小声こごえ)” の例文
旧字:小聲
ふたりのものはこしもかけないで、おまえが口上こうじょうもうしてくれ、いやおまえがと、小声こごえってる。老人はもとより気軽きがるな人だから
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
と、バーバラは、他の四人をずんと抜いて、私たちの間に入ってきたが、そのときあたりをはばかるような小声こごえ
暗号音盤事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
はいほうから病人びょうにんなのですがな。』とハバトフは小声こごえうた。『や、わたし聴診器ちょうしんきわすれてた、ってますから、ちょっと貴方あなたはここでおください。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「おれは電信柱でんしんばしらだ。」と、雲突くもつくばかりの大男おおおとこは、こしをかがめて小声こごえでいった。
電信柱と妙な男 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そしてキシさんは、太郎を部屋のすみにひっぱっていって、小声こごえで言いました。
金の目銀の目 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ふたりは、しばらく、なにかささやきあっていましたが、やがて、小林少年が、小声こごえでさしずをしますと、十人の少年たちは、ちりぢりにわかれて、やみの中へ、姿をけしてしまいました。
鉄人Q (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
といいながら、なみだをこぼしました。むすめはうつむきながら、小声こごえ
松山鏡 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
どの子供こどもでもするように、彼もたえず小声こごえうたっていた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
せまる宵闇にからんで、しっとりした小声こごえ
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
丹羽昌仙がつぎに小声こごえ
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
アンドレイ、エヒミチは体裁悪きまりわるおもいながら、聖像せいぞう接吻せっぷんした。ミハイル、アウエリヤヌイチはくちびる突出つきだして、あたまりながら、またも小声こごえ祈祷きとうしてなみだながしている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ぼそぼそと、しばらくは小声こごえで話し合っているらしかったが、やがておキミは寝床から出て行って、あとには椋島一人が、何か考え悩んでいるものか、転輾反側てんてんはんそくしている様子だった。
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「このじいさんはひとさらいだよ。」と、三にん後方うしろから小声こごえにいったものがありました。三にんはびっくりしてうしろのほうくと、空色そらいろ着物きものをきた子供こどもが、どこからかついてきました。
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と、イワン、デミトリチは小声こごえって、自分じぶん寐台ねだいうえすわむ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
と、小声こごえせつたのんだのでありました。すずめはさながらこの依頼たのみけたように、やがて小声こごえにないて、いずこへかってしまいました。するとほどなく先生せんせいがこの教場きょうじょうはいってきました。
残された日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
曾呂利本馬は、小声こごえで、ささやくようにいった。
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なにやら小声こごえおんなはいっていました。
子供の時分の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)