小間使こまづか)” の例文
照彦てるひこ様はまもなく台所で見つかって、お母様のお部屋へやへ引かれてゆく途中とちゅう小間使こまづかいの手のこうに歯あとの残るほどかみついて、また一つつみがふえた。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
義弟の佐賀町の廻船問屋石川佐兵衛の店では、仙台藩時代の彼の緻密ちみつな数算ぶりを知っていたので手を開いてむかえた。働きものの小娘は気むずかしい伯母おば小間使こまづかいになった。
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
仕事しごとやのおきやうさんは八百屋横町やほやよこちやう按摩あんまをして伯父をぢさんが口入くちいれで何處どこのかおやしき御奉公ごほうこうるのださうだ、なに小間使こまづかひといふとしではなし、おくさまのおそばやお縫物師ぬひものしわけはない
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
小間使こまづかいふうの、愛くるしい女——藤屋の隠居所の二階に立って
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いゑ中々なか/\そのやうに遠方ゑんはうことばかりでは御座ござりませぬ、追々おひ/\にと衣紋ゑもんいて咳拂せきばらひすれば、小間使こまづかすこかほあかくして似合頃にあひごろうへ惡口わるくちふくなにすやらと尻目しりめにらめば
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「それはあたりまえですわ。オホホホホ。お給仕はお小間使こまづかい?」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
奧方おくがた火鉢ひばち引寄ひきよせて、のありやとこゝろみるに、よひ小間使こまづかひがまいらせたる、櫻炭さくらなかばはひりて、よくもおこさでけつるはくろきまゝにてえしもあり、烟管きせる取上とりあげて一二ふく
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
中々なか/\左樣さうでは御座ござりませぬうつくしいにて、村長そんちやういもとといふやうなひとださうで御座ござります、小學校せうがくかうかよふうちにあさからずおもひましてとへば、れは何方どちらからと小間使こまづかひのよねくちすに、だまつておきゝ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)