トップ
>
常套
>
じょうとう
ふりがな文庫
“
常套
(
じょうとう
)” の例文
「これが人道を叫び紳士を
標榜
(
ひょうぼう
)
する英国が、印度で
執
(
と
)
る
常套
(
じょうとう
)
手段です。英国人にとっては印度人の命ほど安いものはありますまい」
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「そんな
常套
(
じょうとう
)
手段では、むしろ玄徳に利せられるおそれがあります。それがしの考えているのは、二
虎
(
こ
)
競食
(
きょうしょく
)
の計という策略です」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
羨しいことだ、というので、今から見れば覉旅の歌の
常套
(
じょうとう
)
手段のようにも取れるが、当時の歌人にとっては常に実感であったのであろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
「花が散って雪のようだといったような
常套
(
じょうとう
)
な描写を月並みという。」「秋風や白木の弓につる張らんといったような句は
佳
(
よ
)
い句である。」
夏目漱石先生の追憶
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
自然にたいする人間の反抗の
常套
(
じょうとう
)
語をもたらす代わりに、自然そのものの平和を、和解を、もたらしてやったからである。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
『緋色の研究』のはじめの部分の推理方法などは、彼がその後
常套
(
じょうとう
)
的に用いるもので、後になると、そのマンネリズムが少々うるさくなってくる。
ホオムズの探偵法
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
惺々
(
せいせい
)
は惺々を愛し、好漢は好漢を知るというのは小説の
常套
(
じょうとう
)
文句だが、秀吉も
一瞥
(
いちべつ
)
の中の政宗を、くせ者ではあるが好い男だ、と思ったに疑無い。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
仮令彼女の里方は廣介の
常套
(
じょうとう
)
手段によって、
懐柔
(
かいじゅう
)
せられたとしても、彼女自身の
遣
(
や
)
り
場
(
ば
)
のない悲しみは、どう慰めようすべもないのでありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
これはつうやの
常套
(
じょうとう
)
手段である。彼女は何を尋ねても、
素直
(
すなお
)
に教えたと云うことはない。必ず一度は
厳格
(
げんかく
)
に「考えて御覧なさい」を繰り返すのである。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
蕉翁
(
しょうおう
)
の心構えは奇警にも
奔
(
はし
)
らず、さりとてまた
常套
(
じょうとう
)
にも堕せずして、必ず各自の実験の間から、直接に詩境を求めさせていたところに新鮮味があった。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
常套
(
じょうとう
)
を嫌う君の趣味は、いつもながらの事だが、然し、
隠伏奏楽所
(
ヒッヅン・オーケストラ
)
の入口と云えば、下手の遙か外れじゃないか。
オフェリヤ殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
その戯曲も同様の戯曲なるにあらずや。ゆえに東洋改革史なるものは
陳腐
(
ちんぷ
)
常套
(
じょうとう
)
実に読むに堪えざるものあるなり。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
べそを掻いて
臀込
(
しりご
)
みをしながら、何の彼のと泣き言を並べて暫く皆をてこずらせたが、実はそれが
常套
(
じょうとう
)
手段で、いつもそう云う風にぐずついている間に
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
わたしは母のそばへ寄って、身をかがめてその手にキスすると(これは会話を打切ろうと思う時の、わたしの
常套
(
じょうとう
)
手段だった)、そのまま自分の部屋へ
戻
(
もど
)
った。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
驟雨
(
しゅうう
)
雷鳴から事件の起ったのを見て、これまた作者
常套
(
じょうとう
)
の筆法だと笑う人もあるだろうが、わたくしは之を
慮
(
おもんばか
)
るがために、わざわざ事を他に設けることを欲しない。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今の道徳からいったら人情本の
常套
(
じょうとう
)
の団円たる妻妾の三曲合奏というような歓楽は
顰蹙
(
ひんしゅく
)
すべき
沙汰
(
さた
)
の限りだが、江戸時代には富豪の家庭の美くしい理想であったのだ。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
これは詩の
常套
(
じょうとう
)
の世界にすぎないのだろうと冷やかしたくなるのだが、然し、父の伝記を読むと、長男にだけはひどく心を労していたことが諸家によって語られている。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それがいわゆる
八卦見
(
はっけみ
)
占い者の
常套
(
じょうとう
)
手段といえば手段ですが、とにかくその前を通りかかると、突然、あなたには死相が浮かんでいるというようなことをいったのだそうで
右門捕物帖:06 なぞの八卦見
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
常套
(
じょうとう
)
なものの面から突き出たものを手がかりにすることによってであって、また、こういった事件についての正しい質問は、『どんなことが起ったか?』ということよりも
マリー・ロジェエの怪事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
保証と脅迫に押し出されるようにしぶしぶマドリッドをあとにパリーへ向う。脅迫は密偵部の
常套
(
じょうとう
)
手段、命令に服従しなければ、同志が手をまわしてその地の官憲へ売り込む。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
これを理想という短い尺度から矛盾と
執
(
と
)
