役者やくしゃ)” の例文
ソーれおなされ姫様ひいさまほかのことにかけては姫様ひいさまがおえらいかれぬが、うまことにかけては矢張やはりこのじいやのほうが一まい役者やくしゃうえでござる……。
「勿論オペラ役者やくしゃにでもなっていれば、カルウソオぐらいには行っていたんだ。しかし今からじゃどうにもならない。」
彼 第二 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
おせんがした菊之丞きくのじょうは、江戸中えどじゅう人気にんき背負せおってった、役者やくしゃ菊之丞きくのじょうではなくて、かつてのおさななじみ、王子おうじきちちゃんそのひとだったのだから。——
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
有名ゆうめいうたうたいや、役者やくしゃや、おどもやってくるにちがいありません。それにしては、ここにあるきたならしい小舎こやりはらってしまわなければなりません。
花咲く島の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
役者やくしゃくにはな』(出板年次不詳)『絵本舞台扇えほんぶたいおうぎ』(明和七年板色摺三冊)その続編(安永七年板色摺二冊)ならびに『役者やくしゃなつ富士ふじ』(安永九年板墨摺一冊)等なり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
手にいれないで、写真さえあれば、たくさんなのだ。そこにりつけてある暗号を解きさえすれば、大宝庫だいほうこの場所が分るにちがいない。おれは頭目などより、一枚役者やくしゃが上なんだ
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
わがまま勝手かってそだてられてたおこのは、たとい役者やくしゃ女房にょうぼうには不向ふむきにしろ、ひんなら縹緻きりょうなら、ひとにはけはらないとの、かた己惚うぬぼれがあったのであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
庭園ていえん主人しゅじんは、いままでさびしくてしかたのなかったのが、世界せかい有名ゆうめいうたうたいがきたり、うつくしいおどがきておどったり、また役者やくしゃなどがくるということを想像そうぞうしますと、そうなったら
花咲く島の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
当代とうだい一の若女形わかおやま瀬川菊之丞せがわきくのじょうなら、江戸えどばんのおまえ相手あいてにゃ、すこしの不足ふそくもあるまいからの。——わかった。相手あいてがやっぱり役者やくしゃとあれば、堺屋さかいやうのはそう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
またまちへ、たびから役者やくしゃがきて芝居しばいってれば、そのあいだには質屋しちや隠居いんきょに、指物屋さしものやむすめよめにいったのであります。けれど、ペンキ主人しゅじん生活せいかつには、わりがありませんでした。
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)