しか)” の例文
忍んで様子を窺うにしかずと思って、かれは廟の欄間らんまじのぼり、はりのあいだに身をひそめていると、やがてその一行は門内へ進んで来ました。
未落語家三遊亭圓朝氏が人情話にんじょうばなしの巧に世態を穿ち妙に人情を尽せるにしかず、其の人の感情を動す頗る優劣ありといわんとす、嗚呼あゝ圓朝氏をして欧米文明の国に生れしめば、其の意匠の優れたる
松の操美人の生埋:01 序 (新字新仮名) / 宇田川文海(著)
奪取うばひとりたれば江戸は面倒めんだうなるべししかず此より上方に取てかへし中國より九州へわたらんにはとつひに四國に立越たちこえしが伊豫國なるふぢはらと云ふ山中に來り爰に一個ひとつ隱家かくれがを得て赤川大膳あかがはだいぜんと姓名をへんじ山賊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
僕の屑見せっけん、誠におもえらく、観望持重は、今の正義の人、比々ひひとしてみなしかり、これ最大の下策と為す。何ぞ軽快拙速、局面を打破し、然る後おもむろに地を占め石をくの、まされりと為すにしかんや。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
雲の御髮みぐししかめやも。
ソネット (旧字旧仮名) / ステファヌ・マラルメ(著)
で、思わず声を揚げて呼ぼうとしたが、遠方から敵をおどろかしては妙でない。ひそかに近寄ってその不意を襲うにしかずと、市郎は故意ことさら跫音あしおとぬすんで、煙のなびくかたへ岩伝いに辿った。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
も手早く〆直しめなほし三十六計逃るにしかじとすきを見合せひよいと身ををどらせて奴等がまたくゞぬけ表の方へ駈出すにヤレ逃すなと追駈おつかくるを表に待たる仲間の雲助共おつと兄イさううまゆくものかと捕へしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
背後うしろからは忠一を先に、角川家の人々が追って来た。前には巡査が立っている。敵に前後を挟まれた重太郎は、ず当面の邪魔をはらうにしかずと思ったのであろう、刃物をふるって巡査に突いてかかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
逃亡かけおち致されよ我も辯解いひわけなければ是より宿へ歸るべし三十六けい走るにしかじ我が宿やど牛込うしごめ改代町かいたいまち芋屋いもや六兵衞と云者いふものなり用事有らば云越いひこし給へと兩人云合いひあはせ早々に支度したくして七助は牛込お梅は平兵衞方へ迯歸にげかへりしなりされば委細のわけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)