るなら、この矛盾は
双刃
(
もろは
)
の剣で、
腐朽
(
ふきゅう
)
の
常套
(
じょうとう
)
を斬り、固着の錆苔を剥ぎます。未解決や未完成を恐れて何で解決や完成に旅立たれましょうか。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
これが千里眼者や
山師的
(
やましてき
)
発明家の
常套
(
じょうとう
)
の言葉である。誠にその通りである。
千里眼その他
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そして、旧習慣、
常套
(
じょうとう
)
、俗悪なる形式作法に
囚
(
とら
)
われなければならぬのか。
『小さな草と太陽』序
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
起居動作、用語の弁、いずれも彼らだけのいとも小さな世界にだけ喜ばれる
常套
(
じょうとう
)
語をもって、十人が十人紋切り型の交語が飛ぶ。それは声色の声色であり、声帯模写のそのまた声帯模写である。
現代茶人批判
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
彼女は
藪
(
やぶ
)
から棒にこう云わなければならなかった。
今日
(
こんにち
)
まで二人の間に
何百遍
(
なんびゃっぺん
)
となく取り換わされたこの
常套
(
じょうとう
)
な言葉を使ったお延の声は、いつもと違っていた。表情にも特殊なところがあった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
英国大使館が到頭
爪牙
(
そうが
)
を現してきたのです。英国は太子殿下の日本御滞在を少しも喜んではいなかったのです。到頭
常套
(
じょうとう
)
の
姦
(
かん
)
手段を用いて殿下を
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
常套
(
じょうとう
)
手段の如き感があるが、当時の人々は、いつもすうっとそういう云い方に運ばれて行ったものだろうから、吾々もそのつもりで味う方がいいだろう。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
盆廻しは旅芸人の
常套
(
じょうとう
)
である。お客の方でも心得たもの。
祝儀
(
はな
)
は見得坊な桟敷の上客がハズむものと知っていた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
われわれは子供などに科学上の知識を教えている時にしばしば自分がなんの気もつかずに言っている
常套
(
じょうとう
)
の事がらの奥の深みに隠れたあるものを指摘されて
案内者
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
茶味以外の味を細心に味いながら、然も
御服合
(
おふくあい
)
結構の挨拶の
常套
(
じょうとう
)
の讃辞まで呈して飲んで終った。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あの手品師の
常套
(
じょうとう
)
手段にすぎないのですけれど、それを行なう本人が手品師ではなくて、病的なきまじめな私の友だちなのですから、異常の感にうたれないではいられません。
鏡地獄
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
召使われている
女童
(
めのわらわ
)
などを
手馴
(
てな
)
ずけて
文
(
ふみ
)
の取次をして
貰
(
もら
)
うのが
常套
(
じょうとう
)
手段で、もちろんその辺にぬかりがあるのではなかったが、それも、今日までに二三度持たせて
遣
(
や
)
ったのに
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
『夏の夜の夢』と題して、あなたのメモリーに
蔵
(
しま
)
つて置くといゝですね。そしてあなたのこころが結婚生活の
常套
(
じょうとう
)
に退屈したとき、とき/″\思ひ出してロマンチツクなそのメモリーを
反芻
(
はんすう
)
しなさい。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
「これがあなたにはお信じになれますか! 英政府の
常套
(
じょうとう
)
手段です。ことごとく既定の計画だったのです!
卑怯
(
ひきょう
)
な! なんという卑怯至極なやり方でしょう!」
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
また
所謂
(
いわゆる
)
万葉的
常套
(
じょうとう
)
を脱しているのも注意せらるべく、万葉末期の、次の時代への移行型のようなものかも知れぬが、そういう種類の一つとして私は
愛惜
(
あいせき
)
している。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
これは攻城野戦ともにやる
常套
(
じょうとう
)
的な正攻法で、兵家としては、まことに
陳腐
(
ちんぷ
)
な一攻手に過ぎない。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
といえる
如
(
ごと
)
き、
常套
(
じょうとう
)
の語なれども、また愛す
可
(
べ
)
し。古徳と同じゅうせんと欲するは、
是
(
こ
)
れ
仮
(
か
)
にして、
淮楚
(
わいそ
)
浙東
(
せっとう
)
に往来せるも、修行の
為
(
ため
)
なりしや
游覧
(
ゆうらん
)
の為なりしや知る可からず。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
常套
(
じょうとう
)
的な公式の手続きを運ばす一方、ひそかに朱同から、張文遠と
閻婆
(
えんば
)
を裏からなだめさせた。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
賛之丞は、彼の
常套
(
じょうとう
)
手段で、孝行で兄にも素直だったその妹を、家庭から走らした。
八寒道中
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
侵入者の
常套
(
じょうとう
)
手段だ。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“常套”の意味
《名詞》
常套(じょうとう)
いつも決まったやりかた。ありふれていること。常用。
(出典:Wiktionary)
常
常用漢字
小5
部首:⼱
11画
套
漢検準1級
部首:⼤
10画
“常套”で始まる語句
常套的
常套語
常套手段
常套性
常套主義