漸
(
ようや
)
く
御室
(
おむろ
)
の厚咲きの花に間に合ったような訳であった。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
弥生
(
やよい
)
は
御室
(
おむろ
)
の花ざかり
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
“御室”の解説
御室(おむろ)は、京都府京都市右京区にある一地名。
宇多天皇(当時期は法皇位)の創建にして真言宗御室派の総本山、門跡寺院でもあるところの、仁和寺の雅称及び住職(門跡)の雅称。
加えて、仁和寺一帯を指す地名である。
(出典:Wikipedia)
御
常用漢字
中学
部首:⼻
12画
室
常用漢字
小2
部首:⼧
9画
“御室”で始まる語句
御室処
御室樂
御室田
御室道
御室左右